[設例]
・前期中にS社株式500株を1株当り20で取得し、その他有価証券として保有している。
・当期中にS社株式3000株を1株当り25(時価)で追加取得し、S社を子会社とした・
・S社株式の前期末時価は1株当り22であり、当期末時価は1株当り30である。
・税効果会計は適用しない。

[解答]
前期中に取得したS社株式500株は10000で計上されている。前期末の決算時の仕訳から。
(借)投資有価証券 1000 (貸)その他有価証券評価差額金 1000

上の評価差額は当期首に洗替される。
(借)その他有価証券評価差額金 1000 (貸)投資有価証券 1000

追加取得したS社株式を支払金額で計上。
(借)関係会社株式 75000 (貸)現金預金 75000

・変更
その他有価証券として計上されている500株の簿価は10000である。変更後の区分に従った処理、すなわち原価評価である。これによって関係会社株式に振り替える。
(借)関係会社株式 10000 (貸)投資有価証券 10000

※仮に変更前の区分で処理をすれば、その他有価証券評価差額金がBSに計上され、これが残存し続けてしまう。かといって損益を出すことも投資の目的にそぐわないため、変更後の区分で処理を行う。

また当期末時価が示されているものの子会社株式なので原価で据え置く。

ただし部分純資産直入法を採用していて、かつ振替時の評価差額が損失の場合は注意。この時はその他有価証券評価差額金がBSに残り続けるといった問題が生じない。したがってその他有価証券のみの『変更後の処理に準じる』必要がないため、正しく時価評価したうえで関係会社株式に振り替えるといった会計処理を行う。

例えば、簿価10000のその他有価証券を関係会社株式とするとき、振替時の時価が9000であったとしたら、1000の投資有価証券評価損を計上した上で、9000の関係会社株式とするのである。もちろん全部純資産直入によれば、関係会社株式として計上するのは10000のままである。
[設例]
その他有価証券として保有しているA社社債
・額面:10000
・取得:9100
・取得日:×1.4.1(当期首)
・満期日:×6.3.31
・利息:なし
想定し得なかった市場環境の著しい変化によって流動性が極端に低下したことから、A社社債を時価で売却することが困難な期間が相当程度生じたため、×1.9.30にA社社債を満期保有目的の債券に振り替えた。なおA社社債の振替時の時価は7300であった。
A社社債の取得差額には償却原価法(定額法)を適用し、評価差額は全部純資産直入法により処理する。また、税効果会計は適用しない。

[解答]
まず基本的には取得時以外に有価証券の保有目的を満期償還とすることは出来ない。
変更時は、変更前がその他有価証券なので変更後の区分に従った処理を行う。

・変更時
変更後、満期保有目的の債券に係る処理を行う
(借)投資有価証券 90 (貸)有価証券利息 90

※これは以前間違えていた点なので注意。貸方はその他有価証券評価差額金ではなく有価証券利息。冷静に考えれば、区分変更がなくともその他有価証券として保有している債券には償却原価法を適用する。これによりその他有価証券の簿価は9100から9190となる。この簿価9190と時価との差額こそがその他有価証券の時価変動として処理する部分。

(借)その他有価証券評価差額金 1890 (貸)投資有価証券 1890

これでその他有価証券の簿価と時価を一致。最後に区分変更。
(借)投資有価証券 7300 (貸)投資有価証券 7300

・決算時
保有目的の区分変更において、その他有価証券だけが例外的に変更後の区分でもって処理を行うのはBSにその他有価証券評価差額金を残さないためだと考えられる。しかし今回は変更後が(かなり例外だが)満期保有目的の債券である。満期保有目的の債券は、その時価変動を投資の目的としないことを明らかにするなど、時価評価逃れに対する牽制のため、特に区分変更の条件が厳格なものとなっている。つまり差額を損益とすることはできないため、どうしてもその他有価証券評価差額金が残ってしまう。満期保有目的の債券に変更すれば洗替も行われず、放っておいてもその他有価証券評価差額金はBSに残り続ける。
このため、変更時に計上したその他有価証券評価差額金は償却原価法に準じて(有価証券利息の増減として)損益に振り替える
変更時の差額が有利なものならば、(満期保有目的の債券として毎期発生する)利息の増加とし、不利なものならば利息の減少として扱う。

振替時の時価(=満期保有目的の債券の取得原価)7300と額面10000との差額を有価証券利息とするが、振替時に生じた借方のその他有価証券評価差額金1890は満期までの54ヶ月に渡って按分する(借方の有価証券利息)。

(借)投資有価証券 300 (貸)有価証券利息 300
※通常の償却原価法

(借)有価証券利息 210 (貸)その他有価証券評価差額金 210
有価証券の区分変更に係る会計処理は、基本的に変更前の区分に係る処理を行うものだが、変更前の区分がその他有価証券の場合は、変更後の区分に係る処理を行う

[設例]
・資金運用方針の変更に伴い、有価証券のトレーディング取引を開始することとしたため、その他有価証券として保有するA社株式(簿価10000、時価12000)を売買目的有価証券に振り替える。
・A社株式の期末時価は12500である。

[解答]
変更後、すなわち売買目的有価証券の係る処理とは簿価と時価の差額を損益計上することである。そしてこの処理が変更前に行われる。つまりその他有価証券を評価するものの、損益が計上される。したがって、評価差額の処理は、全部純資産直入、部分純資産直入を問わず、同様の会計処理となる(損益計上するため純資産額が変動しないため)。

・変更時に時価評価し、その他有価証券として損益計上
(借)投資有価証券 2000 (貸)投資有価証券評価損益 2000

・時価評価、損益計上の後で区分変更
(借)有価証券 12000 (貸)投資有価証券 12000

・決算時=売買目的有価証券として処理。