あまり更新できないかもしれない。
今のうち、大事と思う事を簡単に。
国際政治学者、三浦瑠麗さんの著書 「シビリアンの戦争」
岩波(左派より)から出版されている本。
民主主義社会に於いては、軍関係者が戦争に慎重であるのにシビリアン(政治家含む)が、戦争への道を突き進んでしまうことがある。
イラク戦争など幾つかの事例を提示。
戦争に至るプロセスを解説している。
その中でもフォークランド戦争については、日本の尖閣と重ね合わせて考えてみれば、様々な事を示唆しているように思える。
外交的に片が付いた可能性のある問題。
この守れた平和を、国家の面子(とサッチャー政権の支持率)でもって秤にかけて、世論受けする「強いイギリス」を体現するために戦争に舵を切っていく。
戦争に慎重な軍人の意見を採用せず、少数派である積極的な軍人を抜擢。
その意見を採用してサッチャーはGOサインを出す。
ここも、今の日本の政権を連想させる何かがある。(内閣法制局関連)
民主主義がどこで狂っていくのか、そのプロセスと構造的問題。
彼女が先日 「文藝春秋SPECIAL」 で発表した徴兵制肯定論は、この本を読んでいないと唐突過ぎて理解に苦しむかもしれない。
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日本に平和のための徴兵制を
http://hon.bunshun.jp/articles/-/2668
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一般の国民と、軍人の意識の乖離。
痛みが共有できない社会階層の分断化。
時の政権の思惑や、マスメディアの在り方も絡めて、民主主義社会の暴走を防ぐために何が必要かを模索。
その帰結としての徴兵制。
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以後は個人的に思うこと。
徴兵制に対しては
「こんな時期に物騒な…。」 と見られて当然だろう。
日本では長らく憲法9条が、戦争の道を回避する強力な歯止めになってきた。
それが安保法制通過によって9条は形骸化されつつある。
政権は憲法改正も視野に入れて動いている。
これからの歯止めは憲法9条ではなくて、民主主義の成熟にかかってくる。
従って日本の民主主義の中に、どれだけ歯止めとなる仕掛けを組み込むか。
また、「仕組み」だけではなく「中身」をどうやって充実させていくか。
ここが重要になってくる。
また逆説的に考えれば今までは9条があったが故に、我々は世界中の現実を自分のこととして受け止め損ねてきたのではないか。政治に積極的に関与することを避けてきたのではないか。
スイスには徴兵制があり、若者の政治への関心は高い。
日本も同じ様に…とは単純に運ばないだろうけれど、真剣に議論する時期に来ているのかもしれない。
徴兵制=軍国主義ではなく、徴兵制=民主主義の成熟、に繋がる可能性もある。
自身の感覚としては、やはり徴兵制には違和感がある。
しかし9条の代替となる歯止めが求められるならば、一考の価値は、確かにあるのだろう。
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三浦さんの提案する徴兵制は
「壮青を問わず、富める者も貧しい者も、また男女の別なく徴兵制を施行してコスト認識を変えさせる」
国民全体でリスクや痛みを共有するというもの。