朝まで生テレビ ケントさんの「9条こそ違憲」 | ふぇりっくす日記

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ケントギルバードさん、ブログ。

http://ameblo.jp/workingkent/entry-12076051696.html


2番目の「憲法9条こそ憲法違反」。

先日の朝生でケントさんは同様の事を話し、小林よしのりさんが同意してました。






9条単体(非武装路線)が無謀すぎる意味でも、他の条文や国際法との整合性を狂わせるとの指摘を見ても、「9条がおかしい」はわりと受け入れられる話です。


悪名高い自民党の改憲草案を見ても、9条に関する部分は改憲に乗って良いと思います。

(他は、わりと恐ろしい草案だけど…)


そのような観点からすれば、ケントさんと小林さんの合意は自然なこと。



ただし、それは改憲の話をする場合。

安保法制の賛否とは切り分けて考えるべきでしょう。


切り分けないと、なんだかおかしな話に見えてきます。

朝生でも論点になってた手続き論での立場の違いで、見解は分かれてくるということです。

ケントさんと小林よしのりさんが同意できたのは 「9条はおかしい」 について。


小林さんは、「だから安保法制より先に憲法改正を」 と言うタイプ。

立憲主義重視。私もここは同じ。


「9条はおかしいから変えよう」 と手続きを守ったうえで変えることと

「9条はおかしいから無視しよう」 と開き直っちゃうことは全然違う。


ケントギルバードさんや小川和久さんの 「憲法9条こそ違憲」 については、もっともだと思う反面で 「だけど開き直りの口実にするならダメだぜ?」 と釘を刺したくもなります。

当然ケントさん達は 「9条こそが違憲だから無視しろ」 とはどこにも書いてないのだけど、それに似た開き直りを誘導しているのでは…? と、読めなくもありません。


(ケントさん達の意図は違ったとしても、場合によっては、そう見えてしまうということ)



「9条はおかしい」 を改憲議論の材料にすることは理解を得られると思います。

普通に考えておかしいものはおかしい。

少なくとも、読んで自然に自衛隊が合憲と分かる文章に変えないとおかしい。

しかし現状でおかしいからと、それを安保法制の賛成材料にすることは筋が悪い。


筋が悪いだけならまだよくて、集団的自衛権が違憲と認識する人には、むしろ逆効果でしょう。

立憲主義を軽視しているように見える。


憲法解釈を変えることは 「それが可能であれば」 もちろん認められる。

しかし集団的自衛権に関して言えば、解釈で踏み込める余地は無し。

(このあたりのことは、木村草太さんの著書に詳しくあります)


解釈を変えることが短絡的にダメなのではなく、解釈余地が無いものを越えてしまうから認められないという立場がある。


たとえば宮崎哲弥さんのような識者ですら 「憲法解釈を全く変えてはいけない立場」 の論破を試みている時がある。

これはなんだか、残念なほどにクリティカルを外してる様に思います。


繰り返しですが、単純な意味で解釈を変えることがダメなのではなく、もう解釈余地が無いものを越えてしまうから認められないという立場がある。


木村草太さんのような条文に触れながらの具体的な論理構成があります。

そこを崩さないと、別の場所で印象操作に終始しているように見えてしまいます。

改憲の後にしか認められない安保法制なのに、小川さんの様に 「ハードルが高い改憲を持ち出すことは実質的に反対論」 と賛成に回るように促されても、それは憲法違反を唆す悪魔のささやきに近いものがあります。


「立憲主義を守れ」 という立場の人からは、懐疑の目を向けられても致し方ないでしょう。








ケントさんや小川さんを否定したいわけじゃないので、二つ補足。




1、

憲法はともかく安全保障の議論であれば、私はケントさんや小川さんの意見にわりと同意できます。手続き論では小林よしのりさんに近いが、安全保障では三浦瑠麗さんに近い立場です。

日米同盟強化肯定、核武装いらない。


三浦さん側に転向できれば有難いのだけど、現状では無理。

立憲主義と安全保障の板挟み状態です。


世論調査で 「安保法制は必要、しかし今国会成立は反対」 の傾向が強いことが示されました。 その平均値に近い思考回路のひとつが私のような考えで、その場合、ケントさんや小川さんの説ではジレンマを乗り越えるに至らず。


傾聴に値する説なのだけど、鍵の形が合わない。





2、

安倍政権に関して言えば、砂川裁判を根拠にした合憲論は取り下げないものの(いちど合憲と説明したものを、同じ人に違憲と言われてもお互いに困るが…)、しかし政府は国民の理解を得るための姿勢を、それなりに示した様にも思います。


もちろんホルムズ海峡や邦人保護など、説明の矛盾は目立ちます。

説明不足8割との世論調査結果も納得です。

ですので自民党が評価に値する点を考えれば、それは野党との修正に応じたということ。


最終的には元気会提案の修正案。

「例外なき事前の国会承認」 「90日ごとのチェック」 「事後検証」 などの項目を受け入れることで落ち着きました。


※追記

(90日ごとのチェックは、最終的に180日ごとのチェックで与野党の合意となりました。)


その前には、参院の議論が始まる頃のTV番組で、総理は維新案との修正協議に積極的な姿勢を示していました。

結局は維新の分裂で修正協議が頓挫したものの、当時の安倍総理の心情としては、国民の多くが合憲と認める範囲で法案を通したかったと理解できます。


このことは、今なお強硬な反対派に対しても、その態度を解きほぐす材料になり得えるはずです。

安全保障で国論を二分させるよりかは、丁寧に説得していくべきかと思います。



自民党に良いボール(対案、修正案)を投げれば、返ってくるものもある。

それが示せた修正は大きい。


もちろん視点を変えれば、廃案路線の訴え(デモ等)があるから、それがテコになって与党が修正に応じたとも言えます。


これは以前からブログに書いてる事です。

加えて、実際に与党と粘り強く交渉した元気会の山田太郎議員の見解でもあります。


どんな有識者が 「デモは意味があるor意味が無い」 と語る事より、橋下市長のような調整能力に乏しい政治家が語る事よりも、交渉の当事者の言を私は重く受け止めます。





修正に対しては、「全面賛成or全面反対」 という分かり易い立ち位置の人には腹立たしいかもしれません。

しかし私のように立憲主義と安全保障の板挟みになってた人にすれば、修正を経た適当な落とし処に有難さを感じます。


今でも板挟みのままではありますが、ちょこっと楽になった状態ですね。