ひきこもりを経験する方の多くは就労に大きな壁を感じ、挫折を感じている方もいます。
これまでひきこもりを経験した方の就労サポートを行ってきたカウンセラーとして、今後の就労に繋げる方法について考えていきましょう。
こんな方におすすめです!
▫️ひきこもりのお子さんがいらっしゃるご家族
▫️ひきこもりからの就労を考えている方
▫️8050問題を防ぎたいと考えている方
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▶︎ひきこもりの数
ひきこもりの統計
内閣府の調査によると、15歳から64歳までのひきこもり状態にある方は、146万人と言われています。
また少し古い調査になりますが、15歳から39歳、40歳から64歳までのひきこもりは若干40歳以上の方が多くなっています。調査が7〜9年前のものなので、40歳以上のひきこもりはさらに多くなっているのではないかと推測できます。
しかしながら、ひきこもりの実態を調査するのは至難の業です。不登校の場合は「30日以上休む」という定義があります。もちろんこれとて、放課後登校や別室登校、フリースクールで代替登校を行なった場合は欠席日数に反映されないという点はあるのですが、ある程度実態を把握することができます。
ひきこもりは厚生労働省によると以下のように定義されています。
「様々な要因の結果として社会的参加(就学、就労、家庭外での交遊など)を回避し、原則的には6ヵ月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態を指す現象概念(他者と交わらない形での外出をしていてもよい)」(厚生労働省)
家族以外の人との関わりがなく、就労や就学をせず、家にいることが多い状態です。
学校と違い、どの家の人がひきこもり状態にあるかという把握は非常に難しいものになります。「家業の手伝い」という形で特に就労の実態はなくとも、一応就労者という扱いになっている場合もあります。
そのためここで推計されている人数は「最低人数」と捉えるのが良いでしょう。実態は少なくともこの倍のひきこもりがいるのではないかと考えています。
8050問題とは
8050問題とは、40代〜50代のお子さんの生活の面倒(経済面を含む)を70代〜80代の親世代の人たちがみる状態を指します。多くの親世代の方は年金受給者となります。年金をやりくりしながら、働けないお子さんの世話をすることは経済的に大きな負担となります。
そしてこの問題は、今や「9060問題」になっていると言っても過言ではありません。
どうしてひきこもりは長期化するのか
私がこれまで受けてきたご相談者の中には、数年のひきこもりの方から、30年以上という方もいらっしゃいます。
「どうしてそこまでひきこもりは長期化するのか?」と疑問に思われる方もいらっしゃるでしょう。
私が兼ねてから提唱している「ひきこもりスパイラル」という考え方があります。なんらかのきっかけでひきこもりになった方が、そこから脱け出せず、時間が経つことで、より就労、就学のハードルが高くなり、一歩踏み出せない状態が続き、さらに長期化するという考え方です。
私がお会いしてきた方は「早くなんとかしないといけない」という焦燥感を持たれています。しかし社会に出て働くことは、彼ら、彼女たちにとって大きな壁となります。「また失敗したらどうしよう」「周りから馬鹿にされたらどうしよう」という不安もあれば「自分がやりたいことではないことをやりたくない」「指示をされるのがムカつく」という思いもあります。
そうこうしているうちに、時間が経ち、20代の方は30代になり、同級生たちとの差に愕然とします。自暴自棄になり、精神疾患を発症する方もいます。
「何年もひきこもるなんておかしい」と思われる方もいらっしゃるでしょう。しかし、ひきこもりは「四季を一巡すると、年数の区別がつかなくなる」ものです。
1年が経つと、この間の桜が昨年のものなのか、10年前のものなのか区別がつかなくなるのです。時間はあっという間に経ちます。私の元にご相談に来られるまでに、気づけば10年単位で時間が経過していた、というのは珍しいことではないのです。
着実に一歩を踏み固める方法を取る
長期間ひきこもり状態にある方にとって、社会に出て働くのは、高いハードルです。そのため一足飛びに就労という目標を達成できるわけではありません。
まず小さな一歩を踏み固めていくことです。基盤を一段一段作ることで、人生の土台が生まれ、挑戦心が芽生えて来ます。
ではここから、基盤を踏み固めていく方法について見ていきましょう。
▶︎就労に向けての5つの道筋
ひきこもり状態にあるお子さんに最も効果的な方法が「100%できることから始める」というものです。
目標を3つほど作ります。それらは「100%できること」が前提です。例えば「1日の間にご飯を食べる」「シャワーを浴びる」「5分散歩をする」などです。100%なので、努力せずともできるものを選びます。
これらをまず1ヶ月続けます。できた日に丸をつけていきます。月末に達成率を確認し、翌月は「90%できること」というように少しずつハードルを上げていきます。
どうしてこのようにするかというと、あとで説明する就労でも同じ理屈なのですが「ここまではできる」というものを可視化していくためです。「これはできる」というものがはっきり見えると、より高い目標に挑戦する基礎になっていきます。
こちらの図は、ひきこもり状態から脱け出していく過程を表したものです。
暴力的な言動がある「怒り期」がご家族にとって体力的にも精神的にも辛い時期になります。この状態を乗り越え、絶望期を経て、安定期に入ります。実はこの安定期が「最も長期化しやすい時期」と言えます。
【家庭内暴力の対応については以下の記事をご覧ください】
暴力行為が起こったときは、ご家族も困り度がピークに達するため、外部の機関に相談されます。場合によっては警察に通報し、そこから地域の相談場所につながることもあります。
しかしお子さんが落ち着いて生活している状態になると、大きな問題は起こりません。そのためご家族が外部に相談することがなくなります。そのため外からの刺激がなくなり「安定して落ち着いて生活しているけれど、働かない状態」が長く続くようになります。
ポイントは安定期から準備期に移行することです。
そのために必要なことは「家庭の中で役割を担う」ことです。その最たるものは「お手伝い」です。①で述べた100%できることが、少しずつ進んでいく中で取り入れていきます。
お手伝いの例
▫️食器洗い
▫️お風呂掃除
▫️掃除機かけ
▫️洗濯干し・たたみ
▫️料理
▫️トイレ掃除
初めは自分の分だけで構いません。部屋掃除も自分の部屋からスタートします。そこからだんだんと家族の分もお願いしていきます。
家族の分もお願いする理由は「誰かのためにやっている」ことを感じてもらうためです。
特にトイレ掃除はハードルが高いでしょう。しかしここまでやると「家事は自分が担っている」という気持ちを持てるようになります。
お手伝いをすることで、家庭の中での役割を得ることになります。ここを基盤に就寝・起床時間にもメリハリがついてくるようになるでしょう。このように安定期から準備期につなげるために、家庭での役割を得て、生活基盤を整えるようにしていきます。
③将来について話す機会を作る
お子さんの生活にルーティンができてきたら、この辺りでお子さんと話をする必要があります。「せっかく落ち着いて生活できているのだから波風を立てたくない」という方もいらっしゃるでしょう。しかしそこを逃げてしまうと、お子さんは次のステップに進むきっかけを失うことになります。
まずは何気ない話をできるようにすることから始め、日常会話を目指します。その上で「一度将来について話がしたいから、不安な気持ちとかを教えてほしい」としっかりと話をしたいという希望を伝えます。お子さんは乗り気ではないでしょうが、ある程度基盤ができていると「仕方ない」という気持ちになります。
お子さんとて、このままでいいとは思っていません。しかし自分から将来の話をするのも難しいです。ここは親から勇気を出して話すようにしましょう。話の聴き方については以下を参考にしてみてください。親だけの意見を押し付けるのではなく、お子さんの思いに耳を傾けましょう。
【傾聴のコツ】
ここからが本格的な就労に向けての準備になります。
就労を考え際、いきなり就職活動から始め、フルタイムで働くことを目指す方がいらっしゃいますが、それはおすすめできません。早ければ1ヶ月も持たず退職することになるからです。
長い間ブランクがあったり、そもそも就労経験がない場合、いきなりフルタイムで働くのは、何の準備もなくフルマラソンを走るようなものです。すぐに挫折しますし、完走はまず無理です。
そのため段階を作りそこからスタートしていきます。段階の例を以下に挙げます。
【就労への段階の例】
ファーストステップ:職業訓練を受ける
ハローワークが実施している職業訓練を活用する方法です。例えば簿記3級の勉強を行うものや、プログラミング学習があります。テキスト代のみ実費でほぼ無料で受けられます。
3ヶ月から6ヶ月のものが多いです。就労するわけではなく、基本的に授業に出席するものなので、働くことに比べるとハードルは低くなります。
ただし、1日8時間、週に5日というフルタイムと同じ時間数になることが多いので、それがきつい場合は、次に述べるセカンドステップから始めましょう。
セカンドステップ:短時間勤務のアルバイト
次のステップは「短時間のアルバイト」です。1日あたり3~5時間程度で、週に2〜4日程度のものです。
もっと短く単発のものでも構いません。ただ単発のものは、次の日程を決めるのも自分次第になるので、強制力が弱く、一度やったら次は予定をなかなか入れられない、ということも起こります。慣れてきたら、シフトが決まる仕事に移るようにします。
職場との兼ね合いになりますが、不安な方は「週に2回、1回3時間」くらいからスタートしていきます。
私はこのセカンドステップを最も重視しています。長期的で安定的な就労につながるためには、このセカンドステップが最も大切な時期になります。
ここで「この仕事はできる」という感覚を得ることができると「今後フルタイムの仕事をして、しんどくなることがあっても、このレベルに戻ってくればいい」という意識を持てるようになるからです。
戻ってこられる場所があると認識できることが、安心感につながり、次の挑戦につながっていきます。目安としては3ヶ月から半年(1年も構いません)を経験し「続けられる」ことを学びます。
サードステップ:フルタイムの仕事
ここからが本丸です。この辺りから正式な就労を目指していきます。一般的には1日8時間労働で、週に5日の勤務です。正社員は理想的ですが、難しい場合は派遣を活用します。ここからは経験を積むことを意識していきます。
フルタイムの勤務は精神的にも体力的にもよりタフになります。やめたいなと思うこともあります。そんなときにセカンドステップの経験が生きます。「もししんどくなったら前の段階に戻ればいい。何もかもダメになってまたひきこもりになるわけではない」という思いが安心感と活力を生みます。
戻れる段階があると認識できることで「再びひきこもりになる」ことを防ぐことにつながります。
就労がうまくいったら、今後は継続していくことを大事にしていきます。
メンタルダウンを引き起こす方は、考え方に偏りが見られる場合があります。何か起こると「自分が悪いせいだ」「自分は何もできない人間だ」と卑下してしまう傾向があります。
その考え方を変えるのではなく「でも自分も頑張っているところもあるよな」と別の側面も見られるようにしていくことが大事になります。
これは「認知行動療法」と呼ばれる心理療法の考え方です。
【認知行動療法についてはこちらもご覧ください】
そのほかにも、日頃できるストレス対策をまめに行うようにしましょう。
ストレスケアの例
▫️睡眠をしっかりととる
▫️週末は身体を休める
▫️軽い運動を日常に取り入れる
▫️瞑想をする
▫️いいこと日記を書いてみる
▫️誰かに相談する
▶︎まとめ
ひきこもり状態にあるお子さんが、就労をするのは周りが思っている以上にハードルが高いものです。しかし一足飛びには難しくとも、段階を経ていけば、大きな目標に辿り着くことができます。
焦る気持ちもあるかと思いますが、着実に一歩ずつ踏み固めていくことが、一番の近道になります。焦って就労し、すぐに辞めるという経験は失敗経験を増幅させ、ひきこもりをさらに長引かせる要因にもつながります。
特に方法④のところでお話しした「セカンドステップ」での短時間でのアルバイトは、基盤を作る上でもっとも重要な期間になります。ここを経験するかどうかでその後の就労が変わってくると言っても過言ではありません。
段階を追うことを大事にしていきましょう。一段一段階段を登ることで、必ず頂上に辿り着けるのですから。
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■略歴:
中学時代に不登校を経験。その後学校復帰。関西学院大学に合格する。大学卒業後、人材紹介会社にてマーケティング・人事を経験。
あるひきこもりの青年に出会ったことから、起業を決意し、専門的なカウンセリング・学習サポートを行うOFFICE NAKAGAWAを2011年2月に設立。公認心理師、産業カウンセラーの資格を有する。
ひきこもりや不登校、発達障がいのご当人、並びにご家族のカウンセリング、学習サポートを行う。PTA、学校関係、行政関係など講演も行う。
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