辻村深月せんせいの新刊が出た!

レビューを見たら、初期の頃の作品が好きな人は絶対にハマる!ってなっていたので手に取らずにはいられなかった。

最近のものよりは断然、昔の作風が好きだったから。



あなたを、助けたい。 

学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた―― 
なぜこの7人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。 
生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。一気読み必至の著者最高傑作。 (内容紹介より)




この本は、涙もろい人はラストを外で読むことをオススメしません!

誰もが生きづらいと感じるときはある。

そんな時に寄り添ってくれる物語です。

読んでいて、この城ってどんな世界??っていう

疑問がずっと引っ掛かります。

パラレルワールド?並行世界??

そんな推理も出てきます。

だから、先が知りたくてたまらなくて何度も

終わりのページを覗こうとしてしまった。

でも、なんとか覗かずに読んで読み終わって

すごく陳腐な表現になるけど、夢のある話だった。

この城が出来た意味。ちゃんと理解して忘れないで生きていきたい。

それぞれの時代にそれぞれ人は生きていて

ちゃんと繋がっているって思える話でした。






日本推理作家協会賞を受賞した作品。

コレを読んで欲しい!と熱のこもった書評が
とても多かったので気になって読みました。
解説は辻村深月さんです!




田中幸乃、30歳。
元恋人の家に放火して妻と1才の双子を殺めた
罪で、死刑を宣告された。
凶悪の背景になにがあったのか?彼女の人生に関わった人々の追想から浮かび上がる世論の虚妄、そしてあまりにも哀しい真実。
幼馴染みの弁護士達が再審を求めて奔走するが、
彼女は。。。。



結末に少し触れてしまうことになるけど、
触れないとちゃんとした感想が言えそうに
ない。

田中幸乃はどんな人生を送って何を想って
死刑を受け入れたのか、真実はなんなのか?
すごく考えて想像して面白く読めた小説です。

幼い頃に父親に「必要なのはお前じゃない」と
言われ、ひきとってもらった祖母には「ホント
邪魔な子」と言われてしまう。
最終的には最後に寄り添ってくれた恋人にも
捨てられてしまった幸乃。
ただただ、誰にも迷惑をかけずに生きてきた
だけなのに!!

そんな幸乃を救いたい気持ちで読み進めました。
孤独の中に生きるのは疲れると思う。
でもまだ必要としてくれる幼馴染みがいて、
私は彼に幸乃を救うことを期待しました。

あ、救われる。。。って期待したけど最後に
そんな思いは引っくり返されてしまいました。

「もし、本当に私を必要としてくれる人が
いたら、もうその人に見捨てられるのが恐い。
死よりもずっと恐い」
刑務官が、必要としてくれる人は確かにいるのに、
死に抗おうとしないのは傲慢だ!って言葉を
掛けるけど、幸乃の事を考えて想像してみると、
もう彼女の気持ちを尊重してあげよう、と私は思えました。

願いを叶えようと、死ぬために生きようとした
彼女の姿は美しかった、って書かれています。
今までの話を読むとその姿は容易に想像でき
ます。

一人の女性の転落。
幸乃のイノセントデイズ。
哀しみ怒り、いろんな想いで読み進めた
小説でした。


桜庭一樹さんは「少女には向かない職業」で
初めて本を読みました。

この「私の男」は私の好きなアーティストの
さユりさんが紹介していたので読んでみました。

歪んだものを書くのがうまい作家さんだと
思った。


惨めでどこか優雅な男・淳悟は腐野花の養父。
孤児となった10歳の花を、若い淳悟が引き取り
親子となった。
そして、物語はアルバムを逆から捲るように
花の結婚から二人の過去へと遡る。
内なる空虚を抱え、愛に飢えた親子が越えた
禁忌を描いた直木賞受賞作。


この作品は先に映画で観て知っていたけど、
数年前ですっかり頭から物語が抜けていて
淳悟役が誰かすら忘れちゃってた。
花ちゃん役は演技が印象的だったから、覚えて
いたけど。
映画と小説は時間軸が違ってつくられています。
話も微妙に違うので両方観ても新鮮に観られ
るかな。

この話は二人の主人公を理解しょうとすれば
するほど気持ち悪くなりました。
共感出来る人なんているのか??

一番、印象に残っている場面は大塩のおじさん
という子供の好きな世話好きおじいさんが、
花を説得するところ。
花を全うな道に戻してちゃんとした家庭を
味あわせてあげるために命を掛けて叫ぶのです。

寒い氷の上でどんな想いで叫んだか、どんな
想いで体を丸めたか。
想像すればするほど耳の中で冷たい風の音が
ゴーゴー鳴ってるようで、、、もぅ、、。

悪いのは淳悟だーーー!!!って私も花を
説得したくなったけど無理なんです。

この世界にはまりこんだ花を救いだすなんて。

読者に、この二人の絆はなんなのか、考え
させる話でした。





あたしはウサギ。可愛いウサギ。
いつもどこかに行きたいウサギ。
でも、
どこに行けばいいのか私は知らない。


朝 目が覚めて周りを見る。
ここは本当の居場所なの?
いつも不思議だった。

雨が降ったのね。草に雨粒が付いてる。
あたしはそれを舐めてみる。
まずい、、、やっぱりあたしの居場所じゃないのね。

お腹が空いたわ。
今日は西へ向かおうかしら。
そういえば、西には行ったことがなかったわ。

可愛いあたしの足。
土で茶色く汚れるのはいつだって好きになれないのよね。
足音がしない可愛いあたしの足。
お気に入りなの。

どれくらい歩いたかしら。
色んな生き物があちこちに居るわ。
誰もあたしを傷付けないけど、話し掛けようともしない。
つまんない奴らね。

まぁ、いいわ。

あたしはこれまでだって一人でいたんだもの。

とにかく西へ行くの。



初めて最果タヒさんの本を読みました。

詩集とか気になってたから小説もどんなもの
かと。。



17才主人公のカズハ。女子高生。
陸上部の沢くんに告白するも「まぁ、いいよ」
っていう返事が気に入らず即フッてしまう。
それが友達からの反感をかい、仲間はずれに
される。
そんなとき、クラスで一人ぼっちの初岡という
女クラスメートと関わることになる。
何故か。そのなかに沢くんも面白そうと
加わってくる。
家では兄が親友と浮気した彼女と結婚すると
帰ってきて、なぜかその親友も連れてきている。

そんな、カズハの数日。



カズハの感情がジェットコースターのように
書かれています。
読み慣れない文体なので、初めはなかなかうまく
頭に入ってこなかったけど後半になるにつれ
カズハに共感しながら読んでいる自分がいました。
女子高生の頭の中ってこんな感じかも?
最後は何故か鼻の奥がツンとして、本を閉じたあと
泣きたくなりました。
最果タヒさんの言葉はなんでこんなにも胸に
刺さってくるんだろ。。。

2回読んでも、2回目も十分楽しんで
読めました。

あとがきも是非読んでほしい。
「私は、今の私以外何一つ自由にはできない。
過去の私は、正しくは私ではない。
コントロール出来るわけがなく、、、」 
「私はつじつま合わせのために生きてるんじゃ
ない。支離滅裂な人生を、生きている。
それでいい」
この二つの部分が好きです。
過去や未来がなんて言ってないで、今そのときが
尊いものなんだって、そう改めて実感させられます。