桜庭一樹さんは「少女には向かない職業」で
初めて本を読みました。

この「私の男」は私の好きなアーティストの
さユりさんが紹介していたので読んでみました。

歪んだものを書くのがうまい作家さんだと
思った。


惨めでどこか優雅な男・淳悟は腐野花の養父。
孤児となった10歳の花を、若い淳悟が引き取り
親子となった。
そして、物語はアルバムを逆から捲るように
花の結婚から二人の過去へと遡る。
内なる空虚を抱え、愛に飢えた親子が越えた
禁忌を描いた直木賞受賞作。


この作品は先に映画で観て知っていたけど、
数年前ですっかり頭から物語が抜けていて
淳悟役が誰かすら忘れちゃってた。
花ちゃん役は演技が印象的だったから、覚えて
いたけど。
映画と小説は時間軸が違ってつくられています。
話も微妙に違うので両方観ても新鮮に観られ
るかな。

この話は二人の主人公を理解しょうとすれば
するほど気持ち悪くなりました。
共感出来る人なんているのか??

一番、印象に残っている場面は大塩のおじさん
という子供の好きな世話好きおじいさんが、
花を説得するところ。
花を全うな道に戻してちゃんとした家庭を
味あわせてあげるために命を掛けて叫ぶのです。

寒い氷の上でどんな想いで叫んだか、どんな
想いで体を丸めたか。
想像すればするほど耳の中で冷たい風の音が
ゴーゴー鳴ってるようで、、、もぅ、、。

悪いのは淳悟だーーー!!!って私も花を
説得したくなったけど無理なんです。

この世界にはまりこんだ花を救いだすなんて。

読者に、この二人の絆はなんなのか、考え
させる話でした。