作家 吉井春樹 366の手紙。 -1504ページ目

[写真]一一。


作家 吉井春樹 366の手紙。-一一。

[元気]ふりかえるかこ。

前へ、前へ、前へ。

休むなと、止まるなと。

そういう厚かましい囁きが、

周りから、或いは自分の中から、

聞こえてくることがあります。

それで奮い立つならまだしも、

苦しくなって足もつれて、

ケガして身動きとれなくなったり。

前を望むことや、進むことは、

もちろん悪くはないのだけれど、

前に何があるのかを、

前に何を求めるのかを、

わかってもいないのに、

闇雲に突っ走ったとしても、

それはもしかしたら逆走かもしれません。

その遠回りには意味があるし、

前を掴むためのプロセスであることには、

一ミクロンも変わりはないけれど。

前、前、前。

いったい、その前に、

何があるから望んでいるのか。

それわからずして、進むくらいなら、

後ろに何を見てきたかを、

振り返ってみるべきかもですね。

[恋文]それごかいかも。

人のキモチのほんとの部分。

それはなかなか見えません。

だから僕らはきっと、

その言動や、仕草などから、

必死に想像して考えるのですね。

でも、想像力になんて限界があるし、

その人、その人の、

奥底の心境なんて見えないものです。

見ようとするから、想像しようとするから、

きっと、自分仕様に、

相手のキモチ像をカスタマイズしちゃって、

ある意味、都合よく、

一方では、都合わるく、

決め付けちゃったりするのですね。

知ったかぶりも甚だしいのです。

もちろん、いつだって裏腹。

今日と昨日は違うし、明日はもっと違う。

そういうあたりまえの事実を、

忘れて見逃してわかったつもりで、

誤解したままの関係でいるのは、

なんだかもったいないと思うのです。

だから問うてみてください。

誤解しているんじゃないかな、って。