モーズレイのガイドラインに推奨されている体重増加が生じにくい抗精神病薬 | kyupinの日記 気が向けば更新

モーズレイのガイドラインに推奨されている体重増加が生じにくい抗精神病薬

日本で発売されている抗精神病薬では感覚的にはロナセンが最も体重増加が起りにくい。エビリファイ(アリピプラゾール)も体重増加が起りにくい薬であるが、ロナセンほどではない。

 

比較的体重増加が起りにくい非定型抗精神病薬として、ロナセン、エビリファイ、ルーラン、レキサルティが挙げられる。

 

それに対し体重増加が起りやすい薬は、ジプレキサ、クロザリル、セロクエル、リスパダールであるが、これらの中でも体重増加の程度は異なる。セロクエル、リスパダールはそれほど体重が増えない人もいるが個人差が大きい。

 

体重がいくらか増えるが激太りはない薬として(中間的な薬)、シクレスト、インヴェガくらいが挙げられるが、これも個人差から結構増える人たちもいる。

 

定型薬のコントミンやセレネースは意外に体重が増えない印象である。先入観ではコントミンは増えそうに見えるのだが。

 

特にセレネース(ハロペリドール)、トロペロン(チミペロン)などはそこまで薬物的には体重が増えないのだが、精神の安定とともに体重が増加する流れになるのだろう(参考)。そこまで激太りはない。それに対し、ジプレキサ、クロザリルは薬そのものに体重増加させるメカニズムがあるように見える。

 

モーズレイの第12版(2015年)では、体重増加に対し以下の薬が推奨されている。(この意味は体重増加が起りにくい薬)

 

1推奨

アミスルピリド(本邦未発売)

アリピプラゾール

ハロペリドール

ルラシドン(本邦未発売)

ジプラシドン(本邦未発売)

 

2推奨

アセナピン(シクレスト)

トリフロペラジン(日本では2013年に発売中止)

 

トリフロペラジンが発売中止された理由は使われなかったためだろうと思う。

 

ジプラシドンは今後日本で発売されそうにないが、近い将来、ルラシドンは発売されると思われる。アミスルピリドは日本で発売になるかどうか情報がない。

 

抗精神病薬は副作用が少ないことも重要だが、処方するに足る有効性や安定性が必要とされるので、肥満する薬が必ずしも処方されにくいわけではない。

 

その証拠に難治性(一般的な抗精神病薬に反応性が悪い人たち)には激太りや血液系の重大な副作用があるクロザリルが推奨されている。

 

モーズレイの推奨を日本風に改変すると、

 

1推奨

ロナセン

エビリファイ(アリピプラゾール)

 

2推奨

シクレスト

ルーラン(ペロスピロン)

レキサルティ

 

くらいになると思われる。ロナセンはエビリファイよりおそらく体重が増えないと思われるが、海外で発売されていないため、モーズレイにはもちろん推奨されていない。

 

2推奨にモーズレイがシクレストを挙げるなら、ルーランやレキサルティはここに入って良いと思われる。ルーランも海外で発売されていないため、海外の推奨に挙げられていない。

 

エビリファイは実は第2推奨くらいになるのでは?と思うが、シクレストやレキサルティよりは体重が増えない印象なので、ギリギリ第1推奨に入れてよいと思う。

 

参考

統合失調症の患者さんの体重が増加する意味について

体重の減量のテクニック

太らないはずの薬で太る

今の薬は太らないと言う言葉