月経不順および月経困難症と漢方薬 | kyupinの日記 気が向けば更新

月経不順および月経困難症と漢方薬



漢方薬を精神科サプリメントのテーマに置くのは非常に違和感があるが、今さらテーマを分けることができないため、そのままにしている。

精神疾患では、漢方薬は西洋薬に比べ劇的な効果が得られないことが多い。特に内因性精神病(主に統合失調症と躁うつ病。内因性うつ病、非定型精神病など)では、漢方薬のみで治療しようとするのは非常に危険である。おそらく、10年後には相当な治療状態の差が出ていると思う。

ただし、患者さんによれば、西洋薬は忍容性の低さのため、到底、飲めない人がおり、軽い精神疾患では、それのみで良好な治療状態を維持できることもある。また補助的に内因性精神病に使うことも悪くないと思う。

最初に挙げたパンフレットは、月経不順の漢方治療について、実証から虚証までの体質に沿って二次元的にふさわしい漢方薬を表示したもの。

このタイプのパンフには珍しく腹診についても記載されている。



個々の漢方についての詳細。



これは月経困難症について、月経周期、基礎体温などの時間的経緯も考慮し、漢方薬が挙げられている。時間も考慮されているので、このパンフは平面だけど、3次元的か?

月経不順と月経困難症は重複する漢方薬も多い。ちょうど真ん中、つまり中間証に加味逍遥散がある。(24番)

体が弱い人は温経湯が良いとされているが、極端に弱い人は十全大補湯くらいだと思う。

最も体の強い人、実証の人には桃核承気湯(61番)が推奨されているが、実は中国で統合失調症の治療に使われていたと聞いたことがある。基本的に統合失調症は生来健康、実証の人の精神疾患なんだと思う。

桃核承気湯は強力な下剤であり、同時に瘀血に対する薬でもある。以下過去ログから、(マイルドセブン1日40本

あと余談だが、薬の中にこの肺梗塞や深部静脈塞栓症を抑制するものがある。例えば、桃核承気湯(ツムラ61)は便秘、統合失調症などに処方される実証の漢方薬だが、もともと瘀血(おけつ)の薬なので、血をサラサラにするのである。こういう薬を服用していると、上の疾患に限らず脳梗塞も起こしにくい。瘀血とは「血の滞り」という意味。あとサフランも同様な効果があると言われている。僕は、サフランや桃核承気湯を服用している患者さんは、肺梗塞などの疾患はありえないまでは言わないが相当に確率が低いと思っていた。ところが、もう3年ほど前だが、サフランを服用中入院患者さんで初めて脳梗塞が出た。これには驚愕。しかしかなり軽い症状で、専門病院に転院して保存的治療を行いリハビリも終えて後遺症なく治癒している。この時、まったく生じないというまではないことを知った。

桃核承気湯を統合失調症の人に使ってみると、統合失調症に対し、漢方薬がいかに非力なのかよくわかるよ。

中国は人口が14億人位らしいが、統合失調症の有病率を考えるに、少なくとも1000万人以上の患者さんがいることになる。彼らが、漢方薬のためにより軽いことはありえないと思う。過去(かなり昔)に中国の精神科病院の映像をテレビで観たことがあるが、ろくに服薬していないこともあり、無為好褥(陰性症状)で、体型も痩せている人が大半だった。統合失調症は基本的に、眠る、食べるなど基本的なことさえ、満足にできなくなる疾患なんだと思う。入浴なんて放っておくと全然しないので、恐ろしく不潔になる。

統合失調症は実証の人の精神疾患というが、長い経過のうちに次第に体が弱くなり、桃核承気湯が適切とは言えなくなる。徐々に弱っていくので最初はわかりにくいだけである。

長年、精神疾患を患っていて、更年期以降、便秘に悩まされ、西洋薬では全然効かない人は大建中湯(100番)などがお勧めである。この漢方は腸管の血流を改善し温める作用がある。(参考



個々の漢方薬の詳細。上から2番目に非常に似ているが、少し異なる(間違い探し)

参考
エストロゲンと精神疾患
附子
震災とツムラの漢方薬
柴胡加竜骨牡蛎湯
マイルドセブン1日40本
リフレックスの便秘についての考察