縁あって、週に2-3回、あるミニバスケットチームの体力トレーニングを担当しています。
バスケットに欠かせないダッシュ力、切り返し、判断力などを総合的に育成する役割です。
ダッシュ力の養成を通じて「絶対的なスピード」を身につけることも大切なのですが、
バスケのように小さなコートだと、0.3秒、0.5秒の判断遅れが追いつけない距離を生むので、
読みの力や、反応スピードの向上なども取り組んでいます。
昨日は体育館が丸1日借りられるということで、なんと朝9時から夕方4時までの練習。
飽きが来ないように他のコーチの方と話し合いながらメニューを組み実施しました。
◆
このチームには、小学1年生から6年生まで約40名、かなり幅広い年齢の子たちが参加しています。
小学生、とひとくくりにするとわかりにくいですが、
5-6歳の幅があるというと、中学生と高校生をまとめて相手にしている感じですよね。
幸いなことに、このチームの子どもたちはみんな、うまくなりたいと前向きで積極的です。
親に言われたからイヤイヤ来ているとか、仕方なくやっている子というのは本当にひとりもいません。
お昼休みを1時間ほど取っていても、弁当を食べたら早々に、フリースローやシュート練習を
始めています。なので意欲的には十分。
一方で、「聞く姿勢」というのが本当にバラバラです。
まず、集合の声がかかったときに、走ってくる子、歩いてくる子、そもそもわかっていない子。
色んなパターンがありますが、どの子がどのパターンなのかというのが、「ほぼいつも同じ」
なんですね。
そして、話をしているときも、まっすぐ目を見て聞いている子、途中でソワソワしだす子、
友達とヒソヒソ話をしている子…… これもだいたいいつも同じパターンです。
こういうのはある程度想定していましたが、これは学年を問いません。
2年生でも、しっかり聞く子は聞いている。5年生でも、聞いていない子は聞いていない。
さらには、聞いている子は、上達が早くて上手い。そうでない子は、反対です。
小さい子どもたちと関わってみて改めて、「聞く力」「聞いて理解する力」というのが、
成長のために最も重要なことなんだと気づかれました。スポーツでも勉強でも同じなのかもしれません。
だとすると、自分の役割としては「スポーツや運動のスキルを教えること」というよりも、
「話をしっかり聞き、理解する習慣づくり」なのではないかと思うようになりました。
この、社会生活のベースとなる力をしっかり付けさせてあげれば、バスケがうまくなるだけでなく、
今後何をするにしても、基礎力として生きてくるのではないでしょうか。
ここからは、腕の見せどころで、聞いていない子に「聞いてましたか?」と尋ねるのはあまり意味がありません。
実際に説明を再現してもらったり、説明した動きをデモンストレーションしてもらったりすることが
ひとつの方法になるし、自分にそういう出番が回ってくるとわかれば、しっかり聞くようになるかもしれません。
あの手この手を試してみて良い方法を見つけたいです。
◆
これって考えてみると、大人の世界でも役に立つかもと思っています。
相手が大人だと、「説明すればわかるだろう」と思ってしまいがちです。
でも大人ほど、「理解していると錯覚する」とか「わかっているふりが上手になる」面があります。
大人と大人の会話でも、話している内容をしっかり理解できているとは限りません。
特に最近では、チャットなど簡易コミュニケーションツールが便利すぎるので、
「わからなかったら後で聞けばいいや」という感じで、その場限りの理解が不十分なまま
会議や会話が終わったりするケースも増えているのではないでしょうか。
マネージャーとしては、自分が一緒に仕事をするメンバーの「聞く力 理解する力」に敏感になり、
それをいかに高めて行くか? を考えることが、能力育成の観点からとても重要ではないでしょうか。