みなさんこんにちは。今日の話題です。

昨年10月から放送がはじまった、NHK朝の連続テレビ小説「舞いあがれ!」。
長崎・五島列島とともに、おらが街・東大阪がその舞台になっている作品です。
このドラマ、気づいたこと、印象的だったことなどを毎週、取り上げて述べてみようという企みを、第1週からお送りしています。
先週は第21週「新たな出発」編。前後編はこちら↑
読売大阪朝刊特別版「よみほっと」2023(令和5)年2月26日付け 7面より。

それでは、第22週「冒険のはじまり」編まとめを前後半に分けお送りすることにいたします。


時は、2015(平成27)年5月に移りました。
騒音問題をきっかけに、町工場のことを地元の人々に知って貰おうと、主人公・梅津舞(福原遥さん)らが企画した「東大阪 町工場フェスタ」というオープンファクトリーのイベント。舞、29歳の頃。

期待以上の成功を収めて、町工場仲間にもこれまでにないような活気が湧いてきた、というところから当週ははじまりました。しかし…


ひし形金網という、フェンスを製造している小堺。しかし工場の経営が芳しくなく、会社を畳むか否かの瀬戸際に立たされていたのでした。

町工場の家業を、たくさんの人に知って貰いたいのは同じ小堺。しかし、イベントに参加したくても出来る余裕すらない工場がたくさんあることに舞や、最近に知り合った新聞記事の御園(山口紗弥加さん)は気づくのでした。


金網を編むという、簡単そうで技の要る力を活かして、なにか出来ればと考え込みます。
ここで、一計を案じようとするのが舞らしいというのでしょうが、自分自身のことは置いといて、他人のためにまず行動しようとするその舞が当週のテーマでもあったように感じました。


ひし形金網のことを詳しく知ろうとする舞は、原材料の線材も卸している取り引き先の製鋼会社の堤(モンスターエンジン・西谷洋一さん)から話しを聞くことに。


金網というと、野球場や運動場のフェンスくらいしか用途がない。さらに、安価で製造出来る大手に注文が集中してしまう。そのために、取り引き先もたくさん廃業してしまった。

どうにも、小堺の工場は苦しいことがわかるのですが、舞が考えついたのは金網フェンス以外の新しい使い道があれば…ということでした。
後日。舞は、小堺の元を訪ねます。


舞が考えついたのは、金網を活かしたフェンス以外の商品。それも、インテリアとして!


しかしこれまで、大手の下請け製造しかしたことのない小堺。いまさら自社製品などとんでもない、と返すのですが…

先代から舞も懇意にしている、金型製造会社の二代目・曽根(井之上チャルさん)が、この一言。

「舞いあがれ!」という作品は舞や、舞を取り巻く人々の成功譚も、もちろんここまでたくさんありました。
しかし、それに共通していたのは、そこに至るまでの苦悩を経て、さらに考え抜き、勇気を出して行動したことによる結果。
ことさら舞が、支えられる立場であったものが、今度は人を支える立場にも成長するまでになったのかと感じます。第15週より。


小堺も、おいそれと会社を畳みたい訳ではありませんでした。




技術もあり、いい製品を拵えることが出来る。それ以上に、自分自身が営んで来た仕事に対して高い誇りと、やりがいを持っていたことを、ひしひしと舞、曽根に話す小堺。

舞がさらに考えた、金網を使用したフェンス以外というのは「ハンモック」でした。しかし、商品にするためには金属の支柱が必要だという小堺。

舞が小堺の窮状を知って気づいたのは、小堺のように、町工場が経営に苦しむのは、個々の問題だけではないから、ということでした。




一軒一軒が、どこかしら必ず他の町工場となんらかのつながりがある。ゆえにひとつが立ち行かなくなると、必ず他の工場にも影響が及ぶ。
だからこそ、困った時には互いを支え、支え合う関係が大切。ただ、全体が落ち込んでしまうと、みな共倒れになってしまう。厳しい現実でしょうが、それをなんとかしたいと、舞の視点は既にそこに向いていることがわかりました。


そして、金網ハンモックが完成。
金属の支柱は最近、舞と行動をともにすることの多くなった金属加工会社を継いだばかりの、的場(杉森大祐さん)が製造。


その的場や曽根も、同じ考えのようでした。支え合うのは苦境の時だけではなしに、このように協力して商品を拵えることで、売れれば儲けになる。

こういったことは出来なくても、出来なかったことなのかも知れません。試作品とは言えど形に出来たのは、舞の行動があってこそでした。
しかし、網目がこれだけ細かいとなると、寝心地良さそうです。
さらに後日。オープンファクトリーで協力してくれた、舞の大学サークル時代の先輩、母校の浪速大学で、都市ブランディングの准教授を務める渥美(松尾鯉太郎さん)が訪ねて来ます。


市内にある河内大学が、校舎をリノベーションするに当たり、地元・東大阪の技術を活かすことに興味を示しているのだと。

さらに後日。河内大学の関係者が「IWAKURA」にやって来ます。




ここで出たのが「産官学連携」というキーワード!聞いたことはあったのですが、具体的なことは浮かびませんでした。こういったことがそれに該当するんですね。勉強になります。



町工場仲間に協力して貰い、拵えることが出来たハンモック。自身の技術に、あらためて誇りを取り戻したのでしょう。小堺さんが必死にアピールをする姿。印象に残りました。
さらに、金網のことを詳しく知らなかった舞もこう続けます。舞の長所というのは、こういったところですね。劇中、幾度も登場したもの。


舞と、小堺の熱意が通じたのか。建て直しするという、校舎の外壁にこれを使えないかと。



おそらくは、こういったことをする人物というものは、これまでなかなか居なかったのではないか…と、ここまでのシーンで感じます。
先ほども触れましたが、取り引き先と一対一になることが多かったであろう町工場。その技術を結集することで、はじめて形になった製品ですから…
そして、新校舎の外壁デザインに、小堺が製造する金網フェンスが使用されることに。良かった。

ところで、先日からお送りしている「市内ロケ地巡り」でも取り上げたのですが、このエピソードも実話でした。


市内の近畿大学で、ひし形金網を使用したデザイン文字が。河内大学は近大やったんですね(余談ですが「東大阪大学」は実在します)。

さらに、劇中でも言及されていた、文芸学部の校舎にも、産学連携の一環でひし形金網が用いられていた、という。これはすごいこと。近畿大学ツイッターより。
ところで、取り引き先の製鋼会社社員として登場していた堤さん。
演じているのはお笑いコンビ「モンスターエンジン」西谷洋一さんですが、実家が東大阪の町工場で、精密機械部品の製造を営んでいる方。
ホンマに町工場関係者みたいやなあと思いながら、拝見していたのですが。本物でした(笑)町工場ネタがおもろい方です。余談でした。

ところで、舞が進めている産官学連携の取り組み。次から次へとようやるなあと、事務員の山田(大浦千佳さん)は口にしていたのですが…
オープンファクトリーに参加した渥美先輩のゼミ生が、ものづくりに興味を持ったと、インターンシップの申し込みが相次いでいると。
結果として、これはきちんと還って来ているんですね。こちらも良いことだと安心しました。



その中心に居る舞。関係を築いた河内大学から校舎の内装や、インテリアのデザインを考える協力を求められていると、社長で母・めぐみ(永作博美さん)に話します。

めぐみは舞の多忙さもさることながら、舞がうっすら考えている
「町工場全体が生き残るために行動する意味」に、なにかしら気づいているようでした。
次回に続きます。
今日はこんなところです。