みなさんこんにちは。前回からの続きです。


昨年10月から放送がはじまった、NHK朝の連続テレビ小説「舞いあがれ!」。
長崎・五島列島とともに、おらが街・東大阪がその舞台になっている作品です。
このドラマ、気づいたこと、印象的だったことなどを毎週、取り上げて述べてみようという企みを、第1週からお送りしています。
先週は第22週「冒険のはじまり」編。前編はこちら↑

読売大阪朝刊特別版「よみほっと」2023(令和5)年2月26日付け 7面より。

それでは、第22週の振り返り後編をお送りすることにいたします。
ひし形金網の工場を営む小堺(三谷昌登さん)の経営危機を、これまで製造したことのない商品開発で救うに至った、主人公・梅津舞(福原遥さん)。


町工場見学のイベント「オープンファクトリー」での企画運営を務めたことがきっかけで、それらのまとめ役を託されることになったようです。

しかし、舞の本職は「株式会社IWAKURA」の営業担当に変わりありません。
さらに、町工場全体の活性化をさせようと活動する舞。社長で母・めぐみ(永作博美さん)はその多忙さを、心配するのですが…



小堺の金網フェンスを使用した、校舎の外観デザインが実現したことを機会にして、河内大学の学舎リノベーションをも提案されるように。


今度は、学生が利用するフリースペースのデザインやインテリアをどうしようか…という話しに。仕事への自信を取り戻した小堺さん(右端)。表情がこれは全然違います。良かった。



この会合は「町工場二代目の勉強会」ということになっているのですが、慢性的な人手不足や経営が厳しいという愚痴は、どこへやら。
参加者から、やりたいことが次から次へと出て来るではないですか。

これまで出来なかった、町工場が技術協力しての商品開発。
それが成功したことは社長さんたちにとって、よほどうれしいことだったに違いありません。えらいことを舞は現実にしたんやなと感じます。


ところが、フットワークの軽い舞と言えども、自社の仕事と、町工場をつなげてあたらしい商品の開発を進めることには、やはりどうにも無理があると、薄々気づいてはいました。

それでも、町工場が活性化されることは、回り回って自社へも還元されること。それが、今後の自社にとっても大切なことだ、という思いはもう揺るぎがない軸になりつつあるようです。


そんな中。懇意にしている新聞記事・御園(山口紗弥加さん)と会った舞。それぞれの工場の技術を活かして、これまでにない商品を創り出すことを、いい仕事だと褒められるのですが…


町工場を横につなげるということを、もし仕事にするというのなら、起業に賛同して一緒にやりたいと、御園は返します。


舞は、早速めぐみに相談を持ちかけます。営業担当として活躍する舞に、社長としては会社を続けてほしい。


しかし母親としては、自分のやりたいことをやってほしいと。せめてもの配慮、でしょうね。


そして、かつてカリスマ投資家として名を馳せた兄・悠人(関ジャニ∞・横山裕さん)にも相談を持ちかけます。
ただ起業すること、すなわち社長を務めるということが、いかにしんどいことか。舞に問いかけるのですが…

舞は、こう悠人に返していました。

この、舞のセリフで思い出したシーンがありました。浪速大学の人力飛行機サークルでパイロットを務め、空を飛ぶことに魅了された舞。


旅客機パイロットになりたいと、大学を中退して航空学校への進学を、両親に嘆願する場面。第5週より。

こんなことを、舞はめぐみと、亡き父・浩太(高橋克典さん)に話していました。
さらに、先代社長の浩太が急逝した後のこと。社長を継いでから自分たちの仕事や、高い技術に誇りを持つ亡き浩太、従業員たちの熱意を経営危機の中で、気づいためぐみ。
ふと口にしていたこの一言、ようやくにその意味がわかったように感じました。第15週より。


本題に戻りますが、舞がめぐみと悠人に切々と語る町工場の現実。厳しいものですが、実に的を得たもの。




冒頭から触れましたが、舞の懸念と言いましょうか、課題がぼんやりとではあるものの、明らかになって来ます。


そして、腹の決まった舞。御園とともに、めぐみに再び相談を持ちかけることに。

「下請けと元請け」という従来の関係でなく、小堺(ひし形金網)と的場(金属加工)の技術が功奏した「金網ハンモック」のように、町工場同士をつないで、消費者のニーズに直接応えるような商品を拵える、という仕事をしたい。


しかしこれは、聞いたこともない仕事です。
なんと表現したら良いのか、オーダーメイド…いや、プロデューサーも兼ねるような役割になるのでしょうか。

これまで、ありそうでなさそうな業態の仕事内容です。それも、御園は舞とともに、この仕事に賭けたいほどの心境なのだと。

実は新聞記事の御園は、町工場が実家だった、しかし、父が苦渋のもと畳んでしまったのだと話すシーンがありました。

御園が舞の考えに共鳴したのには、彼女なりの強い思いや、父親の仕事、技術への誇りに対しての、敬意が確かにあったのでしょうね。



1to1で、単一の商品しか作っていなかったそれぞれの工場の高い技術を集結させる。
それがすなわち、多様なニーズに応えることでもあり、ニーズが増えれば増えるほど、関わった工場の利益も、広い裾野になる。
なるほど、よく考えたものだと感心します。


町工場の、そのような現実を知る社長のめぐみは賛意を示してくれました。




ついに舞は、IWAKURAの営業を辞することに。
舞台は、2015(平成27)年のこと。
思えば父・浩太の急死から、パイロットの夢を封印して6年あまり。社会人経験もなしに会社を助けると、新入社員として入社してさまざまなことがありました。

地道な努力が、従業員全員に受け入れられていたのだと、舞が実感した瞬間だったでしょう。年明けの重たい雰囲気からはじまった舞の営業担当としての結果。これには、感動しました。

そして、これからのキャリアを考え抜いた御園も、所属していた「毎報新聞社」を退職。

起業することを決めたふたりが話し合う中で、決めた屋号は「こんねくと」。
”connect(つなげる)”が元だといいますが…


そういえばですが、幼少期に舞が五島列島に転地療養していた頃。フェリー乗り場でみやげ物屋を営むさくら(長濱ねるさん)の店に…
ありました!「とても良いところ 来てね五島」になりましょうか。第2週より。



舞と御園。ふたりのあたらな事業が、ついにはじまった…というところで、当週はおしまい。

ところで舞の起業に、いささか乗り気ではなさそうだったのは、やはり兄の悠人。

とある夜に、舞の親友・久留美(乃木坂46・山下美月さん)と出くわした時のこと。いまは地道に投資で利益を増やしているのだ、と近況を話すのですが…

悠人は、インサイダー取引で確か執行猶予中。彼も彼で、この世界で成功するためにもちろん努力していた訳ですが、かつては儲けている会社だけを見定めて投資していた身。


まわりを顧みる様子がなかった(ないようにしていた?)以前と比べて、これは大変な変化のように感じます。

これまでになかった事業を手掛ける会社が、世の中に認められるまでの体力があるのか否か。

めぐみの賛意をさらに後押ししたのは、新会社「こんねくと」を「IWAKURA」の子会社にするという悠人のアイディアなのでした。

きっとこれならば、悠人にもいい形で還って来るに違いないでしょう。そして、なにかとウマの合う久留美との関係はどうなるのかですが。

次週、第23週「飛躍のチャンス」予告編より。





いよいよ、社長・舞の新会社「こんねくと」が動きはじめるようです。

あれ、望月のお父ちゃん(松尾諭さん)が…
引き続き、期待して拝見したいと思います。
今週はこんなところです。