NHK朝ドラ「舞いあがれ!」一週間を振り返る〜第15週「決断の時」前編 | 「EXPO2025 大阪・関西万博訪問記」ありのまま生きてこう 自分を磨きながら

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みなさんこんにちは。今日の話題です。




昨年10月から放送がはじまった、NHK朝の連続テレビ小説「舞いあがれ!」。

長崎・五島列島とともに、おらが街・東大阪がその舞台になっている作品です。


このドラマ、気づいたこと、印象的だったことなどを毎週、取り上げて述べてみようという企みを第1週からお送りしています。




先週、第14週「父の背中」前後編はこちら↑



読売大阪朝刊特別版「よみほっと」2023年1月8日付け 7面より。



それでは、第15週「決断の時」編を振り返ることにいたします。




時は、2009(平成21)年のこと。

リーマンショックのあおりを受けて、経営危機に陥っていた「株式会社IWAKURA」。


会社をなんとか立て直そうと、主人公・岩倉舞(福原遥さん)の父・浩太(高橋克典さん)は奔走するのですが、無理を重ねた結果、帰らぬ人となってしまいました。第14週より。



正直申しますと、年が明けてからの放送は本当につらい展開が続いています。

ただ、苦境の中でも、残された舞は、母・めぐみ(永作博美さん)はどう考え、動くのか。


ちょうど、放送も半分を過ぎたところなのですが、ここがドラマの転換点になることには違いなさそうです。心して視聴することにします。


浩太の急逝を受けて、祖母・祥子(高畑淳子さん)と、幼馴染の貴司(赤楚衛二さん)も東大阪へやって来ます。少しでも、舞やめぐみの支えになれば、と思うのですが。


浩太の葬儀が終わり、めぐみは残された工場の今後について、息つく暇なく判断を余儀なくされます。




実力投資家として、名の知れた存在になっていた長男の悠人(関ジャニ∞・横山裕さん)は、
立て直す見込みのない工場は、すぐに畳んだ方がよいと口にします。

ただ、浩太が長年かけて大きくした工場。
めぐみはすぐに決断出来るべくもありません。


ここで、気になった場面がこれでした。
長崎・五島列島から来阪した、祖母・祥子と悠人とのやり取りです。


祥子と、悠人はおそらくこれが初対面。悠人の意見を聞いた上で、話しをしにやって来ます。



舞やめぐみ、生前の浩太には、投資家の立場から、損害が拡大しないうちに工場を売る方が良いと、常々話しをしていたのですが。


これまで、投資の世界で一流になろうと、彼なりに努力して来た悠人。その思いを聞いた祥子の、このひと言。


そういえば、投資家としての彼の努力というものを、亡き浩太や舞、めぐみはあまり良いようには感じていなかったことが、ここまでの劇中では描写されていたように思えます。


悠人は悠人で、ベストの着地点はどこなのかを冷静に判断している節が窺えます。ただそれに対して、浩太や舞、めぐみには、最後まで理解をして貰えなかったというのも事実。


これは…「ボタンのかけ違い」というのでしょうか、悠人の投資家としての判断や意見が、家族が経営している工場に関わることですから、冷静さと、どうしても感情が入り交じってしまう。如何ともし難いですが、なおさら複雑になります。第14週より。




今週は、あのおっとりとした性格の舞が、その悠人に食ってかかる場面すらあったのですが、この発言というのは、悠人にとってもつらいに違いありません。



悠人の判断や意見は「冷静な第三者のもの」と扱われがちですが、彼も、舞と同じ浩太の子。

それが「岩倉家の長男の意見」として扱われなかったことも事実ですし、意見の違いから口論になり、ついに和解出来ずまま、浩太と死別した悠人の心中も穏やかではないはず、です。
いずれにしろ、難しい局面に違いありません。




葬儀から数日後。工場の処遇に結論が出ないまま、めぐみは「IWAKURA」に事業資金を融資して貰っていた「東大阪信用金庫」の支店長や、担当の大西さんと協議をすることになります。





当座は、めぐみが社長代行を務めることに。
さらに、難しい判断を迫られます。


そして、浩太のもとで長年、経理を担当していた古川(中村靖日さん)も退職することに。

ますます、めぐみは窮地に追い込まれます。



悩みに悩み、めぐみは浩太の亡父から岩倉を支える、ベテラン工員・笠巻(古舘寛治さん)に今後の工場について、相談を持ちかけます。

これが、心に染みるようなやり取りでした。






笠巻は、生前の浩太からもなにかと相談を持ちかけられる、対等の立場でした。

ただ、笠巻の言葉には、ああしてほしい、こうしてほしい、ではなくて、あくまで事実だけを評し、なおかつ、相手の立場を慮るもの。そして相手の判断を促して、それを尊重するもの。


時には厳しくも、ここまで要所要所で、実に重みのある言葉を相手にかけて来た笠巻。長年、工場を陰に陽にと支えて来たこの人の動向が、今後の「IWAKURA」を左右するのではと感じます。達観している、とも思えるシーンでした。




その結果、めぐみは会社を畳むと決心します。

売却を目処に、信用金庫の関係者が視察にやって来るので、いつも通り仕事をしてほしいと。ところが…






不安でいっぱいであろう従業員が、精一杯にいつも通りの仕事をこなす姿。
信金が来るから、というのではなく、もとからこれくらい、活気のある会社なのだと。


これで、めぐみは心を打たれたのでしょう。


ところで、落ち着きを取り戻した様子を察した祥子が、五島列島へ帰ることになった前夜のこと。めぐみは、祥子にこう尋ねます。


祥子は五島で、釣り人のために漁船を運航することで、生計を立てている描写がありました。



船の名前は「めぐみ丸」
亡き夫・雄一とともに、海に出ていた船です。


「船に長女の名前をつけると縁起がいいから」と、舞(幼少期・浅田芭路さん)に語る祥子。


それだけでなく、浩太と結婚するために、若くして勘当同然でめぐみが家を出た後も、娘に愛情を持っていた証だと、語られていました。第2週8話より。




夫を突然に喪ってしまったという、自身も味わった悲しみ。それからも、心の拠り所になっていたのでしょう。それを、切々と語ります。




そして、浩太が生前に書き残していた「歩みノート」。「飛行機に関わる部品を製造したい」という夢を、あらためて確かめためぐみ。


浩太がその直前まで辿り着いた大切な工場を続けると、めぐみは翻意を決断するに至ります。

浩太の夢を理解している舞は、これからは会社のことはなんでもやると。



ただ、舞は舞でパイロットの内定が延期されている状態なので、果たしてどこまでどうなのか、というところです。

めぐみの決断に続いて、舞も、今後の決断がつくのか。本格的に工場に携わるのか、パイロットへの夢はどうなるのか。第11・12週より。



そんな中で、従業員に身売りは止めるとめぐみは伝えるのですが…





やはり、ここでも笠巻が援護射撃をします。



めぐみや、浩太の意思を十二分に理解しているがゆえの、笠巻自身にとっても「決断の言葉」だったに違いないのかも知れません。

やはり「IWAKURA」再建のキーマンは笠巻さんになるのでは、とわたしは見ました。



浩太の意思をあらためて確かめ、覚悟の決意で後任の社長へ就任することになっためぐみ。



おそらくは、先ほどの祥子との些細な、この会話にも、思うものがあったのでしょう。悲しくも、夫を急死で喪う同じ境遇に遭ってしまった二人、どうか立ち直ってほしいと感じます。

果たして、どのような展開になるのか。

後編に続きます。

今日はこんなところです。