数ヶ月ぶりに筆を取る。
吐き出したい衝動に駆られて。
今年2月に東京へ赴き、受けたオーディション。
ロケ地側の都合によるリスケ、
作品関係者の帯状疱疹(たいじょうほうしん)発症によるリスケ、
数回・数ヶ月に及ぶリスケを経て、
いよいよ撮影を迎えることとなった。
ふと思うところがあって、
その一連の様子を脚本形式で残しておくことにした。
◼️東京 自宅 台所
残り短い余生を告げられたかのような、全力の合唱が聴こえる
起きたてに水を飲み、ラッキーストライクに火をつける時光(33)
部屋と心のナニもかもを吐き出すかのように、勢いよく排気してくれる換気扇が静かに唸る
時 光「・・・」
◼️東京 自宅 バスルーム
バスタオルを用意し、シャワーを浴びる時光
時 光「・・・」
◼️東京 自宅 リビング
タオルで最低限の水滴を拭いアンダーウェアを履き、濡れ髪にオイルで潤いを与える
ドライヤーで髪を乾かし、持参する自前衣裳、宿泊用の着替えの準備を始める時光
時 光「・・・」
服を着る
◼️東京 自宅 玄関
クーラー、ガス、全てのライフラインを切り終えたか確認し、パンパンな鞄二つとスーツバッグを持ち、靴を履いて外に出る
合唱の声が一段と大きくなる上、辺りを照らしちらす太陽熱に嫌気がさす
時 光「・・・」
鍵を閉め、階段を降りていく時光
◼️東京 最寄り駅前 区営駐輪場
100円を支払い自転車を停め、鍵をかけて駅へ向かう
肩に食い込むいつもよりも多い荷物が、夏を増幅させる
おじさん「はーい、行ってらっしゃーい」
時 光「お願いしますー」
◼️東京 最寄り駅
駅NA「2番線に急行渋谷行きが参ります。黄色い線の・・・」
電車の戸が開き、乗り込む時光
網棚に荷物を置き、吊り革に手を入れる
時 光「・・・」
◼️東京 新百合ヶ丘駅 改札口
初めて降りる駅に戸惑いながら、あたりを見まわし、時間を確認する時光
(まだ少し時間があるな・・・)
◼️東京 新百合ヶ丘駅 改札口
駅内にあるパン屋でパンを数個買い、指定された北口のロータリーへ向かう時光
◼️東京 新百合ヶ丘駅 北口ロータリー
階段を降りてくる時光
(あ、あれかな?LINEの指示では「紺のハイエース」って書いてたけど・・・)
どう見ても黒いハイエースが1台停まっており、中から数名が手を振っている
◼️東京 ハイエース
坂 橋「はじめましてー。宜しくお願いしますー」
時 光「時光と申しますー。宜しくお願いします。いつでも運転変わりますんで言うてくださいね笑」
横 枝「あは、全員運転できますねw」
全 員「お願いしまーす!」
間一髪で降り出した雨を物ともせず、走り出すハイエース
◼️東京 走るハイエースの車中
景色を眺めながら、居心地が悪そうにパンを頬張る
時 光「・・・」
◼️静岡 どこかのサービスエリア
坂 橋「トイレ休憩ですー」
全 員「ありがとうございまーす!」
降りる一行
食べ終えたゴミを捨て、トイレへ向かう時光
時 光「ふぅ・・・」
つづく