心臓への副作用、iPSで把握 新薬開発に応用~「再生医療の本質、尊厳維持に」 | Just One of Those Things

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科学オタクの主婦が科学物のデータを集めて取り上げております、科学もの報道データ編。昨年は災害が続いたことから、取り上げられないまま、たまりまくっております。
 
今回は、iPS細胞特集です。「京大iPS細胞研 細胞の保管・供給プロジェクト 新法人移管へ」、「「iPS細胞ストック」異論なし~iPS細胞で脊髄損傷の臨床試験~iPS細胞から角膜 臨床研究」より。

 

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心臓への副作用、iPSで把握 新薬開発に応用
科学&新技術 社会 
2019/1/1 1:00 日本経済新聞

東京大学の染谷隆夫教授らはiPS細胞を使って、薬が心臓に与える副作用を見極める技術を開発した。心筋のシートを作って網目状の電極を貼り付け、薬を投与した際の電気信号を測れば、不整脈などの副作用がわかる。新薬開発で副作用を調べる手間を減らせるとみており、3年後の実用化を目指す。英科学誌ネイチャー・ナノテクノロジーに1日発表した。
 
東京女子医科大学や理化学研究所と協力した。新薬の開発では、動物実験では問題がなくても、人で副作用が見つかって開発が中止になるケースがある。問題となる副作用のひとつが不整脈だ。心臓の薬だけでなく、体の様々な症状に効く薬で問題となる。
 
研究グループはiPS細胞を心筋に育て、シート状に加工したうえで、柔らかい素材の薄い電極を貼り付けた。拍動させながら薬を投与し、電気信号を測る。投与してないときの信号と比べることで、心臓への影響がわかる。電極が硬いと心筋の動きが妨げられてしまう問題があった。
 
拍動を速める薬で試したところ、4日間測定でき、副作用を把握するのに使えると確認できた。
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ネイチャーで調べてみましたが、翻訳された記事はありませんでした。

心筋細胞の表面電位を超柔軟センサーで測定、拍動を妨げず~東大などが開発(2019年01月02日)

 

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「再生医療の本質、尊厳維持に」 江藤浩之・京都大学iPS細胞研究所教授
新幸福論 Tech2050
2019/1/3 0:00
日本経済新聞 電子版

再生医療や遺伝子編集など人間の生命をつかさどる技術の発展が著しい。iPS細胞から血小板を作る研究を手掛ける京都大の江藤浩之教授は、現在は高額な再生医療が2050年には多くの人が利用できるようになるとみる。超長寿化や不死をもたらすとの期待もあるが、「再生医療の本質は寿命を延ばすことでなく、人間の尊厳を維持することだ」と指摘する。
 
――iPS細胞から血小板を製造する研究を手掛けたきっかけは何でしょうか。
 
「輸血発明から100年以上たつのに、血小板を含む血液製剤の供給システムは献血という原始的な方式。日本人的な奉仕の精神には合うのかもしれないが、iPS細胞ができた2006年ごろから将来輸血用の血液が足りなくなると言われており、危機感から研究に乗り出した」
 
「だが周囲は猛反対。血小板を含む血液の成分は細胞数が多く、そんな量の細胞を作れるのかと疑問視する声が絶えなかった。血液の専門家からも『あんた何言っているの?』と。現在は献血ドナーがいない難病を抱えた患者を対象に自身のiPS細胞から製造した血小板を用いて治療する臨床研究に着手した」
 
――iPS細胞を含む再生医療の行方をどうみていますか。
 
「この10年、いや5年の進化のスピード感がものすごく早い。自分も含めて血小板がどうできているかなんて全然分からなかったが、少しずつ分かるようになってきた。再生医療はますます発展し、2050年にもなれば一般の人が利用できる価格帯になっているのでは。何千万、何百万という高額な費用はかからない」
 
「体の主要なパーツも再現できる技術が開発されているだろう。5年前、10年前に予測できなかったことが今でもできる。30年後は一層、変化が加速する。ただその中でiPS細胞を含めた手法の淘汰は出てくる」
 
――医療の進化で人間の寿命はどのくらいまで延びるのでしょう。
 
「動物ごとに寿命の限界は遺伝子レベルで決まっているという。遺伝子研究者によると、人の寿命は115歳が最高という予測もある。寿命の上限も停滞しており、延びて100歳いくかどうかではないか。むしろ、寿命の上限は決まっている方がいい。亡くなるギリギリまで芸術や運動など好きなことをして、自分で納得できる生き方をした方が人生は楽しい」
 
――再生医療に超長寿化や不死を期待する声もあります。
 
「健康で長時間過ごすことができるという意味で、老化の防止には貢献できる。年をとって筋肉が衰えて歩けなくなった場合、下半身の筋肉を補ったり、ずっとゴルフをするために上半身の筋肉の機能を補ったりすることは考えられる」
 
「誤解されがちだが、再生医療の本質は長寿化などではなく、何かしらの理由で人生が損なわれた人の穴埋めをすることにある。例えば交通事故で体が不自由になり、意識はクリアなのに行動が制限されるのは尊厳が損なわれた状態。こうした人々の機能を回復させるのが再生医療。『自分はこうありたい』と思う人の人生を支えるのが再生医療に携わる人の願いだ」
 
(聞き手は村越康二)
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本日は、久々に、日本経済新聞からのものでした。

 

このシリーズは、上がってきたときに、また取り上げます。

 


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