昨日に続いて、この春に収録した衛藤公雄作品を紹介させて頂きます。
二曲めは「湧き出づる力」です。この曲は、箏曲合奏の定番作品としてご存知の方も多いのではないかと思いますが、今回は独奏版です。独奏の楽譜は公刊されていないので、衛藤先生のレコードを除くと、この演奏が初収録ではないか、と思っています。
1944年作曲。終戦の前の年に書かれた曲です。「夢箏(宮川嘉有子著)」に、
昭和17年から終戦までの3〜4年の間に、先生は持って行き場のないやるせない思いを作曲に傾けて、「湧き出づる力」「思い出(ご参考 1、2、3、4)」「荒城の月変奏曲(ご参考)」をはじめとする数々の秀作を生み出したのでした。
と記述のある通り、この頃、沢山の曲を作られています。
この「湧き出づる力」は、「原題 IZUMI」と伝えられていますが、なぜローマ字表記なのか、戦中であることを考えると、ちょっと不思議な気がします。このIZUMIは、漢字で書けば「泉」。英語タイトルは、「a Spring」です。
どうかすると、遅く、重くなりがちな曲だと感じています。意識して「動き」を感じさせるように心がけて演奏して欲しいと思っています。
衛藤先生は、この曲がお気に入りだったようで、いろいろな合奏形態に編曲されています。私も、衛藤先生のご指導の下この曲を姉弟子達と合奏して、合奏の楽しさを教えて頂きました。