『Virginia/ヴァージニア』(原題: Twixt)
◆原題の「Twixt」 が意味するところはBetween。
そびえたつ7面の時計台の7つの時計すべてが別々の
時刻を表示し、時間が意味を持たない街。
自著を対面販売するためにこの街を訪れた三流小説家が
この街で体験するのは、夢とうつつ、あの世とこの世
そして現在と過去の間の世界。
そしてこの世界を行き来できるのが永遠の命を持つ
ヴァンパイヤー。
◆最愛の娘を水難事故で失い、この事件から立ち直れずに、
アルコールで脳のバランスを保っている三流小説家が
この街で遭遇したのが、米国でその業績を称えてエドガー賞が創設され、
今でも愛されている
ミステリー小説の大家エドガー・アラン・ポーの
亡霊であり、溺れ死んだ娘と同じような年で、1950年代にこの街で
殺害されたヴァージニア(V)の亡霊。
◆本作の特徴はその幻想的で美しい映像。
スクエアなストーリーは必須ではなく、監督の感性でふくらまされた展開を、
観る者がそれぞれ解釈することになる。
◆前作の「テトラ過去を殺した男」(TETRO)の映像美はそのままで
よりストーリーの解釈が観客に委ねられている本作。
今年74歳となるフランシス・フォード・コッポラは、
永遠の命を探して、
これからどのような道を進んでいくのであろうか。
「崖っぷちの男」(Man on a Ledge)
原題は雨や太陽光を遮る目的で高層ビルの外壁にしつらえた
出っ張りに立つ男の意味、
邦題の「崖っぷちの男」は、この主人公がマンハッタンの高層ビルの外壁
で立っている位置と
主人公が追い込まれている状況を併せて表現している。
サム・ワーシントン演じる元刑事ニック・キャシディが数十億円のダイヤモンドを
盗んだ罪で投獄され、やけっぱちな日々を過ごしているところから始まる本作は、
巧妙に仕組まれたプロットが一つ一つ積み重ねられ、最後は観客に映画の面白さを
たっぷり味わせてくれる秀作に仕上がっている。
マンハッタンの高層ビルの21階の窓の外にしつらえた幅40cm程度の出っ張りに
実際に立ち、飛降りることを口にするサム・ワーシントンと、
この“自殺”をなんとか阻止しようとするエリザベス・バンクス扮する女性刑事リディアの
心理戦と並行して、
小気味の良いテンポで、このホテルと道路を隔てて立っているビルの中
で行われているスリリングな極秘作業が並行して進行していく。
金を媒介とした警察組織の腐敗、無実を信じる家族達、英雄を期待する群衆
金庫を守るハイテク技術、ステレオタイプの要素を組み合わせても、
個々の要素を複雑に組み合わせることで、面白い作品が完成する。
結末から逆算して物語を練り上げたような「崖っぷちの男」は
アスガー・レス監督の2012年作品。




