「おとなのけんか」(Carnage)
原題は「大虐殺、殺伐」を意味する「Carnage」
ことの発端は子供たちの喧嘩。
片方の子供がもう一方の少年の口元を
棒で殴り、数本の歯に大きなダメージを与えた事。
一番簡単な解決策は、歯を折り,歯神経にもダメージを
与えたような怪我を負わせた少年の親が、少年を連れて
怪我を負った少年とその親に反省の言葉を述べれば
それで一応は済むこと。
本作では敢えて少年達は舞台に登場させず、
最初は穏やかに話を収めようとしていたそれぞれの両親が、
フラストレーションから、最後には、
日頃心に貯めていたそれぞれのパートナーに対する
憤懣を爆発させる姿をシニカルにコミカルに追っていく。
ジョディ・フォスターとケイト・ウィンスレットの演技派女優が
迫真の演技で見苦しい妻を演じ切り、
クリストフ・ヴァルツ、ジョン・C・ライリーが“たよりにならない”父親、
夫を独特の個性で演じ切る。
舞台劇を原典として.
最初に流される子供たちの喧嘩の場面以外は
マンハッタンの高級アパートが唯一の舞台である本作は
理性のタガが外れた大人たちの、
無様でみっともないけんかの姿は
ロマン・ポランスキー監督の心の“無常”が表現されている
のであろうか。




