「桃さんのしあわせ」
舞台は香港と中国大陸、
映画監督のロジャー(アンディ・ラウ)が生まれる前からメイドとして
一家につかえ、ロジャーを乳児の頃から世話をしてきた
メイドの春桃(桃さん:ディニー・イップ)とロジャーのおとぎばなしのような
「桃さんのしあわせ」
家族は北米に移住し、香港にただ一人残った
ロジャーに美味しい料理を食べさせ、快適に暮らせるように
身の回りの世話をやくことを生きがいとしていた桃さんが
ある日突然脳卒中で倒れたことからこの話は始まる。
思うようにロジャーの身の回りの世話をやくことが出来なく
なった桃さんは、介護をつけて一緒に暮らそうとするロジャーの
提案を潔く断り、老人ホームで暮らすことを選択する。
色々な人生を過ごし、訳あって老人ホームに入居してきた
老人達に対する桃さんの隣人愛、おおらかさに人間としての
尊厳を深く感じ、ロジャーが自作のプレミア上映に招待した
桃さんの少女のような喜びの表情が素晴らしく美しい。
ロジャーの身を案ずる桃さんが自ら新しいメイドを探す
場面は、その真剣さが笑いを誘い、ロジャーの家族が
桃さんを家族の一員のように接する姿に胸が熱くなる。
中国人の父と日本人の母を持つアン・ホイ(許鞍華)監督は
本作で「感謝」、「愛情」、「尊敬」の心の美しさ、
人間としての「尊厳」、そして老いゆく女性の理想の姿を、
メイドの桃さんと雇い主の息子ロジャーのふたりの大人の
お互いを思いやる接し方として描いている。



