「記者魂」 (ROGUE ISLAND)
ニューヨークの北東、カナダと接するニューイングランド地域の
ロードアイランド州プロヴィデンス。
神の摂理を意味するプロヴィデンスの街、
雪に覆われたこの街で突然多発する放火事件。
地方紙の新聞記者として連続放火事件の取材を続け、
独自の調査で犯人捜しを続けたマリガンは、
街区の特定の地域でのみ放火事件が多発し、
この区域が極秘で進められている再開発の
候補地域であることを掴む。
ドラッグ密売等の非合法的手段でなく
表向きは不動産業や建築業の看板を掲げている
マフィアの利権に絡む荒っぽい作業。
ブルース・ダシルヴァが新聞記者時代に執筆した記事を
目をとめたエド・マクベインからの手紙に触発され
後年小説化された本作は
所謂米国ハードボイルドの伝統を継承する作品であり、
胃潰瘍に悩まされる“孤独”な新聞記者マリガンが唯一心をゆるし、
個人としての時間を共有できた幼馴染の消防隊長ロージーや
マリガンが恋人と思い込む同僚の法廷番記者ヴェロニカと共有した
悪との戦いの日々をブルージーに描いている。
ボストン・レッドソックスの試合結果と選手たちの名前が多用され、
ブルースギタリスト バディ・ガイや強烈なロックギタリストのトミー・カストロが
サウンドトラックのように重要な場面で作品のムード作りに活用されている
本作は、1994年のエド・マクベインの手紙から16年後の2010年に上梓され
ブルース・ダシルヴァはアメリカ探偵作家クラブ賞最優秀新人賞を受賞している。
ROGUE ISLAND=ならずものの島
キョウチクトウ夾竹桃
五番町ではプルメリアに良く似た白い
キョウチクトウが満開となっているが、
今年も二子玉川緑地公園で
淡紅色のキョウチクトウが咲き始めた。
キョウチクトウの学名はインドが原産地であることを示す
Nerium oleander var. indicum。
青酸カリを上まわる毒性を示し、中国やロシアでは長らく
心不全の薬として活用された強心配糖体オレアンドリン(Oleandrin)は
学名通りキョウチクトウの成分から見出されている。
頑健で真夏の強烈な日差しをものともせずに咲き続ける
キョウチクトウ。
残念ながら、樹木全体が花に覆われる真夏を前に、
二子玉川花火大会の会場作りを目的に
蕾をつけた枝ごと半分以下の背丈まで強剪定されてしまう
この場所のキョウチクトウ。
毎朝この花達が咲く姿を楽しめる日々も
それほど長くはない。
「汚れた心」 Corações Sujos
ブラジル奥地からリオデジャネイロまで数千キロを自転車で
旅する、貧しい生活に決別し都会での生活に一縷の望みを
持った一家の物語「Oi ビシクレッタ」、そして第二次世界大戦前は
友人であったユダヤ人とドイツ人の青年が開戦後のユダヤ人迫害で
大きく人生が変わっていく様子を描いた「善き人」を制作した
ブラジル人のヴィセンテ・アモリン監督の作品「汚れた心」は、
主要な役柄に日本人俳優を配し、日本の敗戦時に無条件降伏の
事実が正確に伝わることが困難であった1946年から数年の間に
ブラジルで実際にあった日系移民同士の悲劇の物語を描いている。
異国で辛酸をなめながらも日本人であることを己の誇りとした一部の
日系人は、“皇国”の敗戦を認めるインテリ・富裕層を含むブラジルで
成功した日系移民を國賊扱いし、國賊を殺害するのは臣民の使命であり
咎めを受けることは無いと正当化した。
人類が誕生する遥か以前から存在する地球。
この地球で人類が住めることのできる地域を“国境”で区切り、
国境で区切られた地域の人々が生きるために領土を争うことで
強者が生き残ってきた人類の歴史。
戦後既に68年、明治、大正、昭和初期と列強が帝国主義的拡大を
図っていた当時と比較して、その日の生活に困窮し、飢えて死んでいく人々の
数が減っていることは確かな今からみると、
国を国民の上に位置づけ、国の為に国民が死ぬことを当然と考える思想は
その当時の国民を洗脳した狂気の思想と思える。
「汚れた心」と題された本作は、盲目的に国家の偏った思想に従った
人間が辿った汚された人生を映像化することで、
ヴィセンテ・アモリン監督が常にその作品で問うている
”個人の生存理由”、自己が依って立つところを考察している。


