「マシンガン・プリーチャー」
刑務所帰りの“犯罪者”がある事件をきっかけに
神への信仰を生活の規範とする妻、娘、母の助けを借りて更生し、
自ら受洗して教会員となり、
アフリカ・スーダンの内乱の被害者として悲惨な日々を送っていた
多くの子供たちに安全な避難所を提供することを使命として、
自ら戦いの日々を送った、実在の人物サム・チルダーズをモデルとし、
ジェラルド・バトラーを主役に、マーク・フォスター監督が2011年に制作した
「マシンガン・プリーチャー」(Machine Gun Preacher)
この作品は、自分の身は自分たちで守る、
自分自身で身を守ることが出来ない弱者の子供たちの命は、
強者である大人たちの手で守り抜くという
西部開拓時代の正義感、倫理感が色濃く投影されている。
戦争のない平和な日々を送っている多くの先進国の人たちにとって、
新聞で目にすることはあっても活字からその実態を正確に知ることは
容易ではない、アフリカ・スーダンの無法と化し、
死が日々の生活を支配する環境。
笑顔が消えた子供たちの姿を映像化した本作は、
映像をメッセージの伝達手段とする映画の持つ潜在力が
十二分に発揮されている。
理想を追求することが、逆に家族に負担をかけ、
家族の”犠牲”の上で他者が救われる。
「HICK ルリ13歳の旅」
共に酒に溺れ、お互いを尊敬する心を失い、
酒を飲んではいがみ合い、家庭を崩壊している両親から逃れ、
テレビで見た”楽園“ラスベガスで自らの人生の再生を願い、
中西部ネブラスカの田舎町から、ヒッチハイクでカリフォニアを
目指す13歳の少女ルリ。
ルリを演じるのが、「モールス」「ヒューゴの不思議な冒険」で独自の存在感を
示し、本作でも絵を描くことが好きでこれまでの人生を絵で表現する
多感な少女を見事に演じ切ったクロエ・グレース・モレッツ。
「レ・ミゼラブル」での素晴らしい歌唱力、「マリリン7日間の恋」での
好青年役が印象的だった英国俳優エディ・レッドメインが
最初にルリを車に乗せ、夢見る少女ルリの生き方大きな影響を
与える足の悪いカーボーイを演ずることで、
一歩間違えば危うい題材の本作の品格を保持している。
過酷な出来事を体験し、母親の愛情を求めて電話したルリに
電話口で話すルリの母親の言葉は、
ルリの一縷の希望を無残に打ち砕く。
人間の非情さ、危なさ、それと相反する優しさ、思いやり、
親から見放された子供の寂寞感、
ルリが光に満ちたカリフォルニアで、
逞しく生き抜くことを願う。
アンドレア・ポルテスの原作・脚本を基に、
デリック・マルティーニが制作・監督、共同脚本を務めた
2011年の作品
「愛の残像」(La frontière de l'aube)
他者への愛は人を孤独から救い、
愛の不安定さは、時には人の命を奪い、
一度失った愛は永遠に取り戻すことができないのか。
モノクロの映像で、フレームいっぱいにクローズアップされた
ローラ・スメット、ルイ・ガレルの目の表情が、
フィリップ・ガレル監督の人生観を適切に表現し、
哀切感に満ちた独自の世界を作り上げている。
物語の中心はルイ・ガレル演じる写真家フランソワとフランソワに
ポートレイト撮影を依頼した女優キャロル(ローラ・スメット)の出会いと
離別。
原題は夜明けとの境界の意味、
闇の世界と、太陽の輝く明るい世界、
闇の世界から逃れることのできない無常観、
永遠に満たされることの無い心の飢渇が
モノクロの画面で展開されていく。


