チェンジリング
1920年代のロサンゼルスを舞台に、
突然姿を消した最愛の息子を取り戻すために
当時の腐敗したロスアンゼルス警察組織を相手に
自己を信じて闘った母の実話に基づいて制作された
「チェンジリング」
社会的弱者を描いたら天下一品のクリント・イーストウッドと
本作をクリント・イイーストウッドが監督する事を知り、
自ら出演を申し出たアンジェリーナ・ジョリーががっちりとタッグを組んだ
「チェンジリング」は、シングルマザーとして、人生の生き甲斐であった息子を失った
女性の母性愛の物語であり、一人の人間として“強権”に立ち向かう
勇気物語である。
電話交換室のスーパバイザ―として多忙な日々を送っていたクリスティン。
突然の呼び出しで、息子と約束していた映画に行く約束を断念し、
一人ウォルタを残して職場に行ったクリスティンが家に戻ってくると
ウォルタは姿を消していた。
数日後ロスアンゼルス警察がウォルタだとしてクリスティンに引き取らせた少年は
全くの別人であり、自分たちの失態を認ない警察組織ぐるみで
クリスティンを精神障害者に仕立て上げようとする。
腐敗した権力を攻撃するクリスティンの支持者達。
母そして一人の人間として、哀しみ、強い意志、
そして僅かな望みを表現するアンジェリーナ・ジョリーの力強い
まなざしがこの作品を特徴付けている。
「東ベルリンから来た女」
時代はベルリンの壁が崩壊する8年前の1980年。
場所はバルト海を渡れば西側のスウェーデン、デンマークに
脱出できる東ドイツ北部の田舎町。
反体制的行動を理由に、常に強い風が吹き、特殊警察といえる
国家公安局の支配下にあるこの街に東ベルリンから送り込まれた
優秀な女医バルバナ。
全ての行動が監視され、基本的人権さえも無視されるような
処遇に甘んじて医者としての生活を送っているバルバナの夢は
西側へ移住することと、彼女を追って時々この街を訪れる
西側に住む恋人との密会。
冷戦下、人間の尊厳を奪う国家公安局の厳しい監視下で、
矜持を高くして生き抜く意思を持った人々、
あるいはその日を生き延びるために自分の意志に反して
体制に“迎合”して生きる人たち。
第二次世界大戦以降、西と東に分断され、その体制を維持するため
国家公安局が国を支配していた時代を背景とするドイツ映画の秀作は
少なくなく、これらの作品の中ではドイツを代表する名女優マルティナ・ゲデックの
存在が印象的であるが、本作の主人公バルバラを演じるニーナ・ホスも
自分の人生を支配してきた国家公安局に対する反撃を
無表情にも思われる感情を抑えた演技で演じ切っていた。
バルバラが自身の自由より優先したことは、
人間を人間と見なさない監視社会の中で、
人を人として尊重する生き方を選択する
個人の存在であった。


