「見る前に跳べ」 内的矛盾を抱えたまま
学生時代に読み、最近また題名が気になって、作品を読了した
大江健三郎の初期の作品「見る前に跳べ」
文學界でこの作品が発表されたのは、安保闘争で
樺美智子さんが犠牲となられた1960年の2年前の1958年。
「見る前に跳べ」の題名は
「石橋を叩いて渡る」の意味の「Look before you leap」とは逆の、
アメリカの詩人W.H.オーデンの難解な詩「Leap Before You Look」に
触発されたとされる。
“どれだけ見ていても良い、しかし跳ばなくてはいけない
どれだけ笑っても良い、しかし跳ばなくてはいけない
見ている人は誰もいないかもしれない、しかし跳ばなくてはいけない“
自分が空想する“強い力”の前で自らを無力化し、
自分の将来の姿と相対する事を避けている自分を
恥じているが、「跳ぶ」事が出来なかった学生の姿が、
初期の大江健三郎独特の、
無国籍とも言える文体の上に、物語られていた。
"受験戦争”に勝つことを絶対視していた高校時代に
たまたま手に取り、小説が自分と同時代に生きており、
自分の人生にとって掛替えのない存在と思うようになった
「芽むしり仔撃ち」も同じ年1958年に執筆されている。
この頃の大江の作品には、
当時、アメリカのホームコメディーが好んで描いた、
理想的家庭で平和に何不自由無く生きる人とは異なる次元の、
生き方に対する漠然たる不安を抱えるが故に、
“非日常”的な日々の暮らしに振れていく若人の
生き様を、言葉を手段として自分と読者が考える場を
提供していたように思える。
おそらくその文体が原因で、「万延元年のフットボール」以降
きちんと大江の作品とは正対していないが、この機会に
「沖縄ノート」を含めてもう一度大江の足跡をたどってみたい。
庭のムクゲの”一番花”
梅雨空の下、毎朝新しい花で
楽しませてくれる。
今朝の東の空
トニー賞 キャサリン・ゼタ=ジョーンズ
話題的には随分遅くなってしまったが、
先日ラジオ・シティ・ミュージック・ホールで開催された
本年度のトニー賞ことアントワネット・ベリー賞の授賞式、
お祭りのイメージが強いアカデミー賞授賞式は、
例年、ジャック・ニコルソンのような、
ハリウッドの主的“快”俳優が会場の雰囲気を
支配する事が多いが、
東海岸のニューヨーク・ブロードウエイで公演された
演劇およびミュージカルを受賞対象とする本賞受賞式は、
舞台での演技力、作品の実力を評価された受賞者の驚きと
喜びが作品のように、そのまま伝わってくる、
躍動感・臨場感が魅力的な授賞式であった。
今年は、映画の世界で実績を上げている俳優の活躍が目立った。
オーストラリアで舞台女優としてスタートし、
映画俳優として独自の地位を築いているケイト・ブランシェット
(アイム・ノット・ゼアでボブ・ディランを演じた当時と
全く変わらないスタイルは見事)
自らもトニー賞最優秀男優賞を受けたデンゼル・ワシントン等等、が
プレゼンテーターとして多く起用されており、
フェルメールの輝く名作をモチーフにした「真珠の首飾りの女
でのグリード役が懐かしいスカーレット・ヨハンソンが
演劇部門助演女優賞を受賞。
予想外だったのは、「トラフィック」、「シカゴ」での
「自己中心的な悪女」役から
「ターミナル」、「幸せレシピー」での
「思いやりのある天使」的役割まで
幅広い演技をこなすことができる女優の
キャサリン・ゼタ=ジョーンズが
ミュージカル部門で最優秀主演女優賞受賞を受賞した事。
名前を呼び上げられた時の本人の驚きの表情、シンデレラに例えた、
ロングドレスの裾を持って舞台に上がった第一声、そして、少し
舞い上がってしまったのか、客席で、ご両親の隣に座っていた
夫・カーク・ダグラスを紹介する愛情のこもった“失言”。
スクリーンでは見られない顔が垣間見られた、人間的な
キャサリン・ゼタ=ジョーンズであった。
キャサリン・ゼタ=ジョーンズが交代で主役を
務める A Little Night Music
マーク・ロスコ の絵画を背景とするRED
ロンドンからスタートし、作品賞を受賞した
ノース・バード
亜熱帯モンスーン気候の再現のような、
湿度が高い今朝の東京地方。
このような朝、梅雨の無い北国は快適そうであるが、
爽やかな語感で胸に浮かんだ、“ノース・バード”は、
北海道の高校生でありアルトサックスプレーヤーの
寺久保エレナさんの才能を高く評価する愛称。
以前一度テレビでその演奏を聴いたが、
ニックネームの由来であるチャーリー・パーカーをも
彷彿させる、アルトサックスから紡ぎ出される力強く、
豊かな響きに耳を奪われた。
スタン・ゲッツの晩年の傑作であり、私の好きなアルバム
「ピープル・タイム」でデュオとして素晴らしいサポートをしていた
あのケニー・バロンを含むニューヨークのミュージシャンをバックにした
デビュー・アルバム「North Bird」が先週 6/23にキングレコード
から発売されたとの事。
“ノース・バード”こと寺久保エレナさん、卒業後は大先輩であり、
彼女を応援している渡辺貞夫と同じくアメリカで研鑽を積む道を
選んでおり、世界に飛び立つ無限の可能性を秘た若人の一人。
ミニトマトの収穫
ペルーやエクアドルの高原地帯が原産地で、
多湿を嫌うとされるトマトだが、遥か遠くの日本で品種改良が進み、
この梅雨空の下、次から次に赤く成長している





