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「悪の法則」(THE COUNSELOR)


今年81歳となるピューリッツァー賞受賞作家コーマック・マッカーシーの

最新作であり、映画脚本の体裁をとっている著作「悪の法則」

(THE COUNSELOR)


コーエン兄弟が監督し、血の凍るようなハビエル・バルデムの殺し屋ぶりが印象深い

映画「ノーカントリー」の原作である「No Country for Old Men(血と暴力の国)」を

著したコーマック・マッカーシーの精神世界がそのまま水平展開されているかのような

「悪の法則」。


舞台は「No Country for Old Men」と同じく麻薬取引の場として

ステレオタイプとも言えるメキシコ、米国国境地帯。

富をめぐる利権争い・抗争による血で血を洗う暴力が日常茶飯事のこの地で、

弁護士とその愛人を主人公とし、この弁護士を麻薬取引に引き込む男と

ラテン系でワイルドなその愛人、そして麻薬取引に関係する“悪人”達の

“冷血”な所業を書き記した本作。


細かいプロットは全て読者の想像力に委ねられ、その結果だけが提示され、

剥き出しの欲望に満ち溢れた“難解”ともいえる本書で、

コーマック・マッカーシーが提示したかったのは、完結した物語でなく、

フィクションとしての小説が持つ想像力であり、

理性や道徳等の国や社会が作り上げた規範に洗脳された人間への

束の間の精神的束縛からの解放であろう。


プロメテウスに続いてコンビを組んだマイケル・ファスベンダー、そしてペネロペ・クルス、

ブラッド・ピット、キャメロン・ディアスと芸達者な俳優を主要人物に配して

本作を映画化したルドリー・スコット監督。


その作品が複数映画化され、商業的成功を得ているコーマック・マッカーシーの

著作という理由に加えて、いつも雨が降り続く、オリエンタルなネオンサインが眩しい

「ブレード・ランナー」の非日常的空間や、出世作である「エイリアン」で、

追い詰められた人間の心理を映像として観客に提供する卓越した技術を持つ

ルドリー・スコットが、この難解でサディスティックな嗜好に満ち溢れた原作の神髄を

どのように映像化したのか、大島渚や新藤兼人の世界との比較で

既に昨年公開されている作品を確認してみたい。





雪だるま

先週に引き続き、東京地方は大雪に見舞われた。

雪に弱い都心部、岡山、京都等地方からの参加者が多い会議を

予定していた金曜日。本格的な積雪が遅い時間にずれ込んだことがあって

事なきをえたが、帰宅時にはよこなぐりの雪で往生した。


一夜明けた今日、膨らんできた蕾をつけていた沈丁花の枝が

雪の重みで曲げられてしまっていたが昼前には回復した。





除雪した雪で作られた雪だるま。




葉牡丹は元気







「恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム」


インド共和国の中部や北部で話され、連邦公用語として

我が国の総人口の約4倍以上の約5億人のインド国民

(総人口は約12億人)の共通言語であるヒンディー語。


年間映画製作本数,映画館観客総数共に世界一と称される

インド映画。特にヒンディー語で制作される“ボリウッド映画”は

この巨大な市場の要求に応えることを意識した、カラフルで

エネルギッシュで、ひと時非日常的空間に没入できるあと味の良い

娯楽大作の宝庫である。


ニューデリー生まれで2001年の作品「家族の四季-愛すれど遠く離れて」や、

2010年の「マイネーム・イズ・ハーン」で我が国にもなじみのシャー・ルク・カーンが

主演し2007年に制作された本作「恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム」も

圧倒的迫力でプロの技が楽しめるダンスシーンが随所に挟まれた

古典的人情劇であり、復讐譚である。


30年前にムンバイにある映画スタジオで脇役俳優として将来を夢見ていた

オーム・プラカージュ(シャー・ルク・カーン)は、話したこともない、絶世の美女であり

トップ女優のシャンティプリヤ(ディーピカー・パードゥコーン)を理想の女性として、

そして心の友として下積み生活を送っていた。


こんなオームが撮影中の事故で炎から逃げ遅れたシャンティプリヤを

自らの危険を顧みず助けたことからシャンティプリアにオームの存在を

知ってもらえるようになるが、それからほどなく、オームは彼女の私生活のある

秘密を知り、この秘密を原因とする陰謀に巻き込まれたシャンティプリアを

助けようとしたオームはシャンティプリア共に命を落としてしまう。

そしてオームが病院で命を落としたときに後に俳優となるオーム・カプールが

時を同じくして誕生する。


絶対に観客を裏切ることのない結末に担保され、

本作がデビューとなるディーピカー・パードゥコーンの輝くような美しさと、

カラフルでダイナミックな映像で、169分間退屈することなく

映画の楽しさを堪能させてくれる。