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モッコウバラ


モッコウバラの美しい季節になった。


フェンスや外壁を花で覆いつくす黄色のモッコウバラと比較すると

花の数はやや少なめであるが、ふくよかなバラの香りが楽しめる

八重咲きの白いモッコウバラ。


バラの精油は主に水蒸気蒸留法と溶剤抽出法で抽出されるが、

たった1滴のバラ精油を得るのに数十本分の花が必要になるほど

微量の香気成分。


ガスクロによりこれまで数百種類の香気成分が同定されている

バラの香気成分。

最近の研究で1ppm以下の特定成分の組み合わせがバラの香りに大きく

影響していることが解明されており、

優しく香るモッコウバラの香りに、

自然が絶妙なバランスで作り出した調香の完成度の

高さ、奥深さを感じる。





『ムード・インディゴ うたかたの日々』( L'Ecume des jours)

原題の「L'Ecume des jours」は直訳すると日々の泡の意味であり、

「うたかたの日々」につながる。



この映画の原作「L'Écume des jours」(うたかたの日々)を著した

ボリス・ヴィアン(19201959)は言う、

「この世で2つだけ存在し続けるものは何か? それは可愛らしい少女と

一緒にいて感じるような愛、そして、ニューオーリンズとデューク・エリントンの音楽

だけである。それ以外のものは全て消え去るべきである」



デューク・エリントン楽団が1940年代に演奏し評判を得ていた

「クロエ」と同じ名前を持つ天真爛漫で魅力的な女性クロエを

演じたのはあの名作「アメリ」での屈託のなさが印象的だった

オドレイ・トトゥであり、本作も「アメリ」に通じる寓話性、ファンタジー性、

そしてフランスの伝統色に溢れている。



物語は幸福の絶頂時に、肺に睡蓮の花が咲く奇病に冒されたクロエを

愛する夫のコラン(スパニッシュ・アパートメントでもオドレイ・トトゥと共演した

ロマン・デュリス)がクロエを救うために全財産をなげうって孤軍奮闘する

珠玉のラブストーリー



カクテル・ピアノ、昆虫に模したキッチンタイマーやカラフルに動く

造形物たち。そして「ジャン・ポール・サルトル」をイメージした登場人物。



邦題に使われているムード・インディゴは1930年代のデューク・エリントン楽団が

ミュートトランペット、ミュートトロンボーンそしてクラリネットを組み合わせて

演奏したブルージーな名曲であり、

この題名は必ずしもハッピーエンドたりえないラブストーリーを象徴していた。





「トゥ・ザ・ワンダー」To the Wonder

いわゆる文字で記されたシナリオはなく、

テレンス・マリック監督から口頭で伝えられるストーリーにそって

その日その日を主人公のマリーナになりきって演じたと話す

オルガ・キュレリンコ。


登場人物のせりふが必要最低限に抑えられ、

心の動きを、洗練された映像と俳優の表情により表現することを試みた

テレンス・マリック監督の2012年の作品「トゥ・ザ・ワンダー」。


刑務所に服役中の受刑者への赦し、

工場から排出される有害物により健康を損なわれていると

思われる貧しい住民達への救い、

ハビエル・バルデム演じる神父は

悩める心の救済を図ることで、自己の存在の意味を追求する。


キリスト教の教理に反して道を踏み外す男と女の姿は、

人間の原罪そのものであり、そこには救いがない。


人間が本来持っていると思われる欲望は時に“反社会”的なものであり、

常に相手への尊厳そして思いやりを忘れない人間としての成熟なくしては、

男と女の愛を永遠に貫き通すことはできない。

それゆえに人はつかの間の心の抑揚を求め続けるのか。


潮が満ちてくるモン・サン=ミッシェルの美しい砂浜の場面から始まり、

工場からの汚染土壌を調査するアメリカ南中部の景色へ移動する本作は、

愛と言う人間が持つ最もすばらしい感情でありながら、

もっとも不安定な感情が持つ陥穽にはまった

美しい女性の蹉跌の物語。