センダン シラサギ カワウ
その枝・葉・実からの抽出成分が、インフルエンザウイルス
殺傷活性を示すことが確認されているセンダン科の植物。
食べたことは無いが、動物には毒性があるとされるセンダンの実。
もう少し季節が進むと、おそらくその毒とは無関係な野鳥に
食べ尽くされるセンダンの実が枝先に鈴なりに残っている。
野鳥が運んだと思われる種が大きく育った野川沿いのセンダン、
吹雪の日にすっくりと立つ、実も葉も落ちたセンダン木も美しいが、
やはりもっとも最も美しいのは、繊細な紫色の花で木が被われる
初夏の頃。
様々な花の描写が作品に独特の雰囲気を醸し出してた
中上健次の「軽蔑」。
この作品の中で印象的だったのは、逃避行を続ける主人公達が見た
山の斜面全体を淡紫色で染めるセンダンの花の描写だった。
いつもは魚釣りの人達に追い払われてしまうことの多い
兵庫島の側の野川で、昨日、今日と寒さが厳しかった早朝、
川面に集団で集まる白鷺や川鵜の姿を見ることができた。
「イン・ザ・ベッドルーム」
植草甚一や沢木耕太郎の映画評は、示唆に富んだ個性的な
映画評として、筆者の人柄そして映画に対する態度が深く反映された
心のこもった著作である。
その沢木耕太郎が朝日新聞に定期的に掲載していた「銀の森へ」
(2012年現在は「銀の街から」)で、本作「イン・ザ・ベッドルーム」
について、“不意の喪失を癒す方法などあるのだろうか”との表題で
次のように感想を述べていた。
<これはただ一つのことを描いた映画である。正確に言えば、
ただひとつのこと。それは、大事なものを失った時、人は
どう対処するのか、ということだ。この映画の場合、その
「大事なもの」とは、「愛する息子」である。>
Anthony LengのMovie ReviewによるとIn the Bedroomの
Bedroomは、仕掛けが海の中で必要以上に放置されると、捉えられた
2~3匹のロブスターは罠の中で死ぬか、お互いを傷つけ合って
ハサミや足の無いロブスターとなってしまうロブスター捕獲用仕掛けの
最も奥の仕切。
一度迷い込むと脱出する事ができない“Bedroom”を
作品全体の暗喩と捉えて付けられたとされている。
大西洋に面し、ロブスター漁が盛んなメイン州のカムデン。
この地で豊かな環境に恵まれ、富裕層が住む広大な住宅地に、
教会で聖歌隊の少女達に聖歌を教えている高校教師の妻と二人で
住む地元の医師のもとに、ロブスター漁のアルバイトで夏休みを
過ごすために大学生の一人息子が戻ってくる。
そしてこの一人息子フランクが、二人の少年の母であり
離婚を前提に暴力的夫と別居中の年上の女性ナタリーと
恋に落ちることからこの物語は始まる。
“最初から最後まで心の動きが説得的に描かれている”
父親マットを熱演した英国アカデミー賞男優の
トム・ウイルキンソン。
愛する一人息子を失い、心が宙を彷徨っている母親ルースを演じ、
本作でゴールデン・グローブ女優賞他多くの賞を受賞した
アカデミー賞女優シシー・スペイセク。
そして「レスラー」での演技が印象的だった
ナタリー役のアカデミー賞女優マリサ・トメイ。
凡庸ささえ感じた前半部から一転して緊迫感漂う
作品の結末に向けて、「不意の喪失」と向き合う人の
心の動きを演じた名優達の演技に引き込まれた作品であった。
自身俳優でもあるトッド・フィールド監督の2001年の作品。
白いリボン Das weiße Band、The White Ribbon
時代背景は第一次世界大戦が勃発する前年の1913年、
場所は貴族が土地を支配する北ドイツの小さな村。
モノクロのこの作品、冬のドイツの田園風景は
どこまでも明るく美しく、この風景とは裏腹に、
ミヒャエル・ハネケ監督が描いている
人々の隠された心は不透明で暗い。
村の人々の精神的支えはキリスト教であり、
生活の糧は男爵が所有する農地での農作業により
収穫する農作物。
共に支え合って生きてきたこの小さな共同体を
突如連続して襲った不可解な出来事。
「隠された記憶」でフランスの豊かな中産階級としての
キャスターの隠された一面を描きその結末を観客の手に
委ねたミヒャエル・ハネケ監督。
本作では尊敬の対象とされるべき存在である医師が持つ
“非”人間性を描き、宗教の持つ厳しい側面を牧師の人格として
描き、小作人と地主の微妙な関係を描くことで、本作でも
真犯人は明らかにされないまま映画は終わるが、
ドイツという文化を背景にした田舎の小さな共同体、
そして第一次世界大戦前夜という時代背景こそが、
この犯人を生み出した背景であることが十分に推察できる
深い印象の作品に仕上がっていた。






