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「クロッシング」:Brooklyn’s Finest(ブルックリンの警官たち)

2009年のアントワーン・フークア監督作品Brooklyn’s Finest

(邦題「クロッシング」)は、最近は治安が良くなってきたブルックリンの中で、

かつての面影を残す、悪名高い無法地帯であるブラウンズヴィルの

Van Dyke housing projects(低所得者向けの市営住宅)を舞台とする
生と死がとなりあわせの日々を、その代償として得るものがはるかに少ない

警官として過ごしている3人の男達。


あと7日で五体満足に定年退職の日を迎え、年金生活が約束されている

老警官エディ、老朽化したアパートのカビを原因とする喘息で苦しむ妻と、

生まれてくる双子、そして4人の子供達を環境の良い場所へ引っ越しさせる

資金の工面を自分の使命としている信仰心篤い麻薬捜査官サル、

そして、おとり捜査で実績をあげることで昇進を目論むんでいる

アフリカ系アメリカ人の刑事タンゴ。


デンゼル・ワシントンが麻薬取締課の悪徳刑事を、イーサン・ホークが

この悪徳刑事に仕事を教えられる新人刑事を演じた「トレーニングデイズ」で

徹底的に腐った警察組織を描いたアントワーン・フークア監督。


警察組織での役割は全く異なるが、ノン・キャリアとして冨とも名声とも無縁の

三人の警官が抱える階層的差別と、

アフリカ系アメリカ人の大学院生が警官により誤って射殺されるという

アメリカが抱えている人種差別を絡ませた本作で、

自身がアフリカ系アメリカ人としてアントワーン・フークア監督は

ブルックリンの最下層地帯でうごめくアフリカ系アメリカ人達の姿を、

“冨む”アメリカの負の部分として置き去りにされ、教育、冨とは無縁の

貧困の極みの象徴として映像化していた。


生き方はともかく心の奥底に精神的高貴さを残しているエディ役の

リチャード・ギア、このような役を演じたら他の追従を許さない

サル役のイーサン・ホーク、そしてタンゴを演じたドン・チードル、

刑務所から出てきたばかりで、かつてタンゴの命を救ったギャングのボス

 キャズを演じたウェズリー・スナイプと、芸達者な俳優達の演技が光る

警察機構の腐敗を描いた多くの秀作につながる正統的な“警察”作品である。




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カビリアの夜



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敗戦の傷跡が完全には消えていない街で、人々が復興に向けて

必死に生きているローマを舞台に1957年に製作された「カビリアの夜」。

フェデリコ・フェリーニの「カビリアの夜」に、監督自身の才能を100%

発揮させることができる「時代」背景が整った、映画制作がもっとも

幸せだった“時”を感じた。



フェデリコ・フェリーニは、自身の回想とインタビュー類を集めた著書

「私は映画だ 夢と回想」に収められたイエズス会司祭に宛てた

手紙の中で、少し長い引用となるが、「カビリアの夜」の主人公

カビリアについてこのように記している。



「私が最近生み出したカビリアは、弱々しく、感じやすく、不幸です。

あんなことが起こったにもかかわらず、そして愛への純情な夢が

破れたにもかかわらず、彼女はまだ愛と人生を信じています。

叙情的で音楽的な感情の激発、森の中で歌われるセレナーデで

この映画は終わります。(これは悲劇に満ちています)

というのも、いろいろなことがあったにもかかわらず、カビリアは

心のなかにまだやさしさを持っているからです。

このやさしさの本性がまさに何であるのか、

私たちはそれを明らかにしようとしてはいけません。

このやさしさは彼女が神を見いだしたことにあるのかどうか、

このことを最後に私たちに語る喜びは、カビリアに残しておいたほうが

より適切というものでしょう。」



同じ手紙で、自分の精神世界を

「悪だけしかしらない人々に親切をつくし、

彼らに希望をかいま見させたい、

よりよい生活のチャンスをかいま見させたい。

そしてどの人間のなかにも、

最もひどい悪意の人間のなかにさえ、

善性と愛の核を見つけたいという希望です」

と表現するフェデリコ・フェリーニの心がそのまま映像化された

「カビリアの夜」はニーノ・ロータの音楽が印象的な

美しい映像に溢れた作品であった。



余談であるが、1920年生まれのフェデリコ・フェリーニと

おそらく同じような時代背景を経験してきた1912年生まれの

新藤兼人が1954年に制作した「どぶ」の乙羽信子演じる主人公

「ツル」の生き様に「カビリア」の生き様と相通ずるものを感じた。




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科学の甲子園


高等学校が春休みとなる324()26()3日間、

全国47都道府県の教育委員会が開催した予選を通過した

代表校と特別枠の福島工業高等専門学校を含めた48校の

12年生が兵庫県立総合体育館で科学の甲子園を繰り広げる。


この科学の甲子園、全国の科学好きな高校生が集い、

競い合い、活躍できる場の構築を目的として、

理科・数学・情報に関する複数分野の競技を行う。


実際には各校68名でチームを組み、物理、化学、

数学、情報及びこれらの複合問題の筆記試験と

理科の実験や観察に関する実技競技で構成される。


米国の科学技術政策に対する造詣が深い根岸英一教授は

科学の甲子園の応援団長として、

「若者には、まず夢をもって欲しい。

そしてその夢を実現するために、チャレンジして欲しい。

そのチャレンジの向こうに夢の実現があるのではないかと思う」

と述べ、更に、自らの米国での貴重な研究体験を基にした

若者への期待を込めて、次のようなエールを贈っている。

「「科学の甲子園」全国大会の優勝チームは、米国で開催される

サイエンスオリンピアド・ナショナル・トーナメントに派遣されると

聞いています。是非、この競争を勝ち抜いて、

世界を体験してきてください」

「「科学の甲子園」が科学を志す高校生にとって、

世界で活躍する自分の将来像を思い描くきっかけとなれば

という思いを託して私からのエールとします。」


高校野球の甲子園に出場経験がある鳥取県立鳥取西高等学校や

ラグビーの強豪校大分県立大分舞鶴高等学校、さらには鹿児島

ラ・サール高等学校、大阪府立北野高等学校、埼玉県立浦和高等学校

筑波大学付属駒場高等学校、栄光学園高等学校など113日現在で

既に42校が出場を決めている。

野球の甲子園のように、科学の甲子園から世界の舞台へ

日本の科学者が羽ばたいていってほしいもの。


大会のイメージキャラクター「アッピン」



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