ペーパーバード 幸せは翼にのって (Pájaros de papel )
北スペイン屈指の港湾都市で、バスク州ビスカヤ県の県都ビルバオ。
このビルバオの北西約20Kmの所に位置する同じくビスカヤ県のゲルニカが、
スペイン内戦
の最中の1937年
に、右派のフランコ将軍
を支援するナチス
によって
史上初めての都市無差別空爆を受け、多くの市民が犠牲になった惨劇のようすは
スペインの画家ピカソにより巨大な壁画として永遠に残されている。
Pájaros de papel <紙の鳥>(邦題:ペーパーバード 幸せは翼にのって)は
スペイン内戦終結後の1939~1940年頃のマドリッドを舞台とした、
内戦時の都市無差別爆撃で妻、長男、そしてこれまで築いてきたもの
全てを失った舞台芸人ホルヘ、その相方で心優しいエンリケ、そして戦争で
両親と離ればなれとなった孤児ミゲルが三人で“失われた”家族・家庭を
もう一度築き上げていく“心”の物語である。
スペインの人気サーカス・アーティスト ミリキ・アラゴンを父とするエミリオ・アラゴン
監督の手で、旅芸人一座の舞台、地方での移動の様子、そして旅芸人の
日常が、その時代背景の中で、家族を失っても“喜劇役者”として観客の心を
和ませる人間の真摯な生き様を、躍動感ある映像として作品化されていた。
そのエンディングは、邦題の「ペーパーバード 幸せは翼にのって」から一瞬受ける
印象ではなく、紙で折った鳥、即ち自由に空を飛ぶことも、自分で自分の人生を
選択することもない、架空の折り紙の鳥(折り鶴)を意味する原題の
「Pájaros de papel 」がより相応しい。
ホルヘを演じた、若き日のハンフリー・ボガードを彷彿とさせるイマノル・アリアス、
心優しいエンリケを演じたスペインの名俳優ルイス・オマール、本作品の中で
唯一マドリッドらしい底抜けに明るい舞台歌手を演じたカルメン・マチの演技と
共に特筆すべきは、ラストに近いシーンでこれまでの長い舞台活動を表彰された
老芸人が舞台上でその人生を語るシーンを演じたミリキ・アラゴンのその哀切さに
満ちた、実際にスペイン内線当時を生き抜いてきたかのような感情のこもった
スピーチと歌声であった。







