白い酋長(シーク): Lo Sceicco Bianco
本作を制作中に、自分自身が映画監督であることに初めて気がついたと
フェデリコ・フェリーニ監督が後に語った
1952年の作品「白い酋長(シーク):. Lo Sceicco Bianco」
本作の撮影1日目、“試験を受けるときと同じような
心臓の高鳴りと不安を抱き、教会に行ってお祈りをしようさえした
心理状態の中でロケ地のローマ西方の小港フィウミチーノへ
向かったフェリーニ監督。
既に沖に浮かぶ船で待機していたスタッフや俳優達に
向かう小帆船の中でも“ただ逃げ出したい”との思いを
抱き続けていたフェリーニ監督は、船に乗ったとたんに、
指示を与えたり、ファインダーをのぞいてあれこれ注文を
つけたり、何も意識せずに要求の厳しい、物知り顔の
頑固な監督、即ちフェリーニ監督自身が定義する監督に
変身していた。
田舎と都会、ロマンティストとリアリストの対比を主題に
地方から都会のローマに出てきた新婚の夫婦が辿る
24時間の思いもかけない出来事。
夢の世界に紛れ込んだ妻は、夢破れまた現実の世界に戻り、
妻の身より世間体を気にする夫は夢のような世界に迷い込む。
外見は夢のように美しい白い酋長の素顔は身勝手で自分本位な
女たらしであり、本作で初登場したカビリアは身なりは粗末であるが
その心はどこまでも優しく人生に希望を捨てない。
「私はいつも夢を見ています」とのフェリーニの言葉がそのまま作品に
反映された、笑いに満ちあふれた作品であった。









