RIVERのブログ -12ページ目

「31年目の夫婦げんか」(Hope Springs)

「プラダを着た悪魔」で監督と主役として作品を創り上げた

デビッド・フランケル監督とメリル・ストリープが

再びコンビを組んだ「31年目の夫婦げんか」。


大女優メリル・ストリープの感性、独自の演技力が

十二分に発揮された本作は、

隙間風の吹き始めた夫婦生活をなんとか

充実感のある日々に修復しようと夢見る

一人の大人の女性の“乙女心”が

ユーモアのセンスたっぷりに描きこまれた

心温まるコメディー。


結婚31年目のケイ(メリル・ストリープ)とアーノルド(トミー・リー・ジョーンズ)

夫妻、子供達も独立し、いつからか広い屋敷でそれぞれが別々の寝室を

選ぶようになった二人。


決して仲が悪い訳ではないが、

会社勤めで日々新たな局面に接しているアーノルドと比べると、

小さな洋品店で仕事をしているとはいえ

同じことの繰り返しの日常の中で徐々に自分の存在価値を

見出せなくなってきているケイとアーノルドの間には溝ができてくる。


一見ステレオタイプに見える熟年夫婦の日常は、

ステレオタイプであるからこそ、身近なことに感じられ、

ケイの悩みを他人事とは思えなくなる。


ケイの発案でいやいや参加した集中カウンセリングの

フェルド医師の暮らす街が原題の「Hope Springs


この街でのアーノルドの言動はケイを幻滅させ、

軽度のウツ状態に陥ったケイの様子で、

アーノルドは妻の失意にようやく気がつき、

ケイの人格を認めるようになる。


夢と希望を持ち続け、努力を続けることで、

人はいつまでも若々しく生きられる。







「共喰い」


他者を傷つける暴力を題材として、

暴力の持つ残虐性をさめた目で凝視し、

弱者を傷つけるサディスティックな性向を恐れ、

毅然とこれに立ち向かう人間を描く。


原作者の田中慎弥が「川が鍵になっている物語」というように

冒頭の、川が海に流れ込む区域を定点から撮影し早送りされる、

日の出から太陽の光が川底まで差し込む日中そして日没まで川の一日が

素晴らしく印象的な青山真治監督の「共喰い」


救いようのないダメ男、

このダメ男の血を受け継いでいる息子、

そしてその生みの母の物語。


片腕を空襲で無くした仁子(田中裕子)は

結婚した夫 円(光石研)の粗暴な性格に愛想をつかし

一人息子の遠馬(菅田将暉)を円のもとにおいて家を出て、

川の側の魚屋で一人 魚を捌く生活を続けている。


仁子が捌いた魚の内臓やうろこが流れ込む辺りで

大きく成長したうなぎを釣った遠馬。

ゴミが捨てられ、ドブ川寸前のこの地域で釣ったうなぎを

仁子が捌いて白焼きにし、若い遠馬は食べようとしないが、

円は生姜と一緒に嬉々として食べつくす。


円の遺伝子を受け継いでいることに気付き悩む遠馬、

高校生となり、同じ街に住む母と付かず離れずの関係続けている

遠馬を愛し、遠馬の将来を案ずる母 仁子がとった行動は。


夜叉の蛍子と同じように薄幸でありながら芯の強い女性を

演じきれる田中裕子の存在、そして全てのものを飲み込み

浄化する川の映像が本作を凜とした作品に仕上げている。




サティスファクション「Satisfaction:Girls of Summer」

川崎市の姉妹都市で、その住宅街がボストンの雰囲気に似ているボルティモア。

このボルティモアでロックバンドを組んでいた女子高校生達が、

卒業後それぞれの道を歩む前に、ひと夏をフロリダの

ライブバーで専属バンドとして過ごした日々を

描いた青春映画「「サティスファクション」



1988年制作の本作には、翌年1989年の「マグノリアの花たち」

1990年の「プリティ・ウーマン」でスターの座をつかんだ

ジュリア・ロバーツが、大学進学か結婚かあるいはバンド活動かで

悩むベースプレイヤーを、

1990年の「ステラ」でベッド・ミドラーの娘役として注目された

トリニ・アルヴァラードが青春期独特の突っ張った姿で本心を隠すドラマーを、

そして1993年の「シンドラーのリスト」でアカデミー主演男優賞に

ノミネートされたリーアム・ニーソンが、

ジャスティン・ベイトマン扮するバンドリーダーが淡い恋心を抱く

ライブ・バーのオーナーのマーティンを演じている。


Satisfaction」「Knock on Wood」「C’mon Everybody

Talk to me」等々、ドラム、ベース、ギターの振動が

ボディーブローのように体に飛び込み、

ジュリア・ロバーツ、トリニ・アルヴァラードの熱の入った演奏ぶりが

この映画の見所。


曲が書けなくなり、人生につまずいている悩める中年男役は

リーアム・ニーソンが得意とする役どころであり、

人生経験が深く影のある男に心惹かれる少女役の

ジャスティン・ベイトマンの若さも清清しい。


13百万ドルの予算で制作された本作は本国での興行成績が芳しくなく、

日本でも劇場未公開であるが、ロックミュージックを散りばめた青春映画として

その後の米国映画界で輝くスター達の才能の片鱗が楽しめる一作。