「SHAME -シェイム-」
マンハッタンの高層ビルで勤務する中流のオフィースワーカーとして
問題なく仕事をこなし、高級マンションに一人暮らしているブラントン。
ブラントンは仕事では癒されない精神的飢餓の状態にあり
表面状の姿とは異なり、自分のオフィースのパソコンのハードデスクは
アダルトサイトの画像であふれ、金で刹那的欲望を処理する生活を
続けている。
このブラントンの部屋に、ある日突然前触れもなく、ロスアンゼルスで歌手として
生活している妹シシーが飛び込んでくる。
こうして始まるシシーとブラントンとの兄と妹の共同生活。
真実が明らかにされることはないが、おそらくは家庭的に恵まれない
環境で支えあって育ってきたこの兄と妹。
シシーは人をただ愛することで、そしてブラントンは人と肉体的接触を
持つことで心のバランスとろうと日々もがいている。
ロンドン出身のスティーブ・マックイーン監督は
原初的欲求である“性”を切り口として、
表面上は何不自由なく生きているが、
将来の夢を持つことのない中流階級のオフィースワーカー
そして夢破れた女性の不安、絶望を見事に描ききる。
兄との確執に敗れた妹、
妹から逃れるために“SHAME(恥辱)”にまみれた
時間に自分を追いやる兄。
クラブ歌手シシーを演じるキャリー・マリガンがスローなテンポでささやく
「ニューヨーク・ニューヨーク」そして、ブラントンが職場の同僚と
ごく普通のデートをするマンハッタンのレストランの場面など、
随所に心惹かれる秀逸な場面がみられたこの作品。
シシーの命を賭けた行動でブラントンは兄弟愛の心
そして自分を愛する心をとりもどしていくか。
「ミスター・ロンリー」
「ドリーム・ラバー」のボビー・ダーリン、「フォゲットヒム」のボビー・ライデル、
「ラバー・ボール」のボビー・ビー、例外としてイタリア人のボビーソロ、
そしてボビー・ヴィントンと沢山のボビーが次々とヒットを飛ばし、
一世を風靡していた、950年代から1960年代前半のアメリカ。
後に深夜「ジェットストリーム」の冒頭で毎晩ストリングス版が流され
番組の顔となっていた「ミスターロンリー」はこのボビーヴィントンが歌い
1964年に全米チャートトップにランクされた曲であり、
「Lonely, I'm Mr. Lonely,
I have nobody for my own.
I'm so lonely, I'm Mr. Lonely,
wish I had someone to call on the phone.」
と、自分の意思とは無関係に戦場に送られた
若い兵士の孤独な心を切々と歌っている。
1963年に全米1位にランクインしたボビー・ヴィントンの
「ブルー・ベルベット」に触発されて、後にデイヴィッド・リンチが
独特の世界観を持った同名の映画を製作したように、として
映画「ミスター・ロンリー」もボビー・ヴィントンの哀切に満ちた
美しい歌声の世界が全編を通じて作品の土台となっている。
マイケル・ジャクソンやマリリン・モンローのそっくりさんとして
これまでの人生を生きてきた二人の男女がロンドンで出会う。
そしてこの二人が向かったのが同じようにそっくりさんを生業としている
人々が集団で生きている英国北部の古い古城。
マイケル・ジャクソンのそっくりさん役を演じたラテン系俳優ディエゴ・ルナ
そしてマリリン・モンローのそっくりさん役を演じたサマンサ・モートンが
「ミスター・ロンリー」の精神世界をすばらしく演じていた




