以前、子どもを髄膜炎菌感染症で亡くした母親の話を記事にしたことがあります。

 

医師として印象に残ったインタビュー:「みいみのかあかあ」その1)(2024-03-24)

 

医師として印象に残ったインタビュー:「みいみのかあかあ」その2)(2024-03-25)

 

医師として印象に残ったインタビュー:「みいみのかあかあ」その3)(2024-03-26)

 

劇症型髄膜炎菌感染症(ウォーターハウス・フリードリヒセン症候群)、恐ろしい病気です。

 

 

さて、私は小児科の開業医である北浜先生の主宰する「小児科医Skywalkerのブログ」をフォローしています。


北浜先生は、2010年6月2日に33歳という若さで開業された先生で、私よりだいぶ若い熱血ドクターです。
私も同じ小児科開業医として、陰ながら応援しています。

そのブログの中に、こんな記事があります。

髄膜炎菌って知ってますか?(2014年06月19日)
少し引用します。
「髄膜炎菌」をご存じでしょうか??
その名の通り髄膜炎を引き起こす細菌です。
そのまんまですね・・・
細菌性髄膜炎は僕ら小児科医が最も恐れる病気であるという話は以前に何度も書きました。
当然ながら命にかかわりますし、助かったとしても後遺症を残すことも少なくありません。
この病気だけは絶対に予防したい!そう全国の小児科医が思っていたものです。
そして5年前に念願のヒブワクチンと肺炎球菌ワクチンが日本でようやく承認され、現在に至ります。
ヒブと肺炎球菌の2つは細菌性髄膜炎の大半を占める原因菌です。
つまりこの2つを予防すれば、ほとんどの髄膜炎をカバーできるわけです。
じゃあとりあえずヒブと肺炎球菌のワクチンさえ接種しとけば安心じゃん??というのが日本における現在の認識であって、それは僕も完全否定はしません。

でも、細菌性髄膜炎を引き起こす菌はその2つだけではありません。
例えば結核菌やリステリア菌、そして髄膜炎菌です。
これら合わせても、全ての細菌性髄膜炎のうち数%にしかなりません。
当然ながら全体の9割以上を占めるのがヒブと肺炎球菌ですからね。
僕もリステリア菌の髄膜炎を1例だけ経験したことがあるだけで、あとはすべてヒブと肺炎球菌です。

そんなマイナー髄膜炎の一つである髄膜炎菌に対するワクチンがあるのをご存じでしょうか?
もちろん日本では承認されていません。
(中略)
そんな髄膜炎菌ワクチンが、近々日本でも承認されるそうです。



調べてみると、血清群A、C、Y、Wの髄膜炎菌に対する4価結合体ワクチンというのが2014年7月に承認され、2015年5月より接種可能となったそうです。

希望する場合は自費で接種を受けることはできるようですが、取り扱っている医療機関は多くありません。
私のクリニックでも、今のところ取り扱っていません。

どうも、このワクチンでは全ての血清群(とくにB)をカバーできていません。
2歳以下の幼児には最初から効果が期待できず、さらに成人に対しての効果は数年程度しか持続しないとされています。
もっといいワクチンができるまで、様子を見るのがよさそうです。

ちなみに国内での侵襲性髄膜炎菌感染症の発生は多くはありませんが、寮で集団生活する者における集団発生の報告があります。
2011年5月に宮崎県にある高校寮内で侵襲性髄膜炎菌感染症の集団発生が認められ、このうち1人が、劇症型髄膜炎菌性敗血症(血清群Bの髄膜炎菌が検出)により死亡しています。また、2017年にも寮において、血清群Yによる集団発生があり、18歳男性が1人死亡しています。
集団発生するのが恐ろしいですね。


運動部などで寮生活を送る学生や生徒が発熱、嘔吐などの症状で受診したら、この病気を頭の隅において、診察した方がよさそうです。



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獅子風蓮