2020年10月に行った鹿児島と宮崎の一人湯めぐり旅のお話はまだ始まったばかり。
空港から日当山エリアの昇龍温泉へ向かい、大隅半島を錦江湾沿いに南下。
江之島温泉共同浴場でゆっくりし、味処・海の桜勘でカンパチを堪能したところまで進んだ。
さらに国道220号を鹿屋市の市境近くまで南下すると次の目的地、テイエム牧場温泉(まさかり温泉)がある。
ここも海のそば。
TM牧場♨と書かれた大きな看板があるので見逃すことはない。
以前はあった建物が撤去され、何となく駐車場として使用してよい感じだったのでぼくはここに車を停めた。
テイエム牧場温泉 (まさかり温泉)
温泉入口の案内に沿って、徒歩で海の方に下って行く。
左手にはビーチがあり、まさかり海水浴場というらしい。
そしてすぐ右手がテイエム牧場温泉である。
天然自噴・黄金の湯と謳われている。
受付の手前に営業案内があった。
営業時間は平日11時~19時と書かれているが、ぼくが訪れた日曜日の昼過ぎも入浴可能であった。
定休日の記載がないので無休なのかもしれないが、要確認で。
御入園料とあるのは敷地が温泉公園となっているからであろう。
イコール入浴料で、420円。
窓口でオーナーさんに420円を支払う。
右に置いてあるパイプはスケールが詰まったものだ。
こちらはコテコテ析出物の湯として全国的に知られている
窓にやや詳しい営業案内があった。
令和元年10月より420円に値上がりしたそうだ。
ちなみにテイエム牧場温泉という変わった名前は、競馬ファンには有名なテイエムオペラオーの馬主さんがこちらのオーナーだからである。
ロッカーの鍵を渡され、温泉公園を敷地内を湯小屋へ向かう。
真ん中に岩風呂と書かれた湯小屋に到着。
入口から男女別に分かれている。
真ん中の岩風呂の文字、よく見ると上に別の文字が消されている。
露天という文字があったのがお分かりいただけるだろうか。
こちらには以前、海を眺めながら入れる名物の露天風呂があったが、天災か何かで閉鎖してしまって久しい。
それでは中へ。
サンダルが2つあり、そのまま先客が2人いた。
何となく貸し切れるつもりでやってきたが、やはり日曜はそうもいかないようだ(^-^;
ロッカーはなかなか草臥れているが、受付で受け取った鍵はしっかりかかった。
なお、先客が出て後客が来るまで約5分だけ貸し切ることができた。
浴場内の主な写真はその間に必死で撮影(^-^;
手作り感溢れる浴場内へ、いざ
まずは同規模の大きな浴槽が2つあり、片方だけ湯が満たされている状況に少しびっくりした。
これは客が少なくなったから片方だけに湯を張ってるわけではなく、一つ使用したらもう片方は掃除をするためらしい。
開業当時は知らないけど。
なのでおそらく短いスパンで使用浴槽が入れ替わるものと思われる。
浴場の右手の囲われているところが洗い場。
虫よけスプレーはあるが、シャンプー類は置いてないので、必要な人は持参を。
泉質的に虫が寄ってくる湯なのである。
洗い場の先にあったサウナは故障中だった。
浴槽は複雑な形をしている上に析出物がたっぷり成長しており、なかなか全貌を写真に収めるのが難しい。
コテコテの析出物は、空の浴槽の方がよく分かる↓。
元の素材がどういうものでどういう形をしていたのかが分からない
では湯に注目していく。
源泉はほぼ無色透明だが、浴槽での湯の色は光の加減で色々変わって見え、オレンジ色~黄土色の約30cmの濁りがある。
源泉名は「垂水16号」。
源泉温度44.8度、pH6.9の、ナトリウム・カルシウム-炭酸水素塩温泉。
成分総計は3.678g/kg。
この湯を完全かけ流しにて使用している。
浴槽での温度を測ってみると。。。
38.5度と不感温度に近く、いつまでも入ってられそうである。
底が見えないので浴槽内を移動するのがおっかなびっくり(^-^;
湯面には朝一でもなく先客も居たが、まだカルシウムの膜を観察できた。
源泉の目立つイオン数値としては、陽イオンだとナトリウムが401.7mg、カルシウムが250.2mg。
他にはマグネシウムも65mgあり、鉄(Ⅱ)イオンも3.5mgある。
陰イオンだと炭酸水素イオンが圧倒的で2044mg。
遊離成分ではメタケイ酸が179.0mg。
そして遊離二酸化炭素が543.8mg。
炭酸ガスは残念ながら浴槽に送り込む前にある程度除去しているようだ。
炭酸の泡付きはなかった。
やはりこの湯は泉質ならではの析出物の観察が楽しい。
かなりの速度で形成されるようである。
メンテナンス・管理はホント大変であろう。
湯は外に排湯されている。
排湯箇所はこの一か所ではないが、以前はこの排湯が露天風呂に注がれていたようだ。
内湯の排湯が露天に注がれるコテコテ湯なら、奈良の入之波温泉を思いだす。
こちらのその露天風呂は埋まってしまい、もうすっかり跡形もない状態だった。
では源泉の風味を確認。
湯口は少なくとも2つ。
2つといってもご覧の構造↑なので、投入量には差が出るが風味等の大差は無い。
まず温度を測ってみると。。。
40.6度とこの時点でぬるめである。
完全かけ流しゆえ寒い時期だと出られなくなりそうだ。
淡い金気臭と僅かなタマゴ臭がある。
鉄味と、しっかりとした重曹系の甘味があった。
炭酸のシュワシュワ感は僅かだとは言え、ちゃんと感じられる。
そして炭酸の甘酸味もニュアンスとしてチェックできた。
しっかりとしたスベスベ感があるが、少し引っかかりもあった。
何せぬるいのでのんびりと入ってられるのだ。
その間は複雑な風味をあれこれ確かめつつ、くつろいだ。
湯小屋を裏側から見た写真も載せておく。
南国の緑に交じってオレンジ色の沈着が個性的。
存在を知ってから訪れるまで20年近くかかったが、露天風呂は無くなっていたものの、ようやく訪れられた満足度があった。
この後は大隅半島の鉱泉へ。
テイエム牧場温泉 (まさかり温泉)
鹿児島県垂水市新城4453-1
0994-35-3520
入浴料 420円
11:00~19:00
無休(要確認)
<源泉名:垂水16号>
ナトリウム・カルシウム-炭酸水素塩温泉 (低張性・中性・高温泉)
44.8度
pH6.9
成分総計 3.678g/kg
源泉でほぼ無色透明
浴槽でオレンジ〜黄土色30cm濁り
淡金気臭と微タマゴ臭あり
鉄味としっかりとした甘味あり
炭酸の淡甘酸味あり
炭酸のシュワシュワ感僅かにあり
しっかりとしたスベスベ感と共に少し引っかかりあり
完全かけ流し
2020年10月入湯
※数値はR1の分析書より