まだ世間にウイルスの不安感など無かった2020年2月初頭の話、続き。
小田原の港で遅めの昼食をとったぼくとヤマの二人は、知人宅へ向かう前に1湯ほど立寄ろうということになった。
いや、そのつもりで最初から計画していたのだが
向かったのはその知人宅からも近い湯河原温泉。
自宅からだと箱根と変わらない、そして伊豆よりも近い湯河原だが、温泉に行くのは超久しぶり。
なんと2011年に「ままねの湯」へ行って以来だ。
ままねの湯、そう言えば立寄り入浴はできなくなったみたいだなぁ。
さて、この時に向かったのは自家源泉を持つ宿、亀屋旅館。
メインの道からこの坂道を上っていくのだが、時間の止まったような雰囲気がたまらない
坂道は細く急である。
車だと実際は逆側からぐるっと回ってアプローチをするのだが、ここは徒歩で行った場合のアングル。
少し開けたところにあるのが目的地、亀屋旅館。
宿泊メインの旅館だが、立寄り入浴も事前に要確認で受け入れている。
我々ももちろん電話で到着可能時間を告げた上で立寄りOKを確認して向かった。
湯河原温泉 亀屋旅館
野天岩風呂が名物みたいに書かれているが、平成29年の9月から一般としては閉鎖してしまったとのこと。
ご主人になぜかと尋ねたら、あるお客から覗かれそうで不安だと言われたからだそうだ。
だったらその客が露天風呂に入らなければよいだけの話なのに。。。
そんな露天閉鎖の話を聞いたのは後のこと。
まずは館内へ。
…その前に、玄関先のこれ↓。
ダイナーズクラブのクレジットカードが使えるという表示なのだが、この形で現存しているのが少なく、かなり珍しいそうだ。
立寄り入浴料は1000円と、これは首都圏価格でしょうがなかろう。
時間については先述通り、要確認で。
ちなみに素泊まりなら7,500円~、二食付きで12,000円~。
亀屋旅館の創業は明治18年。
さすがに当時の建物ではないだろうが、昭和レトロ感がてんこ盛り。
ただの昭和ではなく、モダンだったおしゃれ昭和だ。
好きな人にはたまらないものがたくさん並んでいる。
中でも目を瞠ったのがバーのコーナー。
残念ながらもうバー営業はしてない。
あえて写してないが、現在は基本的に自動販売機コーナーになっている。
カウンターの電子レンジのみ異質な感じ(^-^;
自由に使えるようになっており、素泊り客が持込んだ食事(飲み物を含め持込自由)を温めたりするのに使うのだそうだ。
手前には懐かしいテレビが普通に置いてあった。
現役かどうかは未確認。
ではこのコーナーの右手先にある浴場へ。
我々で貸切状態にできるかと思っていたが、そうは行かなかった(^-^;
それでも先客1人、後客1人ぐらい。
こちらの宿、自家源泉所有と書いたが、2本持っているとのこと。
基本的にこれから紹介する1号源泉を使用し、もう1本の2号源泉は予備らしい。
湯元であり、他にも供給しているようだ(詳細は未確認)。
その1号源泉は脱衣所に飲泉コーナーを作られていた。
湯口先の白と緑の析出物が泉質を現していて美しい
淡い塩味がした。
詳しくは浴場内で。
入口は5本の柱で軽く目隠しになっている。
昭和30年にリニューアルされたというこちらの浴場はタイル職人の腕が冴えわたるステキな空間だった
丸みを帯びた三角形のような美しい浴槽は、数人レベルのサイズ。
冬の西日の射し込み具合も美しい。
洗い場はシャワー付きカランが3セット。
源泉は出なかった。
ご主人に確認したところ、実は以前は洗い場も源泉を使用していたらしい。
ところが身体を洗うのは普通の湯にしたいとか言うわかってない常連客がいたらしく、それから真湯・真水の使用に変えたとのこと。
こちらの源泉は身体の洗うのに何の問題もない泉質だし、そんな温泉民度の低い客に忖度する必要はないのにねぇ。
野天風呂の件もそうだが、わがままで温泉文化をわかってないが金だけはしっかり落とす客の意見を優先させないとやはり経営は大変ということか。
ちなみに女湯のカラン1つだけ源泉使用を残しているそうだ。
女性の湯ヲタの方、ぜひチェック願いたし!
無色透明な湯は源泉名が「亀屋源泉1号」。
台帳番号でいうと「湯河原 第55号」。
ちなみにここでは使用していないもう1本の自家源泉「亀屋源泉2号」の台帳番号は「湯河原 第127号」とのこと。
源泉温度78.7度、pH8.4のナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩温泉。
成分総計は1.849g/kg。
ナトリウムイオンが451mgに対してカルシウムイオンが129mg。
塩化物イオンが640mgに対して硫酸イオンが420mgとなる。
ユニークな丸い湯口には数十年分の沈着がしっかり。
熱い源泉を冷まして利用し、加水なしで完全かけ流しにて使用している
石膏や芒硝の香りが混じったような温泉臭としか言えない香りが淡く漂う。
僅かに塩味を感じた。
脱衣所の源泉の塩味の方がややはっきりしている。
自然なスベスベ感があった。
ちなみに炭酸水素イオンは53.2mg、遊離成分のメタケイ酸が109mg。
あっさり地味系の湯ではあるが、ピカピカで極上な湯であることも間違いない
モヤが写ってしまったが、大満足なのである。
泊ってじっくり味わいたい湯だ。
ちなみに泊まると部屋風呂は源泉使用らしい
もう一枚、美しい浴槽写真を。
浴後にご主人から野天風呂閉鎖やカランの源泉使用をやめた話などを聞かせてもらった。
お土産に源泉をボトルに詰めたものをいただく。
宿を辞して、到着時に気になっていたところの確認に出かけた。
宿からもう少し坂を上るとチェックしたくなる車が並べてあったのである。
1F部分は新旧の外車で、ナンバーが現役っぽいから写真は載せるのをやめておく。
2F部分はコレクションで、現役感が無かったのでスミマセン、勝手に掲載。
問題あれば削除します!
左からマツダのキャロル、スバル360ヤングSS、ホンダZ。
旧車好きだったその昔、国産なら360ccのこういうのに乗ってみたいと思ったものだ。
特にホンダZはちょっと探してみたりもした。
温泉から話がそれたが(^-^;、この横に囲われた一画があり、中は浴槽であった。
こちらは確か要予約でペットと一緒に入れる浴槽ってことではなかったか。
ペットと一緒に泊まれる宿というのでもそちらの需要を受けていると聞いている。
しばらく使用されてないようだが、今でも使用できるのかはご主人に確認し忘れた。
利用できるなら宿泊・立寄りでも貸切仕様で可能なはず。
さらにもう一か所。
温泉スタンドの表示があったのだ。
20リットルで1000円はなかなかの値段だが(^-^;、あの1号源泉を持って帰ることができる。
駐車車両の後ろに湯口があった。
でも我々は源泉をペットボトルでもらったので、必要なし。
改めて湯河原の源泉の魅力を知れた宿であった。
できれば一度泊まってみたいものだ。
湯河原温泉 亀屋旅館
神奈川県足柄下郡湯河原町宮上517
0465-62-2145
立寄り入浴料 1000円
要予約・時間も要確認
<源泉名:亀屋源泉1号 (台帳番号:湯河原 第55号)>
ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩温泉 (低張性・弱アルカリ性・高温泉)
78.7度
pH8.4
成分総計 1.849g/kg
無色透明
石膏や芒硝系の淡温泉臭あり
微~淡塩味あり
自然なスベスベ感あり
完全かけ流し
2020年2月入湯
※数値はH29分析書より