営業の目標設定というと、

ついつい売上高や受注額に

目が向いてしまいます。

 

もちろん、これは間違ってはいません。

しかし、目標設定のポイントが

売上だけになってしまうと

逆にコスト高になってしまいます。

そして、このコスト高は

会社の資金繰りの悪化に直結してしまいます。

 

なぜ、売上高だけを目標にすると

このようなことが起こってしまうのかというと

その理由はシンプルです。

 

もし売上高だけを目標に設定した場合、

営業マンは安売りに走ってしまうからです。

 

営業マンの立場から見れば、

とにかく売上の数字を稼げばいいわけです。

簡単に売る方法として安売りを

選んでしまうのです。

また、競合の存在を理由に薄利の戦略を

執ってしまいます。

 

さらに自分の行動量を認めて欲しくて

全く見込みのない顧客のところに

足を運んでしまうでしょう。

ここにかかる労務費や営業コストは

全て無駄になってしまいます。

 

こうなってしまうと、売上目標は

達成できても、利益が残らない状況に

陥ってしまいます。

 

これは経営者の視点で考えれば

問題があることはすぐに判るはずです。

 

しかし、売上高だけを目標に設定された

営業マンの視点ではこのコストは

考慮する必要がないのです。

(考慮しなくても自分の目標達成は

できるのですから)

 

売上高は前年比で増えていても

利益が出ない会社などは

こういった状況に陥っている可能性は

高いと言えるでしょう。

 

 

逆算した目標設定が必要な理由

このようなことを防ぐためには

利益から逆算した目標設定が重要となります。

 

売上を最優先で考えてしまうと、

「売上」から「営業にかかった費用」

(原価、販促費、広告費、人件費)

を引いた結果、偶然残ったものが

「利益」ということになってしまいます。

 

決算書的な考え方をすると、

利益は引き算の結果ですので、

間違いではありません。

 

しかし、『売上は虚栄、利益は実態』という

言葉もあるように、ビジネスを

展開するにあたっては

「いくらの利益が必要なのか」

という視点は不可欠です。

 

ビジネスを維持、発展させるためには

・いくらの粗利が必要なのか、

・いくらの経常利益が必要なのか

を一番に考えるべきです。

 

しかしながら、必要な粗利や

経常利益額を把握できていない

経営者やコンサルタントは少なくないのです。

「日々の売上を見ておけば大丈夫」と

思われるかもしれません。

 

しかし、経営や営業の効率、

さらに言えばビジネスの拡大という観点で見れば

必要な利益額を把握せずに経営するのは

かなり難易度が高いと言えます。

 

確かに売上は判りやすい指標です。

しかし大切なことは決算書を逆から考えて

 

・目標とする経常利益をねん出するためには

 いくらの営業利益が必要なのか?

・その営業利益を出すためには、

 いくらの粗利が必要なのか?

・そして、粗利と営業利益の間にある

 経費をいくらに設定するべきか

 

を明確に指標として設定することなのです。

 

ここで重要となってくるのが

「営業の効率」という考え方です。

売上を上げるためにどんどん広告や営業費を

使えばよいという考え方ではなく、

必要な利益から逆算してかけてもよい

予算をしっかり管理することが重要です。

 

必要とされる予算だけ使い、

効果的に利益(経常利益、営業利益、粗利)を創り出す。

少ない営業費や広告からでも

効率的に成約に結びつけ、成約率を高めていく。

 

これこそが経営者に求められる考え方では

ないでしょうか?

 

これを営業マンや営業部に全てやらせるには

少々酷です。

経営者が旗を振って仕組みを作らなければ

ならない点であり、経営者の腕の見せどころと

いえるでしょう。

 

経営者が会社に必要な利益を数値目標として

設定することによって、

ようやく営業部・営業マンは効率的に動き出せるのです。

 

この目標を経営者が設定せずに

ただ営業マン個人の努力に任せてしまうと、

営業マンは安売りに走ってしまいます。

結果として、売上は上がっても

利益が出ないという苦しい状態が続きます。

 

私に相談に来られる方の中にも、

売上はあるが利益が残らず

頭を抱えている経営者の方は少なくありません。

 

これを防ぐには営業会議やミーティングで

会社に必要な粗利・営業利益がいくらなのか

そして、この粗利・営業利益を創り出すために

かけられる営業コストはいくらなのかを

しっかり数値化し、目標として示す必要があります。

 

あるクライアントの事例

これは小売業をされているクライアントの例です。

 

元々は黒字経営をされていたのですが、

競合店の出店攻勢などを背景に

売上高が年々減少し

資金繰りが厳しい状況となっていました。

 

そして、この状況を打破するために

集客力と売上アップを目標とした

セールの強化を実施していたのです。

 

この結果、どうなったかというと

更に資金繰りが厳しくなってしまい、

私のところに相談に来られたのです。

 

集客力と売上アップのためのセールと聞くと

有効な手段と思われるかもしれません。

しかし、利益という観点で見ると悪手です。

 

その理由は簡単です。

大規模なセールを行えば行うほど

仕入れ(=支払い)が必要となります。

つまり、資金繰りが厳しいときに

資金を外部流出させているのです。

 

しかも、セールは薄利多売の戦略ですので、

そこから得られる利益はわずかです。

 

これだけならまだいいのですが、

多数のセール品をさばくために

業務量が増え、人件費などが膨らみます。

 

場合によっては、増加した費用が

セールの利益を上回ってしまうでしょう。

 

これでは元も子もありません。

利益から逆算した目標設定を行っていないと

このようなことが発生してしまうのです。

 

ちなみに、このクライアントには

売上アップを目標としたセールはやめていただき、

別の収益改善プランを提案することによって

資金繰りの悪化に歯止めをかけることに

成功しました。

 

 

「売上があれば」は幻想

ただ売上を上げればよいという考え方では

組織は必ず疲弊します。

そして将来的には資金力がある会社に負けます。

 

もし、利益を目標として

設定していないのであれば

今一度営業の戦略を見直してみてください。

 

会社に必要な粗利・営業利益を算出し、

現在の売上目標を達成した場合、

いくらの利益が出るか計算してみてください?

 

必要な利益額と、現在の売上目標達成時に

会社に残る利益の差が大きい場合、

事業モデルを見直してみる必要があります。

 

 

あなたの会社の営業の成約率は

どのくらいでしょうか?

 

「成約率が高いに越したことはない」

と判っていても、どのように改善したらよいのか

判らないという方は少なくないはずです。

 

営業の成約率70%を達成するためには

小手先のテクニックだけでは難しいのは

想像に難くないかと思います。

 

営業の成約率を上げるためには

なによりも「質」が大切になってきます。

今日は営業の質をあげ、70%以上の成約率を

達成するための3つのポイントをお伝えしてきます。

 

■営業の成約率70%を達成するための3つのポイント

営業の成約率70%以上を達成するために

おさえるべきポイントは3つあります。

 

(1)信頼関係という土台の構築

(2)顧客の「明るい未来」を言語化

(3)不安以上の保証を提供

 

実のところ、この3つをおさえれば

営業成約率70%は難しくありません。

私のクライアントにも、

この3つをおさえただけで、成約率が20%から

70%以上までアップした事例があります。

この3つのポイントを詳しくお伝えしてきますね。

 

(1)信頼関係という土台の構築

顧客との信頼関係はビジネスの基本となるものです。

営業の成約率70%以上を目指すときも

信頼があることが絶対条件となってきます。

 

ひとことで信頼関係といっても

笑顔が良いとか誠実そうといったものだけが

信頼をつくるわけではありません。

 

顧客との信頼関係構築に一番大切なことは

顧客のニーズ、つまり顧客の悩みや

困っていることをしっかり受け止めることです。

これは言い換えれば、顧客から悩みを

打ち明けられるだけの関係性を

しっかり作ることができるかどうかに

かかってきます。

 

この関係性は商品やサービスの説明に

始終していては築くことはできません。

 

信頼関係を築くためには、会話の中で

顧客の悩みや困っていることを顧客より早く

「こういうことに困っているということですか?」

「これが課題ですよね」

と言語化することが大切となってきます。

 

「顧客はそもそも自分の悩みを判っているのでは?」

と思ってしまうかもしれません。

しかし、実際には顧客自身も悩みや課題が

漠然としており、具体的なイメージを

持てていないことが大半です。

 

顧客から悩みを相談されたとしても、

それは表面的なものであり、

本質的な問題ではないケースも

少なくないのです。

 

そして、この表面的な悩みを真に受けて

対応しても顧客からの信頼を勝ち取ることは

困難です。

なぜなら、その悩みは表面的なものであり、

問題の本質ではないからです。

 

表面的なことにいくら対応しても

本質的な問題は解決しません。

顧客からしてみれば、お金を払って

対応してもらったのに

問題は解決しない(=目的が達成できない)

わけですから良い印象は持たれませんよね。

 

表面的な悩みと本質的な問題がズレていた例として、

高額商品を扱っているクライアントの事例をご紹介します。

このクライアントからは、

商品が高額で見込み客数が少ないので

集客力を向上させたいと相談がありました。

しかし、ヒアリングを繰り返していくと、

実は集客力の問題ではなく、

営業における提案の仕組みがないことが

本質的な問題だったのです。

 

もし、クライアントの要望通り

集客力を高める施策を行っていたら

どうなったでしょうか?

提案の仕組みができていなので、

集客はできても成約できない、

売上に繋がらない状況になっていたはずです。

これではクライアントの本来の目的(売上アップ)は

達成できず、次の依頼はないでしょう。

 

このようなことにならないように

最初にしっかりと問診を繰り返し、

「顧客はどのような悩みがあるのか」

「何故そう考えているのか」

を深掘りしていきましょう。

 

営業では顧客が悩んでいることについて、

イメージを具体化することは必須となります。

この具体化を行うことによって、

「私の気持ちを理解してくれる」

「本当によく考えてくれる」

という印象が顧客に生まれ、

信頼関係に繋がっていくのです。

 

そして、悩みや課題が明確になれば

顧客は「解決したい」という欲求がうまれます。

問題解決をしたい顧客からすれば、

目の前にいる営業マンは問題解決の方法を

持っているので、このチャンスを逃がさず

悩みを解決したいという意欲につながるのです。

 

 

(2)顧客の「明るい未来」を言語化

顧客の悩みや課題が明確になった後は、

顧客と「問題が解決した明るい未来」について

共有しましょう。

 

解決したい問題が明確になっても、

顧客は問題が解決した未来を

はっきりイメージできていません。

解決するべき問題が明確になったことと、

問題が解決した未来の姿が明確化できることは

別問題なのです。

 

ですので、次のステップでは

問題が解決した明るい未来を顧客との

会話の中でしっかり具体化していく必要があります。

 

ここでのポイントは、どうなりたいのか、

どのような未来を手に入れたいのかといった未来を

顧客自身に話してもらうことです。

 

例えば顧客の課題が経費削減であったとすると

経費削減をした結果、どのような決算になるのか、

あるいはダイエットが課題であれば、

ダイエットをした結果、どうしたいのか、

どのように姿になりたいのか

といったことを会話の中で具体化なイメージに

落とし込んでいくのです。

 

問題が解決した明るい未来を

はっきりイメージできれば、顧客は問題を

解決したいという意欲がさらに高まります。

ここで「明るい未来を手に入れたいですか?」という

質問に対して顧客からYESを得ることができれば

かなりの確率で成約できると考えてよいでしょう。

 

 

(3)不安以上の保証を提供

顧客から明るい未来を手に入れたいという

反応があれば、成約の可能性はかなり高いと言えます。

ここでもう一歩踏み込んで、

「1%の買わない理由」を潰してきましょう。

 

顧客は99%買う気になっていても、

最後の最後に買わないという選択を

することはあり得ます。

この買わないという選択は不安からくるものです。

 

これはあなたにも経験があるのではないでしょうか?

目の前に良い商品・サービスがあり、

買えばよい結果が得られることが判っていても

「他にもっと良いものがあるかも……」

「少し高いかも……」

といったネガティブなことを考えてしまい、

購入に至れないのです。

これは99%買う気であっても、1%の買わない理由が

あれば誰にでも起こり得ます。

 

この買わない理由は家族や社員の反対や

失敗に対する恐怖など様々な要因があります。

高い成約率を達成するためには

1%の買わない理由がどこにあるのかも

顧客とのコミュニケーションの中で察知し、

先回りしてしっかり潰していきましょう。

 

買わない理由を潰すということは

買う理由をつくる、すなわち買う方が

メリットがあるというイメージを

顧客の頭の中に創り出すことです。

 

そのためには、事前の準備やリサーチは不可欠です。

そして、顧客の不安を解消するために

最大限の保証を提供しましょう。

 

顧客が持っている不安、

つまりリスク以上の保証を提供することによって

買わない理由を潰し、買う理由に変えていくのです。

 

そのためには、顧客のリスクを

売る側が負担するという考え方が不可欠です。

 

顧客の不安を保証というかたちで

しっかりと受け取ることによって

より確実に成約に結びつけることが可能となるのです。

 

 

■成約率70%を達成するためのスキーム

成約率70%以上を達成するためには

(1)信頼関係という土台の構築

(2)顧客の「明るい未来」を言語化

(3)不安以上の保証を提供

の3つが不可欠です。

 

しかし、言い換えればこの3つをおさえれば

営業がスムーズに進み、成約率70%以上を達成できるのです。

 

もしこの一連の流れを行っていないのであれば

是非営業のスキームに取り入れてみてください。

 

 

質問です。あなたの営業成約率、会社における営業成約率は何%ですか?

毎月の売上データとは別に、営業担当者別、営業部全体、あなた個人の成約率をデータ化していますか?

これまでも営業の「質」の改善については問題定義させて頂きました。

今日は成約率について話を進めていきますね。

 

中小企業には営業に投下できる資金に限界があります。販促費、広告費を無くせとはいいませんが、大手企業のような広告予算の捻出は不可能でしょう。

限られた予算の中で、売上を伸ばしていく事を大前提とすれば、「質」の改善は急務です。その中でも「成約率」=お客様との取引を実現させる割合・合意を頂いた数を如何に増やすかは中小企業の業績アップに起因しています。

当然ですが、どんなに人が良くてもどんなに誠実であっても、成約を結べない、仕事が取れない状況ではビジネスは成立しません。更に、成約に掛かる時間が長い人もいますね。

無償期間が長く、いつまで経っても請求できない、正式な成約を結べない担当者もよく見かけます。私のクライアントで、太陽光のメンテナンスサービスを提供している会社がありますが、そこは「太陽光の販売」という利益を得てるからこそ、メンテサービスを一定期間長くしています。(1年間無償)それには理由もあり、その後、約20年間(FIT法案 20年買取制度)、継続的なお付き合いをする為に無償期間でサポートの充実を体感してもらうとう狙いがあるからです。まして、その企業の財務体質、収益性は業界トップクラスという+α要因も合って顧客に還元できる背景もあります。

そういった例外を除けば、スモールビジネスを展開している中小企業はキャッシュポイントを早めなければ、会社が運営できません。

だからこそ、「成約率」を高める事と、「成約」までのスピードを早める事は死活問題でありここを常に、研究、改善し続ける事が重要なのです。

 

ではどうすれば、「成約率」を高め且つ、「成約」スピードを早める事が可能になるのかカキに記載していきますね。

 

①信頼関係作り

②買わない理由から買う理由への転換

③ハードル設定

④共感から生まれる合意

⑤先取りスケジュール

 

一つずつ解説していきまね。

 

①信頼関係作り

ビジネスの基本ですね。Web、リアルのどちらであっても相手から見て、信頼関係を作るに値する人物なのかをはっきりさせる必要があります。人柄は勿論ですが、専門家としての能力があるのか、実績は十分なのか、そして商談や面談における目的を正しく設定してくれるのかがとても重要となります。限られた時間の中で、売り込み等の不安を持たせたままでは、顧客は心を開きません。今日の商談の目的はここである。としっかりと最初に大小様々なゴールを設定してくれた人には安心感を持たれます。いきなり商品説明や会社紹介等は止めて、目的を共有する事から始めましょう。

そして、しっかり問診を繰り返すのです。

どこが悩みなのか?何故なのか?何が考えられるのか?どういう未来が理想なのか?

押し付けることではなく、寄り添う気持ちでしっかり聞き取る事が問題の本質に迫っていくのです。目の前の相手はそもそも、表面的な問題にしか気がついていません。問診を繰り返す事で一緒に、本当の悩みや原因に辿りつくイメージが大事ですね。この時間を共有する事で相手は確実に心を開きます。言葉の数が多くなります。当然、相手はこの場を有意義にしてくれたあなたに信頼感が湧いてくるのです。

 

②買わない理由から買う理由への転換

信頼関係=相手の真の悩みや問題を共有できたことになります。即ち、解決する為の

「ツール」の必要性が醸成されてきた事になります。しかし、直ぐに売り込むのはNGです。目の前の顧客は買わない理由を常に探しています。それは不安が有るからですね。

失敗の恐怖、周囲からの反対等上げれば、きりがありません。焦らずに、相手の買わない理由を事前に察知(事前準備)し、過去の事例と織り交ぜながら一つ一つを払拭させて行きましょう。先日、コンサル依頼があったクライアントと面談を実施しました。依頼があったとはいえ、クライアントの買わない理由を想定していましたので、確実にその不安を払拭しながら面談を進めていきました。

コンサルティングサービスにおける導入前の不安は、

①社員の反対、負担が大きいのでは?

②後継者/奥様の理解が得られないのでは?

③改善イメージが伝わっていないのでは?

は確実に上がってきます。この3点を踏まえ、経営者がヤル気はあっても最終判断に至らないケースが多いです。こういった目の前の顧客が持つ不安、買わない理由を一つ一つ、丁寧に解消していく為に、商談前の事前リサーチが必要になるのです。(買わない理由と対策)

 

 

③ハードル設定

ここまでの流れは商品の話を具体化している訳でもありません。相手から多くのYESを得て距離を縮めているイメージですね。

悩みを共有し、解決の必要性を高めつつ、小さな不安を取りのぞいている段階です。

ハードル設定は、個人というよりも会社の「ビジネスモデル」の話です。ある程度ニーズも把握して商品を提案したい所ですが、「顧客が買いやすい商品」の設計がポイントになります。いきなり、メイン商品を提示しなくても入口商品(フロントエンド)を提示し商品導入へのハードルを限りなく引き下げて提案していきましょう。一度、あなたを信用し、買ってくれた方は必ず、リピートしてくれます。そこまでビジネスモデルを設計しまずは、小さな取引から提案する事で顧客をエスカレターに乗せましょう。そうして、自動的に次の商品に進めるように寄り添っていくのです。

そして、この入口商品の提示の利点は、金額も少額という事で新人営業担当者でも取り扱いが可という事です。新規客でも既存客でも新人は高額な利益商品は売れません。顧客も新人から買いたいと思っていません。そういう意味では入口商品を設計すれば小さな売上を積み上げられるので、売上の機会損失を解消できます。

先日、私のノベリティグッズを扱うクライアントで1人の新人営業担当者が見事に入口商品(名刺ケース・ボールペン・バインダー3点セット)を販売し、7社の新規獲得に成功しました。売上はわずかですが、件数としては上出来です。ここからは、上司同席の元、利益商品提示の為に必要な聞き取り等を行って育てていくイメージです。(エスカレター方式)

 

④共感から生まれる合意

ここまでくれば話は早いです。

後は、しっかりとした合意を得る事です。解決の全体像の共有ですね。

解決したいと思って貰えるように、悩みや問題が解消できる全体像を提示していきながら、更なるYESを得ていくのです。ここで重要な点は相手にしっかり話をしてもらう事です。

本当にこの悩みを解消したいか?経費削減の必要があるのか?リフォームを通じて安心した生活を実現したいか?等しっかり質問に答えてもらい、購入の意思を間違いないものとしましょう。大前提として、目の前の顧客は商品購入後の、メリットを得たくて商品を購入するのです。あなの商品・サービスがどのように悩みや問題を解消してくれるのかハッキリ伝える必要がここで出てきます。商品の詳細説明よりも感情を訴えかける提案が必要になります。

 

⑤先取りスケジュール

最後に重要な点は事前にスケジュールを確定させる事です。費用の話になりがちですが、どういうステップで進むのか、次回はどのような流れでいつ行われるのか、どのような行動を相手に期待するのか、資料を提出してもらうのか、しっかりと意図を伝えスケジュールを確定させ、エスカレターを動かしていきましょう。スケジュール確定まで進めば、断る理由はほぼ払しょくできたと考えて良いでしょう。先日、保険のトップセールスマンの方と話をする機会がありました。10年以上、安定した成績を確保しているようです。秘訣はシンプル、毎月、20件の成約を維持する為に見込み客、既存客との「ヒアリング」、「ニーズ確定」、

「提案」の3つのプロセスのスケジュール管理を徹底し、行動をパターン化しているとの事でした。完全なアナログ管理でしたが、年収3000万以下を下回った事はないそうです。

出来る営業マンはスケジュール確定の重要性を理解しているので、スケジュール管理が完璧です。私達もしっかり、見込み客とのスケジュールを確定させる為に、きちんと相手に寄り添い、ゴールを共有しながらリーダーシップを発揮していくのです。

 

ここまで5項目について記載してきました。営業力、個人のスキルによって取り組むべき事に違いはあると思いますが優先して頂きたいのは、①信頼関係作りです。

本当の信頼関係とは、相手の真の悩みを共有できた状態です。表面的な悩みから抜け出し、真の悩みを共有すれば、相手の態度、表情、発言内容に変化が表れます。是非、自分の顧客、商談相手とそこまで関係構築が出来ているか一度、チェックしてみてください。ここがクリアされれば、商談の60%以上は成功したと断言できます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■売上よりも粗利確保

 

経営は売上よりも利益を安定させる事を最優先に考えるべきです。

売上至上主義は時には悲劇を招きます。

 

先日、クライアントからご紹介頂いた経営者様と面談を実施してきました。

地元ではそこそこの規模で展開している食品小売業さんです。

営業という訳ではなく、経営全般における問題を抱えているので是非、相談を聞いてほしいと依頼がありました。

 

4期分の決算書を分析しながら、面談を実施しましたが、経営者から出てくる言葉は常に「売上を上げれば上手くいく、売上が上がれば全て解決する」というものでしたが、本質は全く違います。

(小売業の様に売上が現金で入る場合、日々、手持ちに現金があるので売上至上主義になりやすい気がします)

 

この会社は売上を伸ばす為に、低粗利の販売手法を使い、その為に人員を増やし(現場からの声)、更に不採算事業に関してもいつか売れるだろうと楽観視している状況でした。

結果として販売管理費を吸収できない・・・営業利益・経常利益は数千万単位の赤字が続いているにも関わらず、何故、資金が減るのか理由が分からないと嘆かれていました。

 

これほど分かりやすい業績赤字の企業も久しぶりに拝見しましたが、これは他人事ではありません。

日常に追われて、売上(目先)を追いかけてしまうとこのようなことはあなたの会社でも起こり得るのです。

あなたの業種が役務提供・無形サービス・手数料ビジネス・サポート系の業種であれば、売上=粗利と考えられるかもしれませんが、粗利100%はあり得ません。広告費、外注費を掛け過ぎれば粗利は下がるはずです。

あなたの会社が追うべきものは売上ではなく利益なのです。

 

 

■利益を安定させる為のチェック項目

 

経営で重要なものは利益であるとお伝えしてきましたが、そのためにはどういった施策を取るべきでしょうか?

やはり自社のビジネスモデルを数字から計測・判断したうえでどのような対策を取るか考えなくてはいけません。

時には売上の優先度を下げる必要があるかもしれません。

(実際のところ、結構な割合で売上よりも大事な点を着目するべき事は多いのが事実です)

 

先ほどの事例企業も別の売上アップのコンサルタントにお金を払い指導して貰いながら業績赤字状態です。

売れば売るほど利益を圧迫している事実に経営者が気づいていなかったのです。

これでは、いくら社員を叱咤激励しても業績は改善しません。

このコンサルタントも決算書までは確認してないでしょうし、経営者から指摘事項もないので、量をさばく販売方法に特化していたのでしょう。

これだと何の為に経営をしていたのか分からなくなります。

 

では、どのようにして自社のビジネスモデルにチェックを行い、利益を安定させるのか?

何を優先度としていくべきなのか?

利益を安定させるためのビジネスモデルのチェックポイントを記載していきましょう。

 

チェックポイント1:優先度高:「経営」の視点:

①粗利率の変動における販売方法の確認(粗利額)

②利益に対しての人件費割合(幾らの価値提供)

③売上獲得関わる販促コスト(顧客獲得コスト 広告・チラシ)

 

チェックポイント2:優先度中:「営業」の視点:

①成約率と販売体制の確認

②顧客との関係性・リピート率(商品)の状況

③買う条件「保証」の効果測定

 

チェックポイント3:優先度低:「マーケティング」の視点:

①集客に関わる時間と効果(プロモーション活動)

②理論優先の学習

③ブランディングという名の自己満足

 

全て経営に必要な要素ですが、あえて優先度をつけるとしたら上記の様になります。

小規模(10名以下)の組織もしくは、1人社長で営業を必死にやっている企業経営者の方には是非、お勧めします。(即実践⇒成果を出すという事が前提)

 

それぞれ、3つの視点を俯瞰し、自社のビジネスモデルを把握・理解していく事が大事です。

組み合わせをしながら考えても良いでしょう。

 

先ほどの食品小売業の事例で言えば、

優先度高:「経営」の視点:

①粗利率の変動における販売方法の確認(粗利額)

②利益に対しての人件費割合(幾らの価値提供)

を優先して分析・現状の見える化を推進するように依頼しました。

売り方・提案商品も含め、如何に現状のやり方が損失を生むという事を「計数」を活用して客観的に見てもらう必要があるという事です。

当然ですが、事業リストラを視野に売上アップコンサルタントの方にも卒業していただくくようにアドバイスしました。

まずは、身軽な状態を作らなければ、先に進めません。

 

更に、

優先度中:「営業」の視点:

①成約率と販売体制の確認

②顧客との関係性・リピート率(商品)の状況

に関しても人気商品(高確率商品)の増産体制・強化対策も検討の視野にいれながら、顧客との関係強化・信頼される商品提供者としてのポジションを目指して行く方針を提案しました。

全ては上記、「経営」の視点を優先するが前提です。

逆に言えば、その決断ができなければ再建は不可能だと感じましたので、その旨を率直にお伝えしました。

 

そんな話を60分程度した段階で、最終的に経営再建の依頼をいただきました。

諸条件を受入れて頂いたので、これからお互いに信頼関係を築きながら改善を進めて行く流れになりそうです。

 

 

 

■理念を共有してからコンサルスタート

 

これから、現場の社員さんとも向き合い、経営改善の必要性を説いていく事になります。

現場としては経営者が売上を優先している以上、売上を上げれば責任を果たしていると感じているでしょうし、スタート段階では理解をして貰う為に少々の反発も覚悟しなくてはいけませんね。

しかし、会社の理念を守り続ける為に、必要性を説き、協力を仰ぐ事になるでしょう。

 

あなたの会社でもここまでではないにしても、共通した部分は無かったですか?

売上だけを社員と共有し、売上が全てと認識させては教育としても危険です。

それを防ぐためにも事例でご紹介した「経営」の①、②と「営業」の①、②の視点4つは一度チェックを入れてみてください。

 

 

■業績低迷の要因は内部にあり

業績低迷の原因は景気や競合などの外部環境ではなく、内部にあります。

あなた自身のビジネス・自社内において機会損失が多く存在するに気付いていますか?

機会損失とは「本来、あるべき売上(収益)を確保できていない」と定義できます。

業績を上げるためや売上確保のために新たな事を始める前に、きちんと本来得るべき売上(収益)を取り返してから新たな事を始める事が重要だという話です。

 

以前、私のクライアントでこのような話がありました。

・業績が悪いので、割引をしてでも売上を伸ばそう・・

・労力を使わず営業したいので、紹介の仕組みに特化しよう・・

・売上が上がらないので、販売エリアを変えよう・・・

 

3つとも違う会社ですが、業績の悪い会社の経営者もしくは、営業成績の悪い営業社員から聞いた話です。

共通しているのは、成果が出ない事は外部環境のせいと思い込んでおり、内部(自社・自分自身)に目を向けようとしません。

更に新しいテクニック、効率、やり方の話ばかりで「本質」には目を向けていない事も共通要素でした。

 

 

 

■業績低迷の共通事項

「本質」に目を向けず、小手先のテクニックに頼った結果はどうたったでしょうか?

話を聞いてから1ヶ月以上経過しても、業績・成績は低迷のまま周囲がヤキモキしている状態です。

何故、このような業績低迷となるのでしょうか?

要因も含め解説していきましょう。

 

・業績が悪いので、割引をしてでも売上を伸ばそう・・

割引自体は否定されるものではないですし、むしろ一般的なアプローチです。

しかし、売上数量・金額にしか目がいかず全体(経常利益など)に目が届いていない状況で割引をしてはいけません。

割引売上を作る為に人件費を更に使い、資金の手残りの少ない状況をわざわざ作ろうとする事が問題です。

 

「大量販売の流れが顧客に受け入れて貰えてきているので、止める訳にはいかない。どんどん売ろう」この発想では完全にアウトです。

というよりも、そこに耐えられるだけの収益モデルを持っていない限り、このビジネスモデルを手放す必要があります。

この点を無視して売り方だけに拘るのは答えを組織の内部に向けていない証拠です。

売り方の前に、今後の在り方、会社としてのビジネスモデルを再構築する事が優先です。

(人員の適性化・注力すべき商品等)

このケースではやるべき戦略を構築する時期にきているというアドバイスを行い、会社全体の戦略の再構築を実施しました。

 

 

・労力を使わず営業したいので、紹介の仕組みに特化しよう・・

相談を受けたクライアントの会社が取り扱っていた商品単価は超低単価商品でした。

クライアントから、ある営業担当者が紹介に特化した仕組みを創りたいと意気込んでいると相談を受けました。

その営業担当者はその為に紹介営業の方法を身に付ける、マーケティングの研修に参加したいと言っていたのです。

答えは簡単です。

 

紹介営業は獲得するまでのリード期間が長くなります。

超低単価商品でそんな事をしていては、業績目標はいつになっても達成できません。

営業担当者は紹介を依頼する・獲得する事で満足していたとしても、全く論点がずれているという事です。

仮に高額商品を取り扱うのであれば、紹介優先も話は理解できます。

しかし、超低単価となると話は別です。

基本的には大量行動、もしくは次いで商品訴求以外は考えられません。

 

そこで、クライアントには「内部に目を向けさせましょう。担当者の行動を変える事で機会損失を改善させましょう」と提案しました。

そんなに紹介に拘りたいのであれば、大量行動という土台の上に紹介があり、あくまで大量行動の補填要素として紹介を作り上げる事をお勧めしました。

紹介依頼から案件確保までの期間中に大量行動で穴埋めしても良いでしょう。

 

そういった発想法を担当者に伝え、行動の在り方、パターンを考えてもらうようにアドバイスをしてきました。(取り扱う商品とアプローチ法はきちんと考えましょう)

そして、クライアントにはこのような超低単価商品を取り扱う事から抜け出す為の施策作りを行う提案も合わせて実施させていただきました。

 

・売上が上がらないので、販売エリアを変えよう・・・

これもよくある話ですね。花火エリアを変更する事自体が問題ではありません。

しかし、エリアを変えただけで営業のやり方が同じであれば結果は想像できます。

ラッキーパンチがあったとしても継続的に目標達成は難しいでしょう。

そうなれば、また次のエリアにという話になります。

 

実は、この話を持ってきたクライアントの営業担当者は自らのトーク、提案方法、タイミングについて見直そうという事を全くやりませんでした。

これでは販売エリアを変えても結果は変わらないでしょう。

それを確かめるために、クライアントの社内にて営業テストを実施してみました。

10名の営業担当者に20項目の質問に5段階で自己回答してもらい傾向分析を行ったのです。そうすると面白い結果となりました。

常にエリア変更を求める営業担当者は自己評価が高いという結果になりました。

自己評価が低い担当者は謙虚というだけでなく、自分自身(内部)で改善できる箇所を見つける事ができる客観的な視野を持ち合わせているという事だったのです。

 

もちろん、エリア変更・拡大は経営の選択・判断のひとつにはなるでしょう。

しかし、1人~数名の営業がもたらす市場への影響ってどの程度でしょうか?

それよりも自分達に目を向け、アプローチの改善、提案タイミングの間の取り方、強烈なオファー構築等に目を向けるべきでだと考えます。

それがビジネスモデルの差別化になると感じます。そこを克服しない限り、新しいエリアに移動しても、状況は変わらないでしょう。

営業テストを踏まえ、クライアントには間違いのない判断をしてもらうようにアドバイスをさせて頂きました。

 

 

 

■最短最速の結果がもたらすリターン

この3点の事例に共通することは、機会損失つまり本来あるべき売上に目を向けていないということです。

マーケティング(常に新しい施策)を批判はしません。

むしろ重要です。

しかし、マーケティングを優先すべき会社と、それよりも先に組織の内部に目を向ける会社があるというのも事実です。

更に、マーケティングには労力も含めたコストが発生します。

そのコストを捻出する為にも最短で売上(収益)を取返す事が高収益ビジネスモデルを作り出します。

 

売上(収益)を取返す=内部の機会損失改善こそ、直ぐに実行でき、少ない投資でリターンを得られる最適なアプローチなのです。

(ちなみについ先日、あるクライアントに対して、コンサルティングの展開方法を修正・提案を行いました。その結果、来期の追加受注獲得(200万程)となったのです。

私がこのアプローチに拘る理由が分かって頂いたのではないでしょうか?)