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なぜ、消費税収増加=消費税率アップなのか?

野田政権に変わり、消費税の増税議論が活発化しています。現在の税収構造や予算構造を鑑みた場合、社会保障費の財源として消費税を使う場合、消費税によって税収を増やす必要があるということについては賛成しているものの、「消費税による税収増加=消費税率UP」というロジックは短絡するぎる気がします。

そもそも、消費税を因数分解すると

消費税=人口×1人あたりGDP×消費税率

という式になります。

この式が意味することは、

1)消費税による税収増加させる手段(因数)は3つある
2)乗算(掛け算)のみの式であるため、全ての因数の感度(従属変数=消費税に対するインパクト)は同じ

例:消費税率を5%UPさせるのも、人口を5%増やすのも、1人あたりのGDPを5%増やすのも消費税の税収は同じということ

したがって、消費税率UPという手段は消費税による税収増加の1つの手段にすぎないということです。他の2つの手段と客観的に比べて、相対的にベストである選択肢が「消費税率UP」であれば良いのですが、どうも他の手段に対する議論が不十分である気が個人的にはします。


下の図は、因数の1つである「人口」をもう少し細かく分解したものです。

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以上を、「時間軸」と「個人の負担軸」でプロットすると、

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このようになります。
つまり、緊急的に問題(税収増加)を解決するためには、「消費税率UP」は一時的には効果的と言えますが、人口減少、高い平均寿命、少子高齢化を考慮すると、今後社会保障費は増加することが予想されるため、中長期的な対策が必要となり、効果に時間がかかるものの個人の負担が少ない「人口」「1人あたりGDP」の増加も必要となりそうです。

また、消費税は経済活動に起因する税収方式であるため、前提として経済成長が最低でも横ばいでなければ、いくら消費税率をUPさせても税収増加効果は薄くなってしまいます。
そこで、経済効果の軸で消費税の因数を見てみると

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このようになります。

要するに、消費税の増収を効果的に実施するためには「順序」が非常に重要ということです。

喫緊な課題については消費税率UPで対応するものの、経済活動を活発化・納税者の増加による消費税の増収も順次していく必要があります。なぜなら、個人(企業も含む)の負担を強いる消費税率UPの打ち手のみに頼ることは、消費税に対して同等の感度を持つ1人あたりGDPの押し下げを誘引する可能性もある上、今後の人口減少を考えると税率UPだけでは対応しきれないことは明白だからです。

ロジックを超えるオペレーション

個人的にはカフェで読書をすることが好きなので、休日は良く家の近くのカフェで過ごすことが多いのですが、カフェで長時間過ごしているといくつか面白い発見をすることがあります。

家の近くにあるチェーン店のカフェでは、スターバックス(以下、スタバ)と珈琲館の2つがあるのですが、提供しているサービスは共にコーヒーであり、価格も同程度(量あたりの価格では珈琲館の方が高いが、1杯あたりの価格は同程度)であっても、そのサービスの提供の仕方(=オペレーション)が全く異なります。そして、その結果来店する顧客も当然のことながら異なります。その結果、両店舗は大通りを隔てた向かい同士にあるにも係らず、棲み分けが出来ているように思われます。

具体的に言うと、
スタバのオペレーションは、お客から注文をとり、会計をする役割。注文をうけ実際にコーヒーを作り、提供する役割。と、端的に言ってしまえば各個人に役割が与えられ、流れ作業的に効率重視のオペレーションとなっています。サッカーやバスケットのディフェンスで例えると、個人の役割が明確で、各個人が各々の役割を果たすことに尽力することがチームの成果になる「マンツーマン型」と言えそうです。

一方、
(少なくとも自分の行く)珈琲館では、個人の役割が明確化していません。3人程度の少ない人員で、皆が注文もとるし、コーヒーを淹れたり料理を作ったり、会計したりします。その上、カウンター席まであるので、それらのオペレーションをこなしつつ、お客さんと会話をしたり、トイレに行こうとしたお客がいた場合、もし他のお客が使用中であれば、使用中と声をかけ、トイレが使用可能となった時点で再度声をかけたり、通常買える時に会計を済ますのですが、お客によっては、注文時にお金を払ってしまう人もいるのですが、その場合も柔軟に対応しています。このように、個人の役割を限定・明確化することなく、あえて「曖昧」にすることで、様々な顧客や状況に柔軟に対応するオペレーションとなっています。上記同様ディフェンスで例えると、役割(ディフェンスエリア)の重複を起こしながらも、臨機応変に対応することで穴のないディフェンスを行う「ゾーンディフェンス型」と言えそうです。

「マンツーマン型」と「ゾーンディフェンス型」を簡単に図示したのが下の図になります。


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コンサルティングをやっていると、どうしてもオペレーションに限らず、対象事象をロジックとう名のもとでざくざく切っていってしまうのですが、日本のように現場の能力が高く、且つそれが競争優位の源泉になっている場合(特にサービス業)では、敢えて「曖昧なまま」問題を捉えることも重要なのではないかと、珈琲館に行く度に思います。

百貨店の苦境は顧客の嗜好が変わったからではない

ブログを書いていると、アメブロの「マイページ」で自分のブログのPVや、検索ワードを知ることができるのですが、自分のブログへの訪問検索ワードで常に上位にいるキーワードの1つに「百貨店問題」があります。
これまで、いくつか百貨店についての記事を書いてきましたが、常にそのテーマは、顧客の嗜好性・消費パターンが変わったのだから、売り手側である百貨店もそれに合わせてサービスやターゲットを変える必要がある、というものがメインでした。

・デパートは店舗単位でターゲットセグメンテーションを明確にした上でのサービス設計が重要と書いた
記事はこちら→http://ameblo.jp/ks681981/entry-10532574421.html
・デパートのウリは「わくわくする経験」ではないかと書いた記事はこちら→http://ameblo.jp/ks681981/entry-10644093748.html


しかし、最近思うようになったのは、「実は顧客の嗜好性は何も変わっておらず、変わったのは買い方(購入方法)だけなのではないか」ということです。

そもそも百貨店の最大のウリは、その名の通り、「そこに行けば欲しいものは何でも買える(100種類のもが売っている)」ことでした。百貨店が栄華を極めた時代における消費者の購買行動は、実際に売っている場所(=店舗)に自らが出向き、そこで数ある商品を選ぶにあたり店員の目利き・アドバイスを参考に買い物をするというものでした。従って、駅前という好立地且つ巨大な店舗は、多くの顧客に来店してもらい、且つ多種多様な顧客のニーズを1店舗で満たすためには重要であったわけです。所謂、ロングテール戦略を採っていた(当時はまだ「ロングテール」という言葉はありませんでしたが)ということです。

しかし、インターネットの普及によって、百貨店より低コスト(在庫コストや物件費・人件費がかからない)且つ他商品の品揃えが可能となり、さらには携帯電話でのインターネット・スマートフォンの普及等インターネットサービスのユビキタス化が進んだ結果、インターネット販売が、かつて「駅近で品揃えが多くて便利」だった百貨店の代替サービスとなったのが、百貨店が抱える本質的な問題ではないでしょうか。


その結果、顧客全体での嗜好性は従来のままであるが、例えば衣類であれば、利便性を追求する顧客はインターネットで買い、安くても高頻度でファッションを変えたい顧客はファストファッション店舗へ行き、高品質のものを自分の五感で選びたい顧客は百貨店や専門店へ行くというように購買方法が変わっただけではないかと考えています。

要するに、インターネットが一般的ではない時代においては、ロングテール戦略のために必須であった駅前の好立地と巨大店舗も、今となっては必要なくなったのにも係らず、従来の形態を保っているがため高コストで苦しんでいるというのが、百貨店の現状のような気がします。