【目黒区美術館】
ベルギーと日本 光をえがき、命をかたどる
会期:2023年4月29日(土)-6月18日(日)

 

行ってきました走る人

しかし、、東京では、先週6/18で会期終了。投稿のタイミングを逃してしまいました。ただ、岡山や新潟への巡回展です。

行ってよかったと思った展覧会だったので、思い出しながら投稿します照れ

 

 

この展覧会は、パリ留学が主流であった中で、ベルギー留学をした芸術家、画家の太田喜二島虎次郎と、彫刻家の武石弘三郎を主に紹介されています。

 

※画像は撮影OK作品やチラシから。作品内容は公式HPなどを参考にしています。

 

◆第1章 光をえがく:ベルギーの印象派絵画と日本

 

太田と児島は、ともにベルギー、ゲントの王立美術学校に通い、ベルギーの印象派の画家、エミール・クラウスから学ぶ。

 

”ベルギーの画家”

太田と児島が師事し学んだエミール・クラウスの作品下差し

 

下矢印エミール・クラウス《レイエ川の水飲み場》1897年

姫路市立美術館

↑クロード・モネの影響を受け、逆光が照らす夕暮れの一瞬をとらえた作品。

 

下矢印エミール・クラウス《フランドル地方の収穫》1904年頃

姫路市立美術館

↑空が広く描かれ画面の半分を占めている。大きな立体的な雲が特徴的な作品。

 

”太田喜二郎のベルギー留学”

 

下矢印太田喜二郎《赤い日傘》1912年 新潟大学

↑エミール・クラウスから厳しい指導を受けた太田。この作品は、赤い日傘を通り抜ける光を、赤く柔らかな光として描いている。

 

下矢印太田喜二郎《雪の朝》1910-1911年 目黒区美術館

↑好きな絵ですが、ちょっと寂し気な印象かな汗

 

”児島虎次郎のベルギー留学”

 

下矢印左:児島虎次郎《和服を着たベルギーの少女》1910年

高梁市成羽美術館

下矢印右:児島虎次郎《和服を着たベルギーの婦人》1909年

高梁市成羽美術館

↑児島が描いたのは室内画。明るく鮮やかな色彩を背景に、ベルギー人の少女が日本の着物を着てたたずんでいる作品。

児島は新しい絵画を貪欲に学び、ベルギーの美術学校を首席で卒業する。

 

下矢印児島虎次郎《家族》1910年 高梁市成羽美術館

↑写真も残されており、児島は写真を使って絵画の作成もしたそう。

 

太田喜二郎(右)と児島虎次郎(左)が並んで写っていますブルー音符

 

 

”帰国後の太田喜二郎と児島虎次郎

 

下矢印太田喜二郎《麦秋》1914年 高梁市成羽美術館

 

下矢印児島虎次郎《花鋏を持つ婦人》1913年 高梁市成羽美術館

 

下矢印児島虎次郎《酒津の農夫》1914年 高梁市成羽美術館

 

下矢印児島虎次郎《ブリュージュ舟宿》1920年 高梁市成羽美術館

 

当時の日本では、この印象派の技法は好意的に受け止められなかったと。

太田の作品からは段々と印象派の影響が薄れていきましたが、児島は積極的にフランスのサロンへの出品を続け、1920年に日本人初となるサロン・ド・ソシエテ・ナショナルの正会員となる。

太田とは対照的に創作を続けていく。

 

※児島と交流のあった斎藤豊作下差し

 

下矢印左:斎藤豊作《フランス風景Ⅲ》1910年頃 埼玉県立近代美術館

下矢印右:斎藤豊作《羊飼い》1906-1912年 目黒区美術館


西洋美術館での”ブルターニュ展”でも斎藤の作品が出品されていました気づき

※吉田苞(しげる)は、児島と「岡山洋画研究会」を結成したり、後進の指導にあたった。児島の急逝により、児島が制作中だった壁画制作も引き継ぐ。その吉田の作品下差し


下矢印吉田苞​​​​《初秋》1926年 株式会社天満屋

 

 

第2章 命をかたどる:ベルギーの彫刻と日本

 

武石弘三郎は、ベルギー、ブリュッセル王立美術学校を優秀な成績で卒業。帰国後は肖像彫刻家として活躍する。

しかし戦時中、武器にするため、武石が制作したブロンズは回収されたため、並ぶ作品には大理石が多い。

 

”武石弘三郎のベルギー留学”

 

下矢印武石弘三郎《海》1928年 大理石 神奈川県立近代美術館寄託

 

下矢印武石弘三郎《裸婦浮彫》1939年 大理石

新潟県立近代美術館・万代島美術館

 

武石がベルギー留学中に活躍していたのが、コンスタンタン・ムーニエ

戦前の日本で「炭坑夫の彫刻家」として人気があったベルギーの彫刻家ムーニエは、ロダンと並び称されるほど人気の彫刻家だった。

武石は、ムーニエの日本への紹介でも知られ、そのため、日本には”坑夫”をモチーフにした作品も多い。

 

下矢印コンスタンタン・ムーニエ《攪錬工》制作年不詳 個人蔵

 

※ムーニエに影響を受けた日本の彫刻家たち

 

下矢印齋藤素巌《丹那トンネル殉職慰霊碑レリーフ》1935年 小平市

 

 

第3章 伝える・もたらす:ベルギー美術の紹介

 

児島虎次郎によるベルギー美術の紹介下差し

 

下矢印レオン・フレデリック《花》1920年 大原美術館

↑季節柄、心に残った一枚です。

 

下矢印ウジェーヌ・ラールマンス《小径》1918年 大原美術館

 

下矢印ルネ・マグリット《再開》1965年 東京富士美術館

※ルネ・マグリットのもう一枚《ジョルジェット》は、撮影NG

瀧口修造は、積極的に”ルネ・マグリット”を雑誌などで紹介していたとの事。

 

 

大倉集古館 前設置の

《大倉喜八郎像》など。これらが、

今回の”武石弘三郎”が制作した作品。

 

👆誰の像としか見ていなく、誰が制作したかまで気にしていなかったので、大倉集古館でよく見ていたにもかかわらず、今回の展覧会で知りましたガーン

政財界や各界の著名人の銅像を数多く手がけたそうなので、他にも多数あるそうです。

 

全体的に一見、地味にも見える作品が多かったですが、明治の終わり頃の芸術家たちの交流も見え、”ベルギー美術”もいいわむらさき音符と思った展覧会でした。こちらの目黒区美術館で見た展覧会の中で、一番好きだったかも、、です。

 

ベルギー留学中、仲の良い友人同士だった、この3人の芸術家たちの展覧会は、とても面白いものでした。

 

目黒区美術館の収蔵作家の太田喜二郎。

この展覧会の巡回先である高梁市成羽美術館は、地元出身の児島虎次郎を館をあげて顕彰し、新潟県立近代美術館は、郷土作家として武石弘三郎を収蔵作家としているそうです。

 

 

目黒区美術館は会期終了しましたが、

スターこちらは巡回展です。

 

●高梁市成羽美術館〖岡山県高梁市〗

2023年7月8日(土)〜8月27日(日)


●新潟県立近代美術館〖新潟県長岡市〗
2023年9月16日(土)〜11月12日(日)

 

 

 

(2023/5 撮影)