九州事業者での西日本車体（西工）Ｓ型３列シートの高速車は、令和３年に残念ながら廃車となりました画像１の大分バスの車（４２１６１・三菱ＫＬ－ＭＳ８６ＭＰ）をはじめ、同じ大分県の事業者でもあります大分交通（大分２００か・１８９、三菱ＫＬ－ＭＳ８６ＭＰ）でも見られておりましたが、結局全廃へと至っておりまして、これら車も過去の姿となっております。
その背景としまして、担当しておりました路線の４列化が進みましたり、車両が経年に達しているなどしていた事、そして「新型コロナウイルス」による需要減によりまして減便となった所もありまして、結局廃車へと至る結果となっております。
また、画像２の大分交通車は別府・大分～宮崎線「パシフィックライナー」運行時でありましたが、この「パシフィックライナー」も令和３年に残念ながら廃止となっておりまして、担当していた路線までも姿を消すに至っております。それほど、活躍の場も減った事も正直残念ではないかとも思う所でもありましたでしょうか。
一方、西工Ｓ型をメインで導入しておりました西鉄グループでも見る事ができておりました事は記憶に新しいのではないかと思いますが、画像にもあります九州急行バスの車（福岡２２か５３－１９、三菱Ｕ－ＭＳ８２６Ｐ）に関しましては、西工９２ＭＣＣ－Ｉボディを導入する前に西工Ｓ型架装車が導入されておりました。
その装備も３列シートな上に、補助席にまでマルチオーディオまで付くなどの装備であったのが特徴でありまして、その後、西工９２ＭＣＣ－Ｉ架装車導入に伴いまして九州急行バスで廃車となりました後も、西鉄グループでは日田バスや亀の井バス、それ以外でも西肥自動車など、九州内事業者に移籍されまして全うしたほどでありました。
そして、西鉄グループのメインバス事業者でもあります西鉄バスでも西工Ｓ型の偏心３列シート車が導入されておりまして、かつては福岡～北九州線「福北ライン」においても採用されておりましたし、それ以外の九州内の高速・特急バスにおいても採用されておりました。しかし、各路線が４列化や使用車両変更などによりまして、残念ながら西工Ｓ型によります３列シート車は全廃となっております。
さて、今回ご紹介しますのは、西鉄バスで最も最後まで残りました西工Ｓ型によります３列シート車によります高速バスとして運行されておりました、以下画像の三菱エアロバスシャーシであります３２０９（三菱ＫＣ－ＭＳ８２９Ｐ）を中心に、皆様にご紹介してまいります。
この３２０９は、相方であります３２０８（形式同）とともに平成９年に北九州高速営業所に新製導入されまして、以来３２０８は北九州～長崎線「出島号」専用車に、３２０９は北九州～佐世保線「九十九島号」専用車にそれぞれ使用されておりました。
（３２０８）～「出島号」運行時
車内は、画像のような姿となっておりまして（画像は「九十九島号」運行時）、画像からもわかりますように３列シートである事がお分かりいただけるのではないかと思います。こうして見ましても、シートの幅も広く、かなりゆったりしていた事が伺えるのではないでしょうか。
（座席）
以来、この車は「九十九島号」として北九州～佐世保間を往復しておりましたが、平成２０年にその「九十九島号」が廃止となりまして、そして「出島号」の使用車両変更に伴いまして、相方の３２０８とともに運用を離脱する事になりました。
しかし、３２０９はその後運用に奇跡的に復帰、「出島号」としても使用されておりましたが、残念ながら平成２１年に以下画像のように運用を離脱、廃車となってしまいました。
この車も、３列シートであった上に固定窓と、西鉄バスの西工Ｓ型におきましても最も上級な車であったのではなかったかと思っております。しかし、使用用途がなく早々と廃車となってしまった事に関しましては正直残念でならなかったとしか言えようがなかったのではないかとも思います。
今回は、西鉄バス最後の西工Ｓ型３列シート高速車に関しましてご紹介しましたが、私自身も実際に乗車も何度か果たしておりましたが、先述のようにシートの幅も広いゆえ、ゆったりとしていたのが印象的でもあった事を覚えております。現在は、ご紹介しておりますようにＳ型架装車は全廃となっておりまして、過去のものになったのも正直残念な所でもありますし、さらに西鉄グループにおきましては同じ西工架装車で「ネオロイヤル」とも言われました９２ＭＣ・０２ＭＣ架装車に関しましても姿を消して来ているだけに、西工なき今、そう言った装備の車が見られなくなるのも残念かと思ってならない所でもありましょうか。
