番外 「銀釜」EF81形300番台電気機関車、除籍車両紹介(前編、「赤塗装」301・302号機) | コウさんのコウ通大百科 PART3

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(平成24年1月〜平成30年3月の記事はPART2の内容です)
令和6年10月記事より更新は夜間から朝に変更しています。

 
 ご覧の皆様もご存知の方もいらっしゃるのではないかと思いますが、今年に入りまして、新たな「銀釜」でもありますEF510形300番台電気機関車が相次いで導入されておりまして、現在は310号機までの導入が確認されております。
 
 JR貨物では、製造年数が50年前後になります、九州内を運行します門司機関区所属のEF81形電気機関車、そしてED76形電気機関車の置き換えのためにEF510形300番台電気機関車を導入しておりまして、令和3年暮れに導入、令和5年より日豊線で運用を開始しております。
 
 また、令和6年のダイヤ改正にはEF510形300番台電気機関車としての運用も設定されておりまして、先述の日豊線(北九州貨物ターミナル~延岡間)に次いで、現在は鹿児島線・肥薩おれんじ鉄道(北九州貨物ターミナル~熊本貨物~鹿児島貨物ターミナル間)の運用にも就いておりまして、今後は長崎線(鳥栖貨物~鍋島間)にもいつ就く事になるか?と言う所ではあります。
 
 これによって減る事になりますのが、先述のED76形電気機関車・EF81形電気機関車でありまして、現時点ではED76形電気機関車が8両(保留車を含みます)、EF81形電気機関車が9両(同)でありますが、EF510形300番台電気機関車の導入状況ではさらに減る事にはなるようではあります。
 

 

 さて、今回ここからご紹介しますのは、「銀釜」の先輩でありますEF81形300番台電気機関車に関しまして、姿を消しております300番台電気機関車4両中3両に関しまして、皆様にご紹介してまいりますが、今回はこのうちの2両をご紹介してまいります。


 

 JR貨物に所有しております、「銀釜」ことステンレス車体の車両EF81形300番台電気機関車は、現在稼働しておりますのは上の画像の303号機のみでありますが、車齢は高くなりながらも、九州内の各線におきまして運行されている姿を、他のEF81形400番台電気機関車、EF510形300番台電気機関車とともに連日見る事ができております。
 
 実際に、北は北九州貨物ターミナル駅から南は鹿児島線・肥薩おれんじ鉄道を経由しまして鹿児島貨物ターミナル駅(画像3)、東は運用は減りましたが、稀に日豊線を経由しまして延岡駅(宮崎県延岡市)、西は長崎線を経由しまして鍋島駅(佐賀県佐賀市)と見る事ができておりまして、毎日のように九州各地でその姿を見せております。
 
 しかし、かつてはその303号機以外にも301号機・302号機、そして304号機と存在しておりましたが、これら機関車も残念ながら廃車となっておりまして、これら号機は現在稼働する姿は見る事はありません。
 
 
 さて、今回ご紹介しますのは、かつては「銀釜」でありまして、一度常磐線に移りました際に赤13号に塗装されておりました、301・302号機であります。
 
 (301号機)
 
 
 この301・302号機は、当時関門トンネル区間におきまして運行されておりましたEF30形電気機関車の増備車として昭和48年にこの2両は落成、門司機関区に新製配置されまして運行されておりました。しかし、昭和53年に当時常磐線にて運行されておりましたEF80形電気機関車の置き換えとしましてこの301・302号機は旧内郷機関区に転属、その際に赤13号に塗装されておりました。
 
 
 その後、国鉄分割民営化前の昭和60年に門司機関区に里帰りしまして、以来関門間を中心としました運用(福岡貨物ターミナル~門司操車場(当時)~幡生操車場間)で運行されておりました。
 
 
 しかし、EH500形電気機関車の導入によりまして平成23年に関門間の運用はなくなりまして、以来九州内にとどまる事になりましても、逆に運行範囲が広くなります九州内の運用としまして、先述の303号機と同じ区間であります鹿児島線・肥薩おれんじ鉄道、日豊線、長崎線で運行されておりました。
 
 
 けれども、この2両は門司機関区に所属しながらも、北海道のジャガイモ出荷時期などには「日本海縦貫線」で運行するために富山機関区にも貸し出される事もありまして、車両不足を補う役割も果たしてもいました。やはり、JR貨物ゆえの広域応援運用ではなかったかと思いますが、「日本海縦貫線」で「門」の所属札が見られていたのも良かったのではなかったかと思いますし、九州以外では使用する事ができない直流区間でも走行できていたのが良かったのではないかとも思います。
 
 (301号機)
 
 (302号機)
 
 
 しかし、残念ながらその富山機関区からの4両の転属車によりまして、平成26年頃までにこれらは運用を離脱、その後除籍されまして門司機関区構内に留置されておりまして解体の時を待っておりましたが、令和2年7月に302号機が解体されましたし、令和3年4月には301号機が解体されております。
 
 (令和元年撮影、2両目が302号機、3両目が301号機)
 

 この2両では、それでもかつての「銀釜」を伺わせる姿を見る事ができておりました。その証となっている部分が車体下部のステンレス帯の部分ではありますが、その部分まで赤13号に塗装されている訳ですので、常磐線に転用される事になった事で塗り替えられている事が伺えていた事がわかるのではないかと思います。
 
 (301号機)~更新を表す白帯も入っていました
 
 (302号機)
 
 また、ナンバープレートは303・304号機の場合が金色で枠・ナンバーを表示されておりましたが、こちらは白で表示されていたのが特徴であります。こう言った所が他の2両との違いではないかとも見ていて思う所でもあります。
 

 ちなみに、現在もこれら機関車が元は銀釜であった事が伺える所が見る事ができております。それが京都市の京都鉄道博物館にあります模型でありますが、この模型は301号機であります。この模型からもわかりますように、かつてこの機関車自体は元は銀釜であった事がわかるのではないかとも思います。
 
 
 今回は、前編としまして301号機・302号機をご紹介しましたが、本当にこの2両にとりましては様々な経験を行ってきたのではないかとは思います。中でも「銀釜」として生まれながら他の車両とともに赤塗装に塗り替えまして一度常磐線でも走っていた訳ですので、正直オリジナルな姿が見られていなかったのが残念でならない部分ではなかったかとも思いますが、今となれば特異車として良かったのではなかったかと思ってならない所ではあります。次回後編では、303号機とともにオリジナルの銀釜で全うしました304号機をご紹介しますので、次回もご覧になっていただきたいと思います。