番外 「ふろやん」の愛称でもあります、鳥栖駅東側に保存されています、230形蒸気機関車268号機 | コウさんのコウ通大百科 PART3

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(平成24年1月〜平成30年3月の記事はPART2の内容です)

 

 佐賀県鳥栖市の玄関口、JR鳥栖駅の東側には、上の画像にもありますように駅前不動産スタジアム(駅スタ)がありまして、Jリーグサガン鳥栖の本拠地となっている広大なサッカー場が存在しております。

 

 「サガン鳥栖」と言いますと、平成24年以降現在まで、10年以上に渡りまして、Jリーグの最高峰でありますJ1リーグに君臨する九州を代表するサッカーチームでもありまして、掲載時現在は17位と低迷しておりますが、今後また順位を上げてくれる事を願う所ではあります。

 

 その本拠地がこの鳥栖市内のその地にありまして、鳥栖駅の本屋からは連絡通路(上の画像1がその連絡通路から撮影)を通りましてその駅前不動産スタジアムまで行く事もできておりまして、試合日では多くの「サガン鳥栖」及び他チームのサポーターが通る姿も見られております。

 

 

 そんな駅前不動産スタジアム、そしてスタジアム周辺は、かつては鳥栖駅の広いヤードの姿を見る事ができておりまして、ここには現在も存在します旅客駅に加えまして、貨物操車場や客貨車区・機関区と言った施設も存在しておりました。しかし、その操車場なども国鉄末期に廃止されまして、広い「国鉄用地」も見られておりましたが、現在は駅前不動産スタジアムをはじめ、「サンメッセ鳥栖」、そしてVリーグ「久光スプリングス」の本拠地でもあります「サロンパスアリーナ」と言った施設や公園に整備されておりまして、かつての姿とは大きく一変しております。

 

 (画像左、サンメッセ鳥栖)

 

 (奥に公園もあります)

 

 

 そんな自由通路の所や駅の6番ホーム側からは、画像にもありますように屋根に覆われました蒸気機関車の姿を見る事ができておりまして、今回初めて直に見る事ができておりました。今回は、その蒸気機関車に関しまして皆様にご紹介してまいります。

 

 

 この蒸気機関車とは、268号蒸気機関車でありまして、現在の信越線の一部を管轄しておりました旧北越鉄道の発注によりまして明治38年に旧汽車製造(現・川崎重工)で製造・導入された蒸気機関車でありまして、G形「18号」蒸気機関車としてこの1両が導入されたものでありました。

 

 このタイプ1B1(2-4-2)形タンク機は、イギリスから輸入されましたタンク機関車をもとにしてその旧汽車製造で国産で最初に量産されたものでもありまして、製造両数は「18号」を含めまして51両が製造されたものでありましたが、その後国有化によりまして230形蒸気機関車として形式が変わりまして、この車も268号として運行されておりました。

 

 

 230形268号に変わりました後は、旧神戸鉄道局(→大阪鉄道局)管轄の蒸気機関車として使用されておりまして、大阪機関庫(→吹田機関庫~現・吹田機関区)に所属しておりましたが、第二次世界大戦前の昭和10年代に旧鳥栖機関区に転属しまして、鳥栖機関区では鳥栖駅構内の入れ換えを中心に使用されていたそうであります。

 

 

 そんな268号は、昭和29年に廃車となっておりまして、廃車後しばらくは蒸気機関車の構造等を学ぶための教習用の備品として鳥栖機関区構内に置かれておりましたが、昭和45年に新たな保存場所として鳥栖市役所前に、そして平成17年に現在の場所に移動しまして、それとともに鳥栖市の重要文化財にも指定されまして現在に至っております。


 尚、この230形蒸気機関車は現在は2両しか展示されておらず、もう1両は画像の明治36年製造の233号(鉄道記念物)でありまして、大阪の交通科学博物館に保存されておりましたが、現在は平成28年に開館しました京都鉄道博物館に移されておりまして、かつての姿を後世に残しております。

 

 (平成28年訪問時撮影)

 

 

 さて、この268号蒸気機関車は、現存します「SL人吉」用の8620形58654号蒸気機関車や、さらには「デゴイチ」ことD51形蒸気機関車としますと小さい機関車である事がお分かりいただけますが、それでも、先述のように広かった鳥栖駅構内の入れ換え用として使用されておりましたので、鳥栖駅にとりましては貢献ある車であった事が伺えるようであります。実際に、地元の鉄道マンや家族からも「ふろやん」とも言われていたそうでありまして、絵本も製作されたそうですから、それほど名残ある車でもある事が伺わせております。

 

 

 この時は、柵の外からの撮影のため、あまり詳しくは収める事はできませんでしたが、それでも蒸気機関車には必要なハンドル・ブレーキなどの姿も見る事ができておりました。また、上部には計器類の姿も見られておりまして、蒸気機関車の火室やボイラー内の温度なども見る事ができていたようでもあります。

 

 (アップ)

 

 

 こちらは、蒸気ドームや煙突であります。稼働していた頃には煙突からは煙が、蒸気ドームからも水蒸気がでていたようでしたが、それらの姿はもう見られなくなっております。こういった細かい所からも「ふろやん」の雄姿を知る部分ではないかとも思います。

 

 

 そして、動輪であります。先述のように、先輪1・動輪2・従輪1の1B1(2-4-2)形タンク機でもありますので、小型機関車にふさわしい部分ではないかとも思います。この姿から見ましても本線運行はそんなに遠くは難しかったようではありますが、入換にはふさわしかった事がこの姿からも伺えていたのではないかとも思います。

 

 

 今回は、鳥栖駅東側に保存されております、230形蒸気機関車268号に関しましてご紹介しましたが、やはりここまで大切に保存されている姿が見られるのもそれだけ地元の方からも愛されまして、「ふろやん」という愛称まで付いていた訳ですのでこの存在も大きかったようです。私自身も明治時代に製造されていた事は存じてはいましたが、それだけ長い歴史があった事には正直驚きとしか言えようがなかった所です。ご覧の皆様も、列車に乗車されますと6番ホーム停車時に見る事ができますし、「サガン鳥栖」の試合時等でも駅前不動産スタジアムに行かれた際にでもご覧になっていただければと思っております。