かつて、西肥自動車(西肥バス)には、西日本車体(西工)のE型が在籍しておりまして、日産ディーゼルUA(P-UA33N)シャーシで、計6台が平成元年から翌平成2年まで導入されておりました。
導入は、6台中5台が平成元年に、1台が追加導入と言う形で翌平成2年に、いずれも旧大野営業所に新製導入されまして、佐世保市内(大野~佐世保駅)~長崎空港間で運行されておりました。
これら車は、西工E型架装車と言う事で、車体は標準床のスタンダードデッカータイプの車となっておりまして、空港線用と言う事からシートはリクライニングシートとなっていたのが特徴でもありまして、塗装も空港線専用の塗装となっていたのも特徴でもありました。
しかし、10年ほど長崎空港線用として運用していた後の平成12年~平成13年頃にかけまして、運用の見直しから、貸切からの改造車が長崎空港への特急(現在の「空港特急(空特)」)として使用されるようになりまして、この専用車6台は長崎空港線からは撤退しまして、のちに中のり車として6台中5台が改造されるに至っておりました。
尚、変更されました長崎空港線の専用車は、これらの車よりも車齢が高い、貸切からの改造車であります以下画像の車に車両が順次変更されて行きましたが、これら車も残念ながら全廃へと至っております。
(F432・三菱P-MS713N)
(N748・日産デP-RA53RE)
さて、今回ここからは、西肥バスに導入されました西工58MCE型架装日産デイーゼルUA全6台に関しまして、皆様にご紹介してまいります。
まずは、長崎空港線から他の路線向けに中乗りタイプに改造されました5台(N756・N757・N759・N760・N770)をご紹介します。
(N756)~平戸営業所所属時
画像が改造されました車の中乗り部分であります。画像からもわかりますように3番目の窓の部分にドアを追加させまして改造されている事がお分かりいただけます。
よく見ましても、あまり改造された印象は後述のN758と比べましても見られませんが、さらによく見ますと、逆T窓の上部分に方向幕が追加されているなど、変化が生じている印象は伺えられるようであります。また、車内画像はありませんが、シートの形を見ますとおそらくシート自体も変わっておらず、この車にあたりますとまさにラッキーであったのではないかと思います。
一方、こちらは未改造のトップドア車N758であります。この車を見ましても、かつての空港用として使用されていた頃の名残をよく出しているように思います。しかし、よく見ますと西工E型らしく、床下のトランクのスペースはそれほど広くはなかったようにも思われますし、おそらく車内にも荷物スペースは整備されなかったのではないでしょうか。それを思いますと、ハイデッカーの専用車に変更されてしまっていてもおかしくなかったようにも思ってしまいます。
これら車は、その後N759以外は、平戸・新上五島の各営業所に転属しておりまして、それぞれ各地の路線で活躍しておりました。これら営業所の路線では、距離が長い区間も存在してもいましたので、シートがいい分、そう言った区間には重宝されていたのではないかと思います。
【これら画像はいずれも平成23年撮影】
しかし、平成26年にN756・N760が廃車になって以降(N756は事故廃車)、平成27年には東部営業所所属のN759が廃車、そして残されました新上五島営業所所属でありましたN757・N758、平戸営業所所属でありましたN770の3台も平成28年廃車となりまして、結果この西工E型は全廃となってしまいまして、稼働時の姿を見る事はできなくなってしまいました。
今回は、西肥バスに存在しました西工のE型架装車に関しましてご紹介しましたが、当初は全車トップドア車であった訳でありましたが、このうちの5台がご紹介しましたように中ドアを追加させまして活躍を行っていた訳ですので、まさに変わった車であった事が伺える所ではあります。しかも、これら車も1台を除きまして佐世保を出まして、場所によっては離島の上五島でも活躍していた車もありましたので、使い勝手に関しましては正直どうだったか?という所ではありましたが、本当に色々な事がありながらも20年以上活躍していた事は記録として残る事ではないかと思ってならない所ではあります。