福島県とトンネル工事の深い歴史的関係 | 寿建設 社長ブログ

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福島県福島市にある建設会社です。
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エピソードや思うことを綴ります。

各都道府県を1冊丸ごと取り上げ、地図を読み解きながら、地形や地質、歴史、文化、産業など特徴と魅力を紹介。

などの趣旨で出版されている昭文社の「トリセツ」シリーズというのがあって、年末に「福島のトリセツ」が発売され、本屋で見つけて即購入。

↓出版社の紹介HP

https://www.mapple.co.jp/12399/

 

年末年始にかけてじっくり読んだ。それなりに知っている情報も多いが、地図ベースに写真、図解も交えて整理させているので非常に分かりやすく、大変面白かった。

福島県の成り立ちを改めて学べ、地域による気質の違いなどの理由に腑に落ちたこともあった。

 

そして、「あっ!」と思ったことがある。

トンネル工事の歴史において、福島県は大きな一歩を踏み出した県なのであった。

 

日本でトンネル工事が本格化するのは明治以降である。

↓↓

 

それまで躊躇されていた「山を貫いてつなぐ」仕事が、「文明開化」の名のもとタガが外れたかのように推進されていく。

西洋技術の指導の下、最初に掘られたトンネルは明治3年に着工した大阪~神戸間鉄道の川の底をくぐる61mの石屋川トンネル。

その後土木の歴史の中で有名なのが京都と大津を結ぶ鉄道のための「逢坂(おうさか)山トンネル」や、琵琶湖の水を京都に流すための琵琶湖疎水がある。

 

私が「あっ!」と思ったのは、この本に掲載されていた、同時期に福島県内で建設された福島と山形をつなぐ「万世大路」と、猪苗代湖の水を郡山に流すための「安積疏水」の情報である。

時系列を調べると、「万世大路」の最難所「栗子隧道(トンネル)」の着工は1877年(約870m)、逢坂山トンネルの着工が1878年(668m)なので、栗子隧道の方が早く着手している上、延長も長いのだ。

 ↓↓ちなみに去年読んだ、「逢坂山トンネル」工事を舞台にしたミステリ

 

そして安積疏水は1879年に着工、幹線水路の延長52km、分水路(メインの幹線から分かれた水路)78km、トンネル37か所(総長7km)に対し、琵琶湖疎水は1885年着工の第一疎水が分水路を含む総延長が19km、トンネル3か所(総延長約4km)。

福島県の安積疏水のほうが時期も先で、規模も大きい(トンネル関連の数字はネット検索でもいろんな数字が出ているのでざっくりで認識下さい)。

 ↓↓ちなみに去年読んだ、「琵琶湖疏水」の建設を描いた本

 

つまりトンネル技術で社会を大きく変える事業は、京都よりも福島県の方が先に始まったのだ。

こに認識はなかった。

 

福島県に本社のあるトンネル屋として、これからはこの点も大いにPRしていきたい。

 

そして一つのトンネル工事の全貌を追った写真集を初めて世に出したのも福島県なのである。(強引ではあるが事実!)

https://good-books.co.jp/books/37/

時間に余裕のある正月だからこそ、こんな発見があった。