飽和脂肪酸の自動酸化により過酸化脂質が生じる

三石巌:全業績15、DNAとメガビタミン、より

 体液すなわち、血液やリンパは、タンパク質という高分子をふくむためにある程度の粘度を保っている。ところが、これが、異常に高まるケースがある。それは、「過酸化脂質」の重合物がまじる場合である。ビタミンEの抗酸化作用は、過酸化脂質の生成をおさえる。そうすれば、その重合物のできるわけがなく、したがって体液の粘度の異常上昇もないことになる。これが、ビタミンEの摂取によって、体液の粘度を正常に保ち、その結果として血行が改善されることの説明である。
 ビタミンEの抗酸化作用が、ラジカルの捕捉に役立つことは、すでに述べた。それが、過酸化脂質の生成抑制に役立つことはいうまでもあるまい。
 過酸化脂質は、不飽和脂肪酸の自動酸化の産物だ。自動酸化とは、酸素による代謝的酸化ではなく、鉄が水にぬれてさびるような化学反応をさしている。不飽和脂肪酸とは、いうならば、何らかのはいりこむ余地のある脂肪酸の意味だ。この空席に酸素がはいりこむ現象をさして、自動酸化というのである。
 体内で不飽和脂肪酸が自動酸化すれば、その量に見合うだけの酸素がそこにもってゆかれる。過酸化脂質が好ましいものではなく、酸素の浪費も好ましいものでないなら、自動酸化は迷惑以外の何物でもない。この迷惑至極の代物を回避する役割を、ビタミンEは負うことができるのだ。
 酸素の浪費を防ぐということは、酸素の節約を意味する。せっかく肺でのガス交換によってとりいれた酸素が、無駄に消費されずにすむとするならば、こんなにありがたいことはない。頭痛、生理痛など酸素欠乏、すなわち、酸欠による症状がビタミンEによって消滅したとしても、怪しむことはない。20年来の偏頭痛が、ビタミンEによって、僅か5分で霧散した例がある。狭心症や心筋梗塞の症状も、酸欠からくるので、ビタミンEによって改善されるのが普通である。
 過酸化脂質は、まぎれもない悪玉である。これについて二、三の知見を加えておこう。まず、ハツカネズミに過酸化脂質を与える実験によれば、半数致死量は、体重1kgあたり17㎜㎍にすぎない。このデータは、過酸化脂質の毒性がきわめて強いことを示すものである。 われわれの体内で、過酸化脂質の候補となる不飽和脂肪酸が集中しているのは「生体膜」である。生体膜とは、細胞や核、そしていろいろな細胞小器官などの膜をさすことばである。生体膜の主成分は「リン脂質」であるが、これがわずかの例外を除いて、不飽和脂肪酸をふくんでいるのだ。
 われわれは、酵素がタンパク質であることを知っている。これがもし酸化すると、酵素作用は失われ、代謝に支障がでてくる。この酵素の多くは、リン脂質にはさまって生体膜のなかにある。そのリン脂質の不飽和脂肪酸が優先して自動酸化するために、酵素タンパクの自動酸化はあとまわしになる。この自動酸化の性質は、期せずして酵素タンパクを守ることになっている。万一、ビタミンEのような抗酸化物質が十分になければ、酸素はリン脂質を食いつくして、酵素タンパクを犠牲にしてしまうことだろう。ビタミンEは、全酵素にとって、全代謝にとって、救世主の役割を演じているといってよい。
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生体膜は、不飽和脂肪酸ーリン酸ー飽和脂肪酸のリン脂質2重層でできている。
不飽和脂肪酸の不飽和部位が自動酸化により過酸化脂質を生じる。
飽和脂肪酸は不飽和部位がないので酸化されない。

不飽和脂肪酸は酸化を受けうる。
一方、タンパク質は、酸化と糖化を受けうる。
不飽和脂肪酸の自動酸化を防ぐためには、ビタミンE、セレンなどの抗酸化物質が必要。

医学界には、”飽和脂肪酸過剰は悪い”という迷信が根強いが、飽和脂肪酸は酸化されないので悪いはずがない。
一体全体どこを見て悪いと言っているのか全く意味不明。
やはり、医学常識はウソばかり。

処方薬のユベラニコチネートは、合成ビタミンE+ナイアシン。
冷え性や末梢循環障害の人によく処方するが、ビタミンEで血液粘度を下げて、ナイアシンで末梢血管を拡張させる作用がある。
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