川越style《閉店》「Kawagoe aon(カワゴエ アオン)」昭和の街に正統派フレンチ | 「小江戸川越STYLE」

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「小江戸川越STYLE」代表:石川真

無駄のない一挙手一投足に神経を研ぎ澄ませる。

料理にかける思いが、前進から発せられていました。

その一皿のために、食べてくれる人のために。

 

川越に久しぶりのフレンチの新店の誕生。

これまでのキャリアを存分に生かして、川越の食文化の豊かさの一翼を担っていく。

2017年7月にオープンしたのが、「Kawagoe aon(カワゴエ アオン)」さん。

お店があるのが、本川越駅から歩いて5分ほどのところにあります。本川越駅を真っ直ぐ北に進み、県道川越日高線と交差する連雀町交差点を越えてすぐに右手。

「Kawagoe aon(カワゴエ アオン)」
川越市連雀町8-1 
西武新宿線 本川越駅 徒歩5分 
東武東上線 川越駅 徒歩12分
営業時間    
【月・火・木~日・祝・祝前】
ランチ 11:30~15:00 (L.O.14:00)
【月・火・木~日・祝・祝前】
ディナー 17:00~22:00 (L.O.20:00)
定休日    水曜日、第3火曜日定休。
049-237-7400

ちょうど裏手には熊野神社があり、参拝の後のお楽しみとしても利用できるお店。

一帯は、近年の川越で何かと話題に上がることが多くなっている「川越 昭和の街」エリア。

昭和初期から商店が立ち並び、今でも営業を続ける残るお店がある稀有な商店街。最近は新しいお店も増えてきて、『川越中央通り「昭和の街」を楽しく賑やかなまちにする会』の活発なまちづくり活動により再び活気が溢れてきたエリアです。その川越 昭和の街に新しく仲間入りしたのがaonさん。

入口のドアを引くと、目の前に存在感あるカウンター席が現れる。

そして階段から上がるとテーブル・椅子席の落ち着いた二階席が広がる。二階はプライベート感がより溢れて、自分たちだけの時間に浸ることができるのが特徴。

窓から眼下には中央通りの街並みが続き、斜向かいには「武州川越 轟屋」さんに、さらに背を伸ばすと蓮馨寺が覗き見えるというなんとも川越的ロケーションに惹き込まれる二階席。

二階席のみならず、お店全体が自分たちのプライベート空間と感じられるお店で、こじんまりとしながら密な空間に川越人は足蹴く通って来ている。

川越にはフレンチのお店が何軒もあり個性を発揮していますが、創作的というよりaonさんはまさにクラシックな正統派フレンチのお店。

まず、フレンチの新店というのは川越の飲食でも珍しく、待望のお店と言え、さらに新しいフレンチのお店がクラシックなスタイルで勝負するというのも注目のポイントです。

それも、昭和の街に出来たというニュースは驚きと共に街に受け入れられました。

いや、今の昭和の街の熱気だからこそ、いよいよフレンチのお店も呼び寄せるに至ったのかもしれない。だんだんと「食の街」を形成してきた昭和の街。

 

aonさんは決して広いお店ではないですが、それをむしろ逆手に取って、シェフと近い距離で接することができ、よりフレンチの世界を楽しむことができると、考えることはできないか。

一階カウンターの内側、厨房にはaonを取り仕切る青木シェフが今日も淡々と仕込みを続けていた。時間をかけた仕込みの時間があるからこそ、あの見ただけで華やぐ気持ちにさせられる一皿が生まれていくのだった。

表舞台のショーの鮮やかさの裏にある、淡々とした途方もない準備の舞台裏。開演の時に向けて準備が進められていく。

フレンチの大事な要素であるソース、aonのソース作りは丁寧に出汁を取るところから始まる。

魚の出汁と肉の出汁を取り、ここから料理に合わせて赤ワイン、白ワイン、ポルト酒、ビネガー、を使うというように派生していき、最終的にオリーブオイルで伸ばすのかバターで繋ぐのか、など微調整してその料理に合わせたソースは作られていく。

コク、味わい、料理とのマッチングしたソースは、こうした職人的手仕事に支えられているのだ。

営業前、幕が上がる前段の舞台裏から話しを始めるのが、仕込みこそ命のフレンチらしく、aonらしかった。

aonは青木シェフが全てと言っていいお店。

料理一つとっても、青木シェフがソースはもちろんのこと、前菜からメイン、デザートまで「全てを一人で手作りしている」というお店。

青木シェフの手をかけた料理を食べたい、青木シェフと話しがしたい、青木シェフに惹きつけられて、今日も店内には目当ての人がやって来る。

 

aonさんのランチは、

A. 日替わりパスタ(サラダ、ドリンク付 +300円でデザート2種)

B. ワンプレートランチ(ドリンク付 +300円でデザート2種)

C. コースランチ バケット付

(野菜のプレート+メイン(お肉orお魚)+メイン+デザート+ドリンク付)

D. コースランチ バケット付

(野菜のプレート+前菜盛合わせ+メイン(お肉orお魚)+メイン+デザート+ドリンク付)

 

(A. 日替わりパスタ)

 

(B. ワンプレートランチ)

 

気軽に体験できるメニューもありながら、aonの神髄に触れるために。

ランチから、じっくりとコース料理を楽しむことができるのがaonならでは。

コースのメインは魚料理や肉料理から選ぶことができ、魚・肉共に内容は定期的に変わっていきます。

これまでは本日の鮮魚のポワレ、鴨胸肉のロースト、豚ロースのローストニンニク・ローズマリー風味、牛スネ肉の赤ワイン煮込みといったメインが登場していました。

aonで食事をするなら、すぐに食べて出ていくという日ではなく、今日は落ち着いてゆっくり食事を楽しみたいという日に使いたい。

そういう日に使えるお店が出来たことが川越的にも新しい。

反対に言うと、aonの料理は青木シェフ一人で調理し、一品一品細部に魂を籠めて作るので、注文してすぐに提供、食べて出るというお店とは異なるという面も。大げさでなく、一口一口を噛み締めて味をどこまでも味わう尽くそうという日に、aonがいいかもしれません。

フレンチを家で作って食べようとしてもなかなか難しいでしょう、時短料理の真逆をいく正統派フレンチは、食べるならお店で、そして信頼の置けるシェフの手で作られるお店で頂くのがやはりベスト。

と言ってもaonは敷居の高いお店ではなく(昭和の街にお店を構えようというお店ですから)、気軽さの中に本格と本気が内包しているというのが、aonの真実。

思い返して、また驚く、クラシックなフレンチのお店が、昭和の街に誕生したなんて、いや、クラシックスタイルだからこそ、昭和の街だったのかもしれない。

 

コースはまず、野菜のプレートから始まる。

時季の農産物を使い、この時は、大根、さつま芋、トマト、アスパラガス、茄子、人参などを使って一品一品アートに仕立てられていました。

使う食材には、青木シェフの親戚が川越で農業をしていて、新鮮な野菜を時季によって使うことができる。

メイン料理で最高潮に達したコースは、デザートでいつまでも余韻に浸っているのでした。

ある日の肉料理。

ある日の魚料理。

一口一口、一噛み一噛みに神経を集中して、ただひたすらにシェフの仕事に身を委ねればいい時間。

厨房はまさに青木さんの舞台。

ごまかしのきかないオープンキッチンという舞台でシェフは躍動し、お客さんは舞台上のシェフの仕事を見つめる。

青木シェフの目の前の一皿に向き合う目。

全身から発せられる集中と気合、見る見るうちにお皿に上に次の料理という名のアートが表現されていきました。フレンチの醍醐味の一つに、やはり、盛り付けの見た目の美しさも外せない。あの見慣れた食材たちが、なんでこんなに美しいアート作品のように変身していけるのか。シェフが使う愚直な魔法が隅々にまで行き届いていました。

 

ランチでも青木シェフの手仕事が感じられますが、夜にアラカルトで縦横無尽に味わい尽くすのもまたいい。

ディナーメニュー、この時は、季節の野菜プレート、aon風サラダ、渡り蟹のビスクスープ、鴨胸肉のロースト、鮮魚のカルパッチョ、エビとブロッコリーのアヒージョ、ヤリイカと野菜のフリット、カプレーゼ シェフ特製バジルソース、フライドポテト サワークリーム添え、オリーブのマリネ アンチョビ風味、自家製オリジナルピクルス、石焼きブイヤベース、川越市場厳選 鮮魚のポワレ、牛スネ肉の赤ワイン煮込み、塩麴漬け 豚肉のグリエ、パスタも各種揃え、デザートもタルト、ティラミス、クレーム・ブリュレ、カッサータ・コン・ジェラート、ガトーショコラがあります。

その他、aonの真骨頂、本格的ディナーコース(青木シェフお任せのオートクチュール)があり、二階席は6名からプライベートレストランとして貸し切りにできます。

また、飲み放題パーティープラン、ちょい飲みフレンチセット、女子会飲み放題プランもあるので、お店に問い合わせてください。

 

aonの全ての料理を、一人で作り出す青木シェフという人とは・・・??

aonの青木シェフは坂戸市出身、一貫して飲食業に携わってきてこの道既に20年、フレンチのお店で働いてきたのは計13年になります。

東京のフランス料理などで修行した後、30歳の時にフランスへ渡り、リオンやニースで本場の地方料理を学ぶ。

その後はフレンチのみならず、イタリアンやダイニングバーなど、ジャンルを問わず幅広い料理の世界で活躍してきた。

青木さんは話します。

「フレンチやイタリアンを中心に、20年以上様々なジャンルのお料理を学んできました。本格的な料理からアレンジまで、旬の素材をふんだんに取り入れたお料理を提供してまいります。そして美味しいお料理だけでなく、お客様が笑顔で『また来たい!』とおっしゃっていただけるお店を目指しております。」。

青木さんが、これまでのシェフとしてのキャリアで、最も影響を受けたというのが、20代前半で働いていた都内のフランス料理のお店だった。

そのお店は、地元の人に愛され、昼も夜も毎日のように常連客が通って来るようなお店で、美味しいものを安く、そして全てを手作りで提供することを信念としていたお店。そこで4年働いたことが、青木さんのその後のシェフとしての在り方が決まったと言っていい。

今振り返れば、全てを手作りで、全てに手を抜かない仕事は、20代前半だった青木さんにとっては、乾いたスポンジのように吸収し、料理作りとはそういうものなんだなと、考える以前に自然と自身の下地として根付いていったのだろう。

aonを立ち上げた時に、お店の運営で考えたのが、今から20年近く前に働いたあのお店の姿勢だった。

 

「美味しいものを安く、そして全てを手作りで」。

 

手間と時間はかかるが、気軽に美味しいものを食べてもらいたいと思い、aonのコンセプトに据えた。場所は、街の雰囲気が気に入っていて、ここしかないと昭和の街を選んだのでした。

aonさんがある川越 昭和の街、連雀町というのは、広く知られていることですが、川越まつりに熱狂的な祭り狂が数多くいる町内で、ここまでディープな祭り人たちがいる町内というのは川越でなかなか見られない。

ユネスコ無形文化遺産登録後初の2017年の川越まつりでは、降りしきる雨の中で山車の曳行を敢行したという蛮勇というか英勇を魅せたことは憶えているでしょう。

連雀町の会所は熊野神社にあり、そして会所前に太田道灌の山車が停留されている。

つまり・・・aonさんの目の前がまさに連雀町の川越まつりの心臓部にあたるのです。さらりと表面だけでなく、川越を深堀りするとどれだけディープな地にお店があるのかが分かる。

川越まつりではaonさんも他のお店と同様特別営業にして、青木シェフが腕を振るい続けていました。

(「川越まつり」2017年10月14日、15日の午前~午後の部 雨の中を山車がゆく

https://ameblo.jp/korokoro0105/entry-12319980756.html

さらに、昭和の街と言えば、近年のまちづくり活動による注目度の向上と盛り上がりです。

aonさんの面白さは(面白さと言っていいのか分からないが、でもそう表現したくなる)、やはり、昭和の街にあるということからの展開。きっと、他の場所でお店を構えていたら、もっと別なお店になっていたことでしょう。偶然のような必然で昭和の街に辿り着いたことにより、昭和の街の会に引き込まれて一緒にまちづくり活動を行うようになっている。

毎年9月には昭和の街にある蓮馨寺にて昭和の街を挙げたイベント、「昭和の街の感謝祭」が開催されていますが、aonさんも今後一緒になって盛り上げていくことでしょう。

(第四回「昭和の街の感謝祭」蓮馨寺及び周辺商店街2017年9月9日

https://ameblo.jp/korokoro0105/entry-12309616647.html

 

また、2017年11月25日には、蓮馨寺で開催された「ビートルズのチカラ!」のプレイベントでは、他の昭和の街のお店と共にaonさんも境内に特別出店して、東北の食材を使った食事を中心に提供していました。

「東北海鮮ブイヤベース‼」
「ビートルズに恋した青リンゴのタルト」
「ほっとワイン」

(2017年11月25日蓮馨寺「ビートルズのチカラ!」プレイベント)

青木シェフが境内ブースにて奮闘。!

イベントというのは、対お客さんだけでなく共にイベントを作り上げる出店者同士の繋がりが深くなるもので、同じく境内に出店していた川越の「利根川農園」さんと早速繋がり、今後お店の素材に使われていくかもしれません。畑に伺いたいという話しで盛り上がり、今後の連携に目が離せません。

もともとaonでは時季の川越産農産物を使用していて、地元産を使うことの意識は高く持っている。さらに川越の農家とのネットワークが広がれば、旬のものをダイレクトに料理に活かすことが可能になる。

昭和の街というこの場所にあるからこそのコラボレーション、蓮馨寺山門横の乾物店「武州川越 轟屋」さんの乾物を使った料理の提供もあり、早速街との連携も見せています。

 

また、2018年夏の蓮馨寺「川越Farmer's Market」では、次回も昭和の街とのコラボレーションが実現していくと思うので、空前の大反響を巻き起こしたあのコッペパン企画の参加店にaonさんも名を連ねるでしょう。青木シェフが一体どんなコッペパンの具を考案するか期待が膨らむ。

コッペパン企画というのは、川越Farmer's Marketにおいて、境内に出店するブーランジェリュネットさんが埼玉県産ハナマンテン100%でコッペパンを作り、川越昭和の街のお店で中の具を買い出しに行こう!という内容。

昭和の街参加店
・まことや
・福々スタンド
・大黒屋食堂
・彩乃菓
・トシノコーヒー
・紅茶浪漫館シマ乃
・肉の十一屋
・麺屋MANI
・La Foire
・レレレノレコード
・こひや
・伊勢屋

(後編「川越Farmer’s Market」2017年7月2日メイン会場蓮馨寺 市内各地で開催
https://ameblo.jp/korokoro0105/entry-12291300979.html

 

そして、Kawagoe aonさんの近々のビッグイベントと言えば、川越の街が一つになるあのイベントに出店することが決まっています。

2018年1月21日(日)のウェスタ川越ファーマーズマーケットです。ファーマーズ出店のニュースは、既に大きな反響を巻き起こしている。

青木シェフの丁寧な料理に、そして農産物への眼差しに、ファーマーズマーケットから出店打診が届きました。青木シェフもノリノリで、ウェスタ川越にスペシャルを投入しようと意気込んでいます。

(2018年1月21日(日)ウェスタ川越ファーマーズマーケット全体内容発表

https://ameblo.jp/korokoro0105/entry-12331729835.html

 

外部のイベントに出店する非日常もありながら、最も大事にするのがなんと言っても普段の日常、今日も青木シェフは厨房内で、一挙手一投足に神経を研ぎ澄ませて一皿を仕上げていくのだった。

 

川越に新しく出来た正統派フレンチのKawagoe aon。

古い昭和の街に溶け込みながら、温故知新、新しい食を発信していく。

 

そしてまた、青木シェフは、次の一皿に取り組むのだった。

 

「Kawagoe aon(カワゴエ アオン)」
川越市連雀町8-1 
西武新宿線 本川越駅 徒歩5分 
東武東上線 川越駅 徒歩12分
営業時間    
【月・火・木~日・祝・祝前】
ランチ 11:30~15:00 (L.O.14:00)
【月・火・木~日・祝・祝前】
ディナー 17:00~22:00 (L.O.20:00)
定休日    水曜日、第3火曜日定休。
049-237-7400