川越style「麺屋MANI」熊本・博多ラーメン、そして川越醤油ラーメン 立門前通り | 「小江戸川越STYLE」

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川越は暮らしてこそ楽しい街。
川越の様々なまちづくり活動に従事しています。
「小江戸川越STYLE」代表:石川真

一杯に籠った丁寧な仕事、

一杯に籠める想い、

丼という小宇宙には、その人の全てが詰まっているのだった。

 

2016年10月にオープンした博多・熊本ラーメン店、「麺屋MANI(マニ)」さん。

お店があるのが、川越の連雀町にある蓮馨寺のすぐ近く。蓮馨寺山門から横断歩道を渡って真っすぐ伸びる立門前通り沿い。「川越 昭和の街」と呼ばれるエリアにあります。ここ昭和の街は、個人店しかないという川越の中でも稀有なエリアで、新しい風、MANIさんが仲間入りを果たした。

ちょうど向かいにには和菓子店「彩乃菓」さんがあります。

向かって左には旧鶴川座、右隣には「レレレノレコード」さん、斜向かいには「1g」さんなど新しいお店があり、個性的な個人店が集まっている面白いエリア。

 

 

 

 

 

「麺屋MANI(マニ)」
川越市連雀町8-3
平日 11:00〜14:30、17:00〜21:30
土・日・祝 11:00〜21:30
定休日 水曜日
※祝日の場合は営業致します。
https://www.instagram.com/menya_mani/
店内はカウンター席のみ。

麺屋MANIさんと言えば、熊本ラーメンと博多ラーメンという二本柱を両立させているお店として知られる。
「黒」と表示されているのが熊本ラーメン、「白」が博多ラーメンです。

黒の熊本ラーメンは、「特製角煮」、「チャーシュー」、「ダブル」、「キャベツ」、「ネギ」、「ラーメン」。

白の博多ラーメンは、「チャーシュー」、「ネギ」、「ラーメン」。

それにトッピングとして、角煮、チャーシュー、キャベツ、ネギ、キクラゲ、味玉を頼むことができる。ランチにはミニ角煮丼やミニチャーシュー、丼もあります。

お店の看板ラーメンは何と言っても、黒(熊本)の「特製角煮」。

 

白(博多)の「チャーシュー」。

白の博多ラーメンには、炒りごまと紅ショウガが入っている。シンプルに豚骨が味わえるでしょう。

豚骨ラーメンというと、コテコテの油に独特な臭みをイメージする人もいるかもしれませんが、MANIさんのラーメンは心配無用、どちらの一杯もあっさり優しくまろやかな味で、普段豚骨ラーメンが苦手だけどここのは美味しく食べられるという声も続出し、MANIのラーメンで豚骨ラーメンに開眼するような人も。女性に好評という声も頷けます。
さらに本場九州だと味を甘めにする文化がありますが、川越で提供するのは微調整して川越の食文化に合わせている。
二本柱のラーメンは、お店では熊本ラーメンを一押ししていて、人気の一杯もやはり、上記黒(熊本)の特製角煮ラーメン。
熊本ラーメンを提供しているお店は川越ではここだけ。焦がしニンニク油の「マー油」が乗っている熊本ラーメンはなんとも香ばしい香りで、生キャベツがどさりと乗っているのも特徴です。
黒(熊本)の「キャベツ」。

熊本・博多とも、共通のスープの素材として命としてあるのが、豚骨。
「豚骨」という素材を扱うからこそでしょう、どういう仕事をしているのかがダイレクトに目の前に表れて、ごまかしが効かず、目の前の一杯に行った仕事が全部出てしまう。美味しさと裏腹な怖さ。
雑に扱えばそのまま雑味に、手間を惜しまず扱えば得も言われぬ滋味に。
それは、丁寧な仕事を信条とする職人にとってはむしろ大きなプラスになるものである。
やった仕事を直に感じてもらえる、そのスープをレンゲで一口すすれば、あ、この職人は本当に丁寧な仕事をしている、と伝わるのが豚骨ラーメンの特徴かもしれない。
MANIのスープ。
豚骨のスープに臭みがないというのは、自然にそうなるというわけではなく、もちろんしっかりとした仕事がされているからそうなっているという事実がある。臭みを消すのは一にも二にも、豚ガラを扱う丁寧な下処理(アク抜き、血抜きなど)があるかどうかです。そして特殊な釜を使い高温で長時間ぐつぐつ煮込んでいく過程も、火加減をしっかり見、焦がさないよう見張りながらなので気の抜けない時間が続く。

高温にすることで、豚骨から溶け出すコラーゲンゼラチンへと変化。

このゼラチンが豚骨から溶け出した脂肪を包み、水に馴染ませる乳化現象を起こす。こうして、まろやかな白濁スープが仕上がります。

(豚骨には鶏ガラよりも多くのコラーゲンが含まれている)

MANIの豚骨スープは下処理から始まって完成まで10時間という膨大な時間と手間を注いでいます。こうして時間と手間をかけている豚骨スープには、豚骨本来の旨味が残り、それがあの、旨いスープになっているのだ。

お店の営業は、営業中が華やかな表舞台ではありますが、店先に暖簾を下げるまでの舞台裏、そこでどれだけの仕事をしているかで全てが決まる。
角煮作りも、豚肉を焼き、脂身を落とし、煮て、また脂身を落とし、特製自家製ダレで味付け、また余計な脂身を落とし、と1日がかりで作っているという仕事がある舞台裏。その工程を経て、あの輝くような角煮が出来上がっています。この角煮を食べれば、お店としての真摯な仕事がはっきりと伝わるでしょう。

チャーシュー作りも同様に一日かけての作業があります。


それに麺は、スープに合うことを意識して特注で作ってもらっているもので、九州特有の中細ストレート麺。低加水麺で、やや硬め。ポキポキとした食感が特徴。麺の硬さの好みがあれば、バリカタ・かため・柔らかめを注文できる。
ちなみにMANIさんでは替え玉も注文OKで、替え玉は150円、半替え玉は100円。替え玉の麺は通常よりも細麺で、より本場の細い麺に近い。初めから細麺をオーダーすることもできます。

注文を受けたら、これまで長時間仕込んできたものを一気に一杯の中に合作させていく。茹で上がった麺に、具材を載せたらMANIのラーメンの出来上がり。華麗なるラーメン作りの姿がありました。

 

 

 

 

 

麺屋MANIの問仁田さんは、埼玉県東松山市出身。熊本ラーメン専門店で働き、熊本ラーメンに魅せられて10年ほど修行したのち独立、川越の立門前通りに麺屋MANIを開きました。修行元のラーメンがベースにあり、自身オリジナルの一杯を作ろうと試行錯誤して、今の形に辿り着いた。
 

MANIには熊本・博多ラーメンがどっしりとありながら、他にも希少な限定ラーメンが個性を光らせている。1日限定5食の坦々麺です。

通常バージョンと激辛バージョンもあります。

 

 

そして、忘れてはならない、MANIさんのもう一つの限定ラーメンと言えば、川越をテーマにした一杯、「川越醤油らーめん」です。

川越の新名物として広がってきた川越醤油らーめんは、発端は、川越の「松本醤油商店」さんや「武州川越轟屋」さんがタッグを組んで企画し、推し進めているプロジェクトです。すでに巷では話題になっていますが、改めて、「川越醤油らーめん」を。
趣旨目的:国内外で注目される「らーめん」を新たな川越名物とし、地域、商店の活性化やインバウンドを視野に入れた観光客のさらなる誘致に繋げる。
定義:以下の条件をすべて満たすこと
・川越近隣の醤油蔵の醤油を使用すること
(川越 松本醤油商店 川島 笛木醤油 坂戸 弓削田醤油)
・川越近隣で仕入れた食材を使用すること
川越醤油らーめんは、この定義に沿った「ラーメン」、「つけ麺」、「油そば」をメニューとします。
ラーメン店で「川越醤油らーめん」という表記で提供しているラーメンは、これらの条件を満たした一杯ということになります。

川越市内で提供するラーメン店は続々と増えていますが、MANIさんももちろん参戦。一日5杯という限定ですが、これを目当てに来る人も多くいる。特に観光客にとっては、川越らしいものを食べたいのが人情で、川越醤油らーめんの人気は不動。

MANIさんで使用している醤油は、お店からすぐ近くにある醤油蔵、松本醤油商店さんの醤油を使用しています。

川越 松本醤油

https://www.hatsukari.co.jp/
『江戸時代から受け継がれる蔵
川越で約250年続く蔵元である松本醤油商店。
天保元年に建造された蔵には、江戸時代から使い続けている杉桶が40本並び、今なお昔ながらの手法によって製造を続けています。歴史ある蔵の中には、麹菌や酵母菌、乳酸菌といった様々な菌が生息していて、これらの菌の働きで松本醤油商店の醤油は生まれます。』

 

 

 

( 松本醤油商店の天保蔵内杉桶)

 

 

川越に密着し、できるだけ地元産を使おうと意識しているMANIさんは、川越醤油らーめん以外にも、あの熊本ラーメンのキャベツも、川越産キャベツが採れる時期だと積極的に使っていることにも注目です。

川越に来たら川越らしいものを。

ちょうどMANIさんの目の前にある蓮馨寺が今の川越の着物文化の聖地のようになっているので、浴衣・着物姿の人がなんとラーメンを!MANIさんで川越醤油らーめんのみならず、豚骨ラーメンを食べるというのも定着してきている。

浴衣・着物でラーメンというのは、MANIさんらしい現象でしょう。

 

(「川越ゆかたファッションショー」川越きものの日6周年イベント 2017年8月18日

https://ameblo.jp/korokoro0105/entry-12303694972.html

 

お店としていろんな展開を考えているのもMANIさんらしいところ、土日になると、店先で熊本・博多ラーメンのテイクアウトを行い、COEDOビールとともにラーメンを食べるスタイルも提唱している。簡易テーブルもあるので、立門前通りの昭和の雰囲気で食べるラーメンというのも昭和の街の粋な食べ方かも。

 

 

イメージされる世のラーメン店という枠に捉われず、積極的にいろんな展開を仕掛けているMANIさん。

そうそう、店内には、東洋大学総合情報学部の学生たちが「地域プロジェクト演習」で制作したインスタグラム用の川越昭和の街専用写真投稿フレームも用意されているので、これを使うと一味違う写真を撮ることができる。

 

ラーメン店でラーメンの写真を撮る人は多いでしょうが、これを使えば他の写真と差がつけられること間違いなしです。

というか、こういうフレームを置いているということが面白い。

このフレームは他の昭和の街でも置いているお店があります。

自店の展開だけでなく、昭和の街一体となった街ぐるみで楽しいことをやっているのもMANIさん。

ラーメン店の記事だと、どういう素材を使い、どういう手間を、というそのラーメン一杯をどこまでも掘り下げていく方向もあるのですが(川越styleとしては、そのお店があることで川越の街がどう変わっていくのか、街の中で広がりを感じさせるお店に注目したい)、麺屋MANIさんというラーメン店の場合、他のラーメン店と違う面が多々あり、そして、それがこのお店の面白さなのです。大前提としてラーメンが美味しいのは当然のこと、さらに、ラーメン店がまちづくり活動まで参加しているのは他になく、ラーメン店の記事でこんな話しができるなんてというワクワクがある。

それは、MANIさんが、「川越 昭和の街」にあるお店だからというのが大きく関係しているのは間違いない。

 

 

MANIさんがあるのが、川越で今何かと注目を集めるエリア「川越 昭和の街」。

肩肘張らず、緩さも漂わせながら、楽しいことをしよう!というノリのお店が多い昭和の街。川越を見渡しても、これだけ次から次と楽しい企画を発信している地域というのは見当たりません。

このエリアにあるお店だからでしょう、他のラーメン店ではまず見られないような展開を見せ、そんなラーメン店があるなんて!?という驚きを発していて、ラーメン店の固定概念すら打ち破りそうな勢い。

それだけ、川越昭和の街のお店一丸となって地域を盛り上げようとしていて、その熱は昭和の街に新しくお店を構えたMANIさんにももちろん伝染し、あっという間にMANIさんも地域を盛り上げようと加わっていっていたのだ。昭和の街に出来る新しいお店は同様のケースが続き、一緒に地域を盛り上げようというお店の輪が日に日に大きくなっているのを感じる。ちなみにMANIさんと同時期に昭和の街にオープンした「La Foire」さんも、もう既に昭和の街を盛り上げようと率先して動いている急先鋒となっています。


(「La Foire(ラフォアー)」川越昭和の街に出現したシトロエンのホットサンド専門店

https://ameblo.jp/korokoro0105/entry-12292480828.html

 

今の昭和の街の熱気は、こういう現場のお店の人たちの熱が作り上げたものです。もともと問仁田さんは職人でありながら楽しいことをやるのも好きだったんでしょう、それが偶然にも昭和の街にお店を構えたことで地域に巻き込まれながら楽しさが相乗的になっていった。

昭和の街では、毎月18日を「ごえんの日」としているのはご存知の通りで、昭和の街の参加店で食事や買物をするとご福銭が貰えるというサービスを行っていますが、これにMANIさんも参加している。

つまり、毎月18日にMANIでラーメンを食べると、五円玉の福銭が貰えてしまうんです。こんなラーメン店、川越に他にない。

18日になると目印の五円玉のオブジェが店先に下がります。先着順なのでお早めに。

 

 


(「ごえんの日」毎月18日は川越昭和の街 ごえんの日 福銭サービス

http://ameblo.jp/korokoro0105/entry-12239801771.html

 

それに昭和の街では毎年4月29日の「昭和の日」に合わせてイベントを開催していますが、それぞれのお店が昭和時代をイメージした扮装をして接客するのも面白いところ。

今年の4月29日は、MANIさんにとってはオープンから初めての「昭和の日」というタイミングでしたが、昭和の街の会にやろうやろう!と引き入れられ、昭和スタイルイベントに参加していたのが印象的でした。

 

(第一回「昭和スタイルでおもてなし 川越昭和の街」2017年4月29日『昭和の日』

https://ameblo.jp/korokoro0105/entry-12270591425.html

それに、思い出しただけでもニンマリとした思い出が甦る、2017年7月2日蓮馨寺で開催した「川越Farmer'sMarket」とのコラボ企画です。話題沸騰だったのが、「川越昭和の街」×「川越Farmer'sMarket」スペシャルコラボイベント、『リュネットさんのコッペパンに昭和の街のお店の具を挟んで、オリジナルコッペパンを作ろう!』でした。

境内に出店する川越の人気パン店「ブーランジェリュネット」さんブースでコッペパンを購入し、昭和の街参加店でパンに挟む具を買い出しに行こう!というもの。これにMANIさんも参加してくれていたのです。

 


境内に出店するブーランジェリュネットさんが埼玉県産ハナマンテン100%でコッペパンを作り、川越昭和の街のお店で中の具を買い出しに行こう!という内容。

昭和の街参加店
・まことや
・福々スタンド
・大黒屋食堂
・彩乃菓
・トシノコーヒー
・紅茶浪漫館シマ乃
・肉の十一屋
・麺屋MANI
・La Foire
・レレレノレコード
・こひや
・伊勢屋

企画の内容に、本気で具の内容を突き詰めていく昭和の街各店、相乗的な盛り上がりとなっていたコッペパン企画。
コッペパンの具というと甘い系が美味しく、イメージしますが、いや、既存のコッペパンのイメージを凌駕したものを目指した今回の企画。
楽しいことの裏にはしっかりと詰めた「大事なこと」があります。
このコッペパン企画はなにより、昭和の街のお店を感じられるものでないと意味がないと考え、お店本位で具があり、それを多少強引でもコッペパンに挟んでしまおうと押し進めました。

パンに合わせて小さくまとめるより、うちのお店はこうなんだ!と主張してもらい、見栄えが整っていなくてもいいじゃないか、溢れたっていいじゃないかうちのお店はこうだものと挟んでもらい、ひいては昭和の街のお店を感じてもらう。

MANIさんが提供した具は・・・角煮・キャベツ、チャーシュー・キャベツでした。

MANIさん・・・どちらも溢れ過ぎていますが・・・!?という溢れる熱意を表現してくれました。

 

(後編「川越Farmer’s Market」2017年7月2日メイン会場蓮馨寺 市内各地で開催

https://ameblo.jp/korokoro0105/entry-12291300979.html

MANIさんや昭和の街の人たちの熱意が伝わってくるコッペパン企画。合作は、お互いが遠慮し合っても面白くない、このコッペパンは、
ブーランジェリュネットさんの埼玉県産小麦粉ハナマンテン100%で作ったコッペパンの想いと、
うちのお店をそのまま入れる!という昭和の街の想いと、熱過ぎる両者がぶつかりあった、熱過ぎるコッペパンだったのです。

 

そうそう、そう言えば、仲がいい昭和の街のお店ならではの企画で、「トシノコーヒー」の看板娘、あやちゃんが昭和の街を紹介する散策ツアーを提案した時も、MANIさんに立ち寄り、人気の「特製角煮」を勧めていましたね。

 

「川越昭和の街を着物姿で散策ツアー提案♪」『トシノコーヒー』スタッフあやの昭和の街着物巡り

https://ameblo.jp/korokoro0105/entry-12287056118.html

そんな川越昭和の街が主催するイベントが、お馴染み「昭和の街の感謝祭」。2017年9月9日蓮馨寺及び周辺商店街にて。今年で4回目の開催です。感謝祭に来て、MANIさんのことを知るという人も多くなりそう。

 

 

 

(第三回「昭和の街の感謝祭」蓮馨寺と周辺商店街 2016年9月10日

http://ameblo.jp/korokoro0105/entry-12199339321.html

 

こうした広がりを楽しみながら、MANIの問仁田さんは、職人としてラーメンという一点をどこまでも深堀りしていくことに余念がない。

今日もじっくりと時間をかけた仕込みを大事にし、そんな苦労を微塵も感じさせないような華麗さで、表舞台で颯爽と一杯を作り上げるのだった。

 

 

 

白(博多)の「ネギ」。

 

川越昭和の街に新しく出来たラーメン店、「麺屋MANI」。

どこまでも丁寧に。

どこまでもどこまでも丁寧に。

愛情が注がれたその一杯に、身も心も一杯になるのだった。

 

「麺屋MANI(マニ)」
川越市連雀町8-3
平日 11:00〜14:30、17:00〜21:30
土・日・祝 11:00〜21:30
定休日 水曜日
※祝日の場合は営業致します。
https://www.instagram.com/menya_mani/