川越style「野々山養蜂園」川越の絶品蜂蜜の現場へ | 「小江戸川越STYLE」

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「小江戸川越STYLE」代表:石川真

それは、今から半年ほど前に遡ります。

 

まだ外は冬の寒さが残り、厚着していないと過ごせないような2015年3月始めのこと。
梅が咲いている頃で、彼は「今くらいの時期から女王蜂は卵を生み始めるんですよ」と言った。
群れの中から女王蜂を作り出すのはたくさんの働き蜂たち、
働き蜂はこの卵を女王蜂にしようと考えると、
卵の段階からローヤルゼリーを与え続け、

 

幼虫になってからもローヤルゼリー「だけ」を与えて自分たちの女王蜂を作ります。
そしてその女王蜂が生んだ卵から、また新たな働き蜂が育っていく。

 

寒さに手を合わせながら工場に足を踏み入れると、黙々と作業を進めている姿がありました。

 

室内には作ったばかりの木箱が次々と積み上げられていく。

今年の蜂蜜に向けた準備は、この時もうすでに始まっていました。





 

 

ここは、野々山養蜂園の工場、椅子に座って作業しているのが

今年一気に広がった川越の絶品蜂蜜を採る養蜂家野々山さん。
ストーブで熱々に温められたコーヒーを頂きながら、その作業を傍らでじっと見つめる。
 

今年は川越の農がフィーチャーされた年として記憶に残るのではないかと思います。

第一回川越Farmer’s Marketが開催されたこと、

川越唯一イチゴ狩りできる「川越いちご園すじの」さんにお客さんが殺到し、

「川越いちご園すじの http://ameblo.jp/korokoro0105/entry-11992214560.html

大東地区の幻の巨峰、川目巨峰園の巨峰がソコノワさんで販売されたこと、

ここまで振り返っただけでも本当に川越の農の動きが活発だった。

そして野々山さんの蜂蜜も今年大ブレイクした川越の農産物。

川越に養蜂家がいることを初めて知る方も多いと思いますが、

その瓶詰めされた蜂蜜は現在多くの場所で取り扱われていて、引っ張りだこの存在。

これまで蜂蜜というと、国産、と書いてあればまだ信用できるというところへ、

川越に養蜂家がいて川越でこだわり抜いて蜂蜜を採っている方がいたなんて、と

街の反応は大きかった。


川越はまだまだ奥が深い、そう思わせてくれる人物と巡り合えました。
工場では、杉の木を使用した蜜蜂たちが入る巣箱を作っているところでした。


 

 




この中で蜜蜂たちは巣を作り、卵を生み、働き蜂を育てる。
巣箱の中には9枚の巣枠が入れられていて、
1枚の巣枠の中の編み目となった巣礎と呼ばれる一つ一つの穴に、

一匹の女王蜂は、

なんと一日に2000個の卵を生み続けるのだという。。。
9枚入っているので、一つの巣箱に女王蜂は18000個ほどの卵を生むことになります。
巣箱が一杯になれば新たに2段、3段と箱を上に継ぎ足して積み上げていく。
積んでいってもその一群では女王蜂はたった一匹。


卵は孵化すると幼虫になって蛹になり、働き蜂になる。働き蜂は全てメス、もちろん女王蜂もメスです。
一枚の巣枠にびっちり蜜が溜まると2キロの重さになるといい、9枚で18キロ。

蜜蜂たちが活発に飛び回る時期だと、

3万匹の蜜蜂たちが1~2週間でそれだけの蜜を集めてしまうといいます。

見ると、蜂蜜が溜まった場所は膨らんでいて、ずっしりとした重みがありました。

これが蜜蜂たちが集めた蜂蜜の重さ。。。

蜜蜂は蜜を運ぶだけでなく、巣箱の中が熱くなれば羽をバタバタさせて風を送って冷やそうとし、

それでも温度が下がらないなら水を含んで巣の中に吐きかける。

暑い時期だと寿命1ヶ月ほどの働き蜂は、そうしてずっと働き続けています。

蜜蜂の行動範囲は、巣箱を置いた場所から半径3キロ。
時期と場所によってある時は入間川沿いに飛んでいったり、

新河岸川沿いに飛んでいったり、林の中など、
蜜蜂たちは花を求めて川越中を飛んでいき、
これ以上入らないくらいパンパンに蜜を含んでまた巣に帰ってくる。

植物も受粉をするために蜜蜂たちの力を借りようと蜜を出して、
中でもアカシア、リョウブ、トチ、リンゴなど木の花に特に蜜が多いと言います。
一匹の蜜蜂が「あそこに花が咲いていたぞ」と発見すると、
巣に戻ってきて周りの蜜蜂に尻振りダンスで花の場所を教えると、

集団でその花の場所にみんなで飛んでいきます。
集中的に花が咲いている群生地があり、集中的に蜜蜂たちが飛んいくことで、あかしあ、蜜柑など1種類の蜂蜜が採れるようになる。
これが、桜が咲いてます、菜の花が咲いてます、とあちこちに花が咲いている状況だと

蜜蜂たちが採ってくる蜜は混ざり、春の花、といったブレンド蜂蜜となります。


巣箱の中の一つ一つの穴で蜜蜂は生まれ、蜂蜜が溜まっていくわけですが、
ただ、卵を生んだ場所はどうしても蛹の皮などで色が黒くなってしまう。
一つの穴が産卵など生活の場と蜂蜜が溜まっていく場が同じということは、

これを合わせて絞ってしまうと不純物が多くなり、蜂蜜の色も味も変わってしまうということ。
養蜂家の中にはそういうものを一緒に絞ってしまう人もいるそうですが、野々山さんはそうはしない、

手間をかけ、巣箱を産卵用と蜂蜜だけを採る用に分ける。

以下、産卵して生活の場となっているものと純粋に蜂蜜だけを採っているものの比較です。

 

 

 


現実には世の養蜂家のほとんどは、不純物を合わせて一緒に蜂蜜を絞っているといいますが、

 

分けるという手間があることで、不純物を一切入れない純粋な「蜂蜜だけ」を採ることができます。
なんで一緒に絞るのかといったら、とにもかくにも蜂蜜の量を採りたいから。
不純物が入っていても蜂蜜は蜂蜜、絞れば蜂蜜ということになるので、それだけ量を確保できる。
わざわざ産卵用と採蜜用の箱を分けたら
産卵用の箱の分だけ蜂蜜の収量が減ってしまうため、大部分の養蜂家は分けることをしないという。
蜂蜜だけ、が溜まった巣は見とれるくらい美しい。

これを絞って瓶詰めされているのが野々山養蜂園の天然、純粋蜂蜜です。

 

この日からまた2週間ほど経ち、3月下旬、野々山さんの畑の一つでは、

 

川越家畜保健衛生所の職員が検査に訪れていました。

家畜保健衛生所は、地域における家畜衛生の向上を図るため、県内3か所に設置されていて

川越の石田にある家畜保険衛生所は入間郡、比企郡などを含めた管轄となっています。

管内の家畜伝染病予防、家畜衛生向上、獣医師法に関する業務を行っています。

蜜蜂も家畜と数えられていて、年に一度蜜蜂の検査を受けることになっている。

野々山さんは同業の養蜂家や趣味でやっている方、イチゴ農家などの農家にも蜜蜂を出荷していて、

他県に出荷することも多い。

県をまたいで移動させる場合にも病気の検査が必要となり、職員が訪れています。

あれだけの数の巣箱もそうですが、蜜蜂を人に販売するほどの規模でやっている養蜂家は

実は関東でも少ないです。

 

 








 

そして2015年、今年の野々山さんの蜂蜜作りが本格的に始まっていった。。。

 

 

 


 

春先の蜂蜜には桜、菜の花、菜の花などの春の花々から集められた「春の花」、

 

 

5月に入ってアカシアが咲いてくれば大人気の「あかしあ」の蜂蜜を絞る。
「今年は特にアカシアの蜂蜜がよかった」と振り返っていました。

 



6月には柿や栗の花からも蜜が採れる。
そして「蜜柑」、「初夏」、この8月に絞ったばかりの「夏の花」、

これから秋になれば蕎麦の花などが咲き、「秋の花々」「百花」へと続いていきます。


野々山さんは小さい頃から蜂蜜が大好きだったといいます。
親戚が川越で養蜂をやっていて、当時から本物の蜂蜜に触れられる環境だった。
昔から各地のこだわりの蜂蜜を買い求めていた。
自分で飼育して蜂蜜を採ってみようと始めた初期の

悔しさが今も心に刻まれると話す。
「巣箱を買って蜂も8000匹ほどいたんですが、冬を越せなくて全滅させてしまったんです」
と沈痛な面持ちで振り返る。
その後深谷市の花園養蜂場の松本さんに弟子入りし、一年間通っていた。
一年後、巣箱2つ、二万匹の蜜蜂を松本さんから受け取り、

本格的な養蜂家として再スタートを切る、3年ほど前のことでした。

「最初は自分たちで消費する分しか採れなかった。

そこからだんだん群を増やしていって、二年目になると量を採れるようになっていった」

(2014年には埼玉県養蜂協会の品評会で会長賞を受賞)

 

川越の養蜂家は趣味、副業でやっている方は多くいますが、専業となると野々山さんくらい。

 

野々山さんの蜂蜜はあぐれっしゅ川越に置かれ、

他にはふれあいファームセンター狭山、

あぐれっしゅげんき村、
食の駅パサール三芳店、

食の駅所沢店、

川島町にある焼き菓子のお店「ボナペティ」といった場所で取り扱われています。
その他にも川越のお店・・・




(新河岸にあるパンの名店「ブーランジェリュネット」さん)

 

 

 

 

 

 

 

 

(西武新宿線南大塚駅南口にある「パティスリールアンジュ」さん)

素材にこだわって丁寧に仕事をしているこうしたお店に選ばれているということが、

なによりの信用になっている。

商品に使うだけでなく、店内に陳列スペースまで作っていることに、

お店の方の「知ってもらいたい」という

この蜂蜜に対する想いが伝わってくるのではないかと思います。

ルアンジュさんは、

「季節によって蜂蜜の味がこんなにも違うなんて・・・

季節ごとの蜂蜜に合わせてケーキを考えるのが楽しいです」と話していました。

 

2015年8月22日に開催した、「ソコノワ」×「川越Farmer'sMarket」でも記しましたが、

 

蜂蜜は、色んな色があることを知らない方もおそらくいると思います。

スーパーで見かける蜂蜜は一年中常に同色、それが蜂蜜の色と思わせますが、

本当は蜂蜜は季節によって色が変わる。

だって、季節によって咲く花は違い、花が変われば蜜も変わる、

蜜蜂たちが集める蜂蜜は季節によって変化していくんです。

今年の春から採ってきた蜂蜜を並べてみるだけでも、いろんな色のグラデーションとなっていて、

それは蜂蜜を通した季節を表した色。

蜜蜂たちの仕事を通した、季節の色。


初夏という蜂蜜を口に含むと、

さっぱりと爽やかな味で、花感が鼻を抜けていく。

本当にこだわった蜂蜜を知らないと、この蜂蜜にびっくりすると思います。

 

そもそも野々山さんと繋がったのは、まだ今年のことなんです。

 

2015年1月、川越農産物が大集合して開催した室内イベント川越収穫祭2015冬で、

野々山さんの蜂蜜を使わせてもらい、リュネットさんのパンに合わせて味わってもらいました。

野々山さんも会場に駆けつけてくれ、川越で採れる蜂蜜の話しを披露。

あの時の来場者の反応が忘れられない。

自分もそうでしたが、川越の人にとって、

「川越に養蜂家がいたんですね!」というのがまず率直な感想で、

「凄い美味しい!自然の甘みですね」

「バケットにこの蜂蜜合わせると最高」

などの声が上がり、川越の養蜂家と川越の人がリアルで繋がった初の機会となったと思います。

 

 

 

 

(川越収穫祭2015冬より http://ameblo.jp/korokoro0105/entry-11981759677.html

収穫祭の場で、「今度野外で大きなFarmer'sMarketをやりたいね」と語っていたことが

川越Farmer'sMarketの始まりでした。

そして川越Farmer'sMarket開催に向けて準備していく中で、

野々山さんの姿を追いかけることが多くなっていく。

ある時は、

川越の福原地区の期待の若手農家戸田さんのさつま芋畑で、

農業について二人語り合う場面に遭遇。

 

 

 

ある時は、

 

川越Farmer'sMarketの打ち合わせで集まった川越南文化会館にて、

同じ志を持つ出店者と交流を深めました。

 

そして迎えた7月12日の川越Farmer'sMarketでは、

 

いろんな種類の蜂蜜を出品するだけでなく、この日だけのスペシャル体験として

実際の遠心分離機を持ち込んで

「蜂蜜絞り」まで用意して子どもたちにぐるぐる回してもらいました。

これには子どもたちが殺到し、こうやって蜂蜜は作られているんだね!、と目を輝かせていました。

さらに野々山さんはトークセッションにも登場し、川越Farmer'sMarketで大活躍の出店でした。

川越Farmer'sMarketでは蜜柑の蜂蜜が大好評で、

試食した方が「美味しい!」目を丸くしていました。

 

 

 

 

 

 


(川越Farmer'sMarket http://ameblo.jp/korokoro0105/entry-12050657019.html

 

その後、野々山さんの繋がりから

 

大東地区の川目さんの巨峰を販売をソコノワで行ったことはすでに伝えました。

 

 

 

 

 

 

(「ソコノワ」×「川越Farmer'sMarket」 http://ameblo.jp/korokoro0105/entry-12064836635.html

 

この8月に絞ったばかりの蜂蜜、「夏の花」は面白いというか、

 

ある意味今年限りの貴重な蜂蜜になっています。
川越の林で採れるリョウブの蜜やエンジュの蜜などが混ざり、その味はまるで黒糖のような濃厚な味。

 


お菓子にはぴったりの味になったので、また素敵な商品となって

 

お店でも提供されるのではないかと思います。

 

花々が咲くそばには、蜜蜂たちの働きも活発にあって、

 

季節によって咲く花が変わっていけば、季節により蜂蜜も変わっていく。

その自然な形に寄り添おうとする養蜂家が川越にいること。

今年の川越も、たくさんの花が咲いています。

そして今年の川越も、たくさんの蜂蜜が採れました。

養蜂の世界では、女王蜂が働くのは基本的に一代限り。

一日に2000個の卵を生むというのはそれだけの産卵能力、

膨大なエネルギーがないとできないことなので、
また来年は新しい女王蜂が生まれ、

また毎日2000個の卵を生み、孵化した働き蜂は川越中を飛び回って花を探す。

皆さんの庭にも蜜蜂が飛んでくることはありませんか?
花の香りに誘われて、蜜を探しに来たのかも。

「あそこにいい蜜源があるぞ」

発見した蜜蜂は、巣に帰って尻振りダンスで周りに伝えているかもしれません。

 

「野々山養蜂園」

 

http://ameblo.jp/honey663/


 

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