今年も川越の冬の風物詩、つるし雛展が開催されています。
可愛らしく鮮やかで、迫力あるつるし雛が市内4会場を舞台に展示され、
早速巡り歩いてそれぞれ見比べる方の姿が見られます。
昨年と同じ4会場は、充分歩いて回れる距離。
【日時】2015年1月17日(土)~2月22日(日)
【時間】AM11:00 ~ PM4:30入場無料
【会場】
■第1会場
「蔵乃茶屋かくれんぼ」(あとひき煎餅塩野さん二階水曜日定休)
川越市仲町9-9
■第2会場
「クローバープラス」
川越市仲町15-5
■第3会場
「仲町観光案内所」
川越市仲町2-3
■第4会場
「川越まつり会館(第2・第4水曜日休館)」
川越市元町2-1-10
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■第1会場
「蔵乃茶屋かくれんぼ」(あとひき煎餅塩野さん二階水曜日定休)
川越市仲町9-9
一階が「あとひき煎餅塩野」さんで、二階がギャラリーかくれんぼとなっています。
階段から二階に上がると、壮観な光景が目の前に広がります。
今年のつるし雛は、昨年よりも数が増えて、より迫力が増しているように思いました。
それもそのはず、つるし雛教室は今でも毎月行われていて、
制作に励む方々の作品は日々増えていっている。
年を追うごとに数はさらに増えていくと思います。
もともとは10年ほど前に、この場所でお雛様展を開催していたのが始まりで、
「お雛様展は各地にあるので、他では見られないものを展示しようと考えた」
と塩野さんは振り返り、つるし雛展を始めてもう7年ほどになります。
各地のお雛様展より早い時期に開催していることもあって存在感は際立ち、
冬の川越散策の名物になってきました。
塩野さんの二階のギャラリー「かくれんぼ」が、つるし雛教室が行われている場所でもあり、
教室の先生や生徒の作品が展示されています。
今、つるし雛を作られる方は本当に多いそう。
ここでつるし雛教室を開いている先生は、
川越のみならず各地の教室合わせて100人くらい生徒を抱えている方。
このかくれんぼだけで30人ほどいるそうです。
ここの教室は3クラス、それぞれ月に一度10人くらいの教室が開かれ、
一回の教室で出来上がるつるし雛が一つ。
一つ4時間くらいかかるそうです。
毎月一つ増え、一つ一つを一本に下げて、一基作るとなると一年がかりにもなる。
作品を展示している先生は、
「ただ、時間はあまり関係ない。どのくらいでいつく作らなきゃというより、
一針一針願いを込めて作ることが大事」
と語っていました。
他にも東京、横浜、秩父の作家さんの作品が各会場に展示されています。
つるし雛の構成は、全体を一基、二基と数え、
そこから一本、三本と垂れて、一本の中に一個、三個、五個とあります。
注目すべきなのは、全ては奇数の数字から成ること。
確かに一基に下がるのは三本、五本といった奇数になっていて、
一本の中の個数は、三個、五個、七個、と奇数しか見当たらない。
割り切れない数字、というところから奇数が大事にされています。
「つるし雛はトータルで49個以内で作るんです。昔は男性の平均寿命が50歳だった。
女性は一つ引いた数字で作り、奇数はそこからきたそうです」
と話す塩野さん。
数字にまつわることだけでなく、一つ一つのつるし雛に意味が込められていて、
例えば、
・亀、長寿の象徴。
・金魚、お嬢様が美しく育ちますように。
・スズメ、五穀豊穣・食に恵まれますように。
・竹、生長と生命力の逞しさ。
・フクロウ、福や不苦労にかけている。
・座布団、早くお座りできますように。
・茄子、成す(なす)と書いて大願成就。
・猿、病が去りますように、難が去りますように。
・うさぎ、赤い目のうさぎは呪力があり、災厄を祓う。神様の使いといわれる。
・赤ちゃん、健やかに育ちますように。
・草履、早く「あんよ」ができますように。
と、それぞれに意味や縁起、願いが込められている。
中でも特に、丸いボールは制作するのは難しいという。
球体という特質上、扱いに苦労し、
作るのは土台となる発泡スチロールのボールに、図柄を決めて生地を刺し込んでいく。
ボールの上部は北極、下部は南極という言い方をし、
真ん中は赤道と呼ぶ。
それは、地球と同じ言い方です。
つるし雛の発祥は、福岡県柳川市といわれています。
そこから伊豆の海辺の町、稲取温泉に伝わり大きく発展し、
江戸時代の後期より、女の子との成長を願うため手づくりで作ったつるし雛を飾る風習がありました。
今、バスツアーで稲取温泉のお雛様と河津桜のセットが定番になっているのは周知のこと。
着物の切れ端も使うのかな、と聞いたら、
現代の着物の生地ではつるし雛には向かないそうなんです。
色に深みがなく変にピカピカして、全体として品がなくなってしまう。
昔は草木染めが多いから、深みがある独特な色。
それは単なる色、と言う以上に、日本の原色という色合い。
化学染料が入っていないので、同じ赤でもつるし雛の生地の赤は温かい。
「つるし雛は、本当にいいとこ取りして使うんですよ」
一枚の着物でも、
この箇所のこの色しか使わないといった使い方で、
気に入る色の生地を探すのも大変。
そして、つるし雛に関する意外な事実を紹介します。
「昔は焼いちゃってたみたいなの」
こんなに綺麗で華麗なつるし雛でも、昔は時期が過ぎれば焼いてしまっていた。
凄くもったいない事ではありますが、そこには厄払いの意味もあって、
一つ一つのつるし雛たちに厄を引き受けてもらい、全部焼いてお雛様を終えていた。
「それは、流し雛と同じなんです」
だから昔のつるし雛は形として残らず、途中で途絶えてしまった。
ある時、蔵を探していたらつるし雛の型紙が出てきた。
稲取の婦人部の人たちが、
「つるし雛を復活させよう!」
と立ち上がり今のつるし雛の発展に繋がる。
つるし雛には思い入れが詰まっていて、
寒々とした季節に赤に溢れたつるし雛は、温かみを感じました。
また、塩野さんは3月25日に川越市民会館やまぶき会館でコンサートを企画しています。
会場には交流のある福島県南相馬市から、
いちばん星プロジェクトの星さんたちがやって来て野菜販売する予定です。
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■第2会場
「クローバープラス」
川越市仲町15-5
クローバープラスは、2014年7月にオープンしたお店。
お店の様子は以前伝えました。
http://ameblo.jp/korokoro0105/entry-11903803874.html
つるし雛展の会場としては、昨年に引き続き2回目です。
つるし雛だけでなく、委託販売の雑貨などがたくさん並んでいるので、ゆっくり見るのに最適です。
秩父でつるし雛教室を開いている先生の作品などが展示されています。
30人の生徒さんを抱える教室で、秩父銘仙館でもイベントを開催しつつ、
川越のつるし雛展には昨年も出店していました。
10年ほど前からつるし雛に携わっている先生は、つるし雛にまつわる地域性を曰く、
「例えば山形なら、船や蔵の鍵、イカ、タコなど魚をモチーフにしたものが多いんですよ」
その地の地域色が色濃く反映されるものだと話します。
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■第4会場
「川越まつり会館(第2・第4水曜日休館)」
川越市元町2-1-10
ロビーにて展示。つるし雛を見たい、と言えば入場無料で見る事ができます。
つるし雛展、2015年2月22日までです。