立秋の頃 … 猛暑まっ盛り! ~ 真夏の陽射しに軒の大切さを思う | 伝統構法の家づくり…大阪の街中で!石場建て/木組み/土壁のマイホーム新築

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五十代も後半、自宅を新築…新建材は怖い!
行き着いたのは地元の工務店。
で、棟梁がつぶやいた。
「ホンマは石場建てがエエんやけどなぁ・・・。」
「石場建てってなんですのん?!」・・・

今年は8/8が立秋だったそうです。

といっても、日にちとしては8/8、期間であれば~8/22なんだとか。

いずれにせよ、一年で暑さのピークがこの時季。

 

太陽の高度そのものは夏至(今年は6/21)がいちばん高いので、

だんだん高度は下がってきていることになります。

今は夏至から50日ほどあと、ということは・・・。

夏至から反対に50日ほど前は、ゴールデンウィークのころ。

そのころの陽射しと実は同じということになります。

・・・と、そのころの記事を振り返ろうと思ったら、今年のは無い!
 

けど、5月半ばからの夏至前の我が家に射す陽の光の表情を、

6/8稿​「立夏から夏至へ…爽やかな陽射しと雨降りを楽しむ~窓を開け放して!」

には掲載していました。


残暑見舞いの時季にはなりましたが、まだまだ猛暑は続きます。

地球温暖化どころか、地球沸騰化!と国連事務総長が言ったとか。

けど、これから秋分に向けてどんどん太陽の高度は下がっていきます。


ということは、暑いのに窓には日光が直射しやすくなるということ!

そこで、まだ暑くない夏至ごろよりも大事になってくるのが、

「軒の深さ」というわけです。


今日(8/10)の正午ごろ、太陽が正中すると、

我が家の1階の南面する掃き出し窓には、このように陽が射します。

軒の陰だけでなく、障子も明るさを確保しながら遮光し、断熱にも寄与しています。


同じ時刻、外から見ると、南面(画面左半分)はこんな感じ。

軒の深さが半間(約90cm)あるので、

2階の窓には全く日光が直射していないのがわかります。
 

今ここ大阪・枚方の正午の外気温は36.7℃、

我が家の2階は窓全開でエアコンなしで33.7℃・・・今日は風がそよぎます。

動き回らなければ!、扇風機で過ごせないこともない。

 

8/3には最高気温37.8℃にまで上がり、

この日はクーラーなしで換気窓だけ開放した状態で室温を測ると、

1階が32℃、2階が34℃・・・これが我が家の最高室温と言えるでしょう。

 

夏場、1階も庇やベランダで、日光の直射を防ぎます。

冬場、太陽高度が下がるので、2階の窓には陽が射します。

・・・というのが、日本の家の当たり前の建て方というわけです。

 

 

さて、ほぼ同時刻の同じ方角を向いた家を、以下に見比べてみましょう。

 

築五十年ほどと思われる、いわゆる普通の木造の家。

軒は半間もありませんが、十分2階の窓への直射日光は遮られています。


こちらも築五十年ほどと思われる、いわゆる普通の木造の家。

軒は浅めですが、そのぶん窓の直上に庇を廻らせてあり、

2階の窓への夏の日光の直射を遮ってあります。


上の2軒とも、1階の窓への直射日光も遮る工夫が見られます。

今のように「日射遮蔽・日射取得」とかことさら言われなかった時代、

こういうことは当たり前のことだったんですよね!


一方、現代(ここ数年)の高気密高断熱が標榜されている家。


軽量鉄骨大手メーカー、オプションで切妻屋根を掛けた家。

最低限、これくらい(45cm?)の軒は、常識としてほしいものです。

2階の窓は、ちゃんと軒の陰に入っています。

今どきの、普通の在来工法の家。短い軒(30cm?)でも、

あれば2階の窓の上半分だけでも陰に入れることができそうです。

でも南面して出窓にしてあるので、せっかくの軒なのに・・・。


いわゆるローコスト住宅メーカーの軒ゼロの家。

外壁からは、樋の分しか出っ張っていないません。

南側は全面、直射日光の直撃を受けています。


 

軒ゼロの家は、高価なトリプルLow-Eガラス樹脂サッシでないと、

クーラーをガンガンかけてないと室内環境を保てないんじゃないか?

窓を開けるとよけい陽が射し込むし・・・。余計な心配をしてしまいます。


高気密高断熱でも、結局は高コストな家になるんじゃないかな?

なので今どき、窓は極力小さく少なくって言われるんでしょうね。
 

こうして見ると、軒は夏の窓からの直射日光を遮るだけでなく、

外壁への紫外線・赤外線や、雨も防いでいることが分かります。


で、軒が無いと外壁も紫外線・赤外線や雨に直に曝されるわけで、

家の傷み、耐久性にも影響しそうに思えます。



日本の家の軒の大切さを、真夏の陽射しの観点から、

素人の目で思ったまま述べてみました。


<参照>

2020/5/2稿​「それでもやる? 軒ゼロ住宅 ①~③」


夕方、西側が切妻屋根の妻面なので、西陽が射します。

1階の窓は、ちょうど陽が射すところに簾を掛けてあります。


2階の窓は簾もですが、障子もあって、日射を軽減します。

夕陽が室内を赤く照らす、お気に入りの陽射しです。