立夏から夏至へ … 爽やかな陽射しと雨降りを楽しむ ~ 窓を開け放して! | 伝統構法の家づくり…大阪の街中で!石場建て/木組み/土壁のマイホーム新築

伝統構法の家づくり…大阪の街中で!石場建て/木組み/土壁のマイホーム新築

五十代も後半、自宅を新築…新建材は怖い!
行き着いたのは地元の工務店。
で、棟梁がつぶやいた。
「ホンマは石場建てがエエんやけどなぁ・・・。」
「石場建てってなんですのん?!」・・・

立夏を過ぎ初夏を迎えた5月。

1年で最も清々しい時季・・・なのに!

5/29(月)、近畿では早くも梅雨入り。


とはいえ、6/3(土)~5(月)と、

梅雨前線はどこへやら、梅雨の中休み。

雨のあとの澄んだ空気に、高い陽射しが美しい。


というわけで、5月半ばからの夏至前の、

我が家に射す陽の光の表情をまとめてみました。


すぐ東側が丘になっている立地上、冬にはなかなか朝陽が射し始めないんですが、

この時季には7時頃から直接射し込みます。


こんな日は、朝から家中の窓を全開!

玄関引戸も開け放ちますが、外から中はほぼ見えません。


朝は玄関がいちばん明るく、名栗杉板の式台に腰掛けると心地いい。




南側の掃出し窓には、朝はまだ陽が射しませんが、

夏至が近づいてくると真東より北寄りから陽が射すので、

南側隣家の北面の白い壁に朝陽が反射して、とっても明るい。


隣りが近年はやりの真っ黒い家だとこうはいきません。

隣家との距離が十分な地域なら黒い壁でも影響は少ないんでしょうけど、

家が密集する住宅街だと、真っ黒い家は街を陰鬱にしてしまいます。


先述のように、この時季は日中は家中の窓を全開に。

まだ朝晩はかなり涼しいんで、朝の外気を入れておくと、

エアコンなしで一日中快適に過ごせます。


換気装置に頼って窓を閉め切って、

エアコン空調で過ごすのと対極の設計思想。

窓を開けた方が、換気装置の何倍も換気量が大きい。


我が家ではこうして、ほぼ4~6月と9~11月の6カ月はエアコンなし。

比較的温暖な大阪なら、これでいい・・・究極のゼロエネルギー。

電気を使わないなら、太陽光発電装置もいらない。


晴れた日には、ベランダで布団を干します。

洗濯も干すそのベランダは、前面道路から離れた奥に配置。


住宅密集地ながら、街並み景観にも多少は配慮してるつもり。

昼間の南側の掃出し窓、1間幅全開に引き込んであります。

陽射しは、冬場には部屋の中まで陽が射すんですが、

この時季は正午ごろにも部屋の中は深い軒の陰になっています。


これからの梅雨、雨が降っていても窓は開けておくことができます。

今どきの普通の家なら、窓を全部閉めて湿気を遮断しておくべきでしょう。

でも伝統構法、木と土と草と紙でできた家は、家自身が全体で調湿するので平気です。



さて、夕方。冬場ならとっくに暮れている6時前。

2階の西側の窓には陽が射しています。


西側に迫った隣家南側の庭に向けて狙った位置に、敢えて窓を設けました。

これを西陽と言って忌み嫌う向きもありますが、

この時季はその陽射しも影も美しい。積極的に楽しみたい光景。

 

遮熱型Low-E複層ガラスですが、断熱には障子を。


さらに真夏には、追って簾も掛けます。


同じ時刻ごろの1階。

西側に同様に設けたキッチンのはめころし障子窓全面に陽が射しています。

これも冬場の夕方なら、南西に迫った隣家に遮られて左半分は陰になるところ。


ダイニングテーブルの食器が長い影を落として、何とも言えない寛ぎムード。


部屋全体がパっと明るいわけでは決してありませんが、

梁や柱や土壁などへの反射と陰が、実際の明るさ以上の光を感じさせてくれます。



近ごろ、断熱!断熱!と東西には窓を開けるべきではない論が喧しいですが、

南側に隣家が迫り南からの採光があまり望めない立地の場合、

こうして積極的に東や西からの採光を採り入れるのも一興だと思います。



今日6/8(木)、去年なら梅雨入りもしていなかったのに、

梅雨真っ盛りの雨模様。それでも窓は開けっぱなし。

軒が深いと夏の陽射しも防げますが、雨も防げます。


2021/3/22稿「雨が降っても見どころの尽きない伝統構法の家~軒が雨から守り且つ雨を活かす仕組み」

2022/7/22稿「雨のなか窓全開で暮らす…深い軒や窓の工夫~シン・ツユアケにあたって」
でも触れましたが、これからしばらくは雨を積極的に楽しむ時季。


断熱だ!気密だ!と、窓を閉め切って、どころか窓さえなくして、

外界から閉ざされた暮らしを指向する今どきの家へのアンチテーゼ。

木と土と草と紙でできた伝統構法の家の楽しみ方の話題でした。