天乾:人乾(天然乾燥:人工乾燥)・・・どっちにする?使う材木 | 伝統構法の家づくり…大阪の街中で!石場建て/木組み/土壁のマイホーム新築

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五十代も後半、自宅を新築…新建材は怖い!
行き着いたのは地元の工務店。
で、棟梁がつぶやいた。
「ホンマは石場建てがエエんやけどなぁ・・・。」
「石場建てってなんですのん?!」・・・

日伸建設​では、梁にする赤松を自分たちで山に伐りに行き、

何年か寝かせて天然乾燥していることは、

「木取り・墨付け・手刻み」(2019.12.26)​で書いたところです。

どんなふうに使うかを思い描きながら木を選び、

その木の生育条件(斜面や太陽や風向き等)が

直に把握できているので、的確な木取りができます。

柱にする檜や床にする杉などは、

奈良は吉野から仕入れていますが、

これも天然乾燥材です。


その他、いつか出番が来るだろうと、

いつ何に使うか具体的に決めず仕入れて出番待ちの木が、

日伸建設の倉庫に積み上げられて眠っています。

ウチでも大黒柱にした材木は、

二十年ほど前に東寺の修復に使われた物の一部を、

いつか使おうと仕入れて寝かせてあった物だそうです。



天然乾燥(自然乾燥)無垢材は、

その木の性質を読みながら

材木に仕上げていく必要があるので、

熟練の目利きと技が必要になります。

 

その上、天然乾燥には1年以上かかるので、

貯蔵にも時間的・空間的にコストがかかります。


地代があまりかからない地方の工務店ならともかく、

大阪でこれをするのは大変なことです。


それでも日伸建設が天然乾燥にこだわり、

そこを私たちが見込み選んだのは、

耐久性や調湿性や香りなどが格段に勝っているからです。

木の繊維に無理を強いないので、

木が本来もつ成分や性能が残り、

何百年もかけて強度を増していきます。


その木それぞれの個性もそのまま残るため、

いろいろな面で個体差が現れやすいという一面もありますが、

逆にそれは、適材適所で

個性を生かしていけるという長所でもあるわけです。


​​​(天然乾燥無垢檜/赤松手刻み材による伝統構法の建築:​日伸建設​)​​​

ハウスメーカーの営業マンは、ほぼ間違いなく、​

無垢材より集成材の方が強い・・・と言うでしょう。
(集成材は全て人工乾燥材です。)


しかし逆に、

近年一般に使われるホワイトウッド集成材より

無垢檜材の方が強いというのは、実験で証明されています。

​(「​続いい家は無垢の木と漆喰で建てる​」p.16 神﨑隆洋著)


​(奥:ホワイトウッド集成材3.5寸柱 右:人乾無垢檜4寸土台 左:天乾無垢檜4寸柱)​
 

実際、​ホワイトウッドはものすごく腐りやすい​ので

化学薬剤での処理が必須(住宅品質確保促進法)だし、

同じ無垢檜材でも天然乾燥材と人工乾燥材は、

風合いも香りも違います・・・人工乾燥材はスカスカで無臭。

​(実験​『天然乾燥材と人工(高温)乾燥材の匂い』による人への影響​)

なのに人工乾燥材が普及するには、​

現代ならではの理由があります。

それは端的に言って、簡単で安いからです。


(JAS規格のホワイトウッド人工乾燥プレカット集成材と、防腐薬剤注入の穴)​

人工乾燥なら1~2週間、それを買いつけるだけ。

ストックヤードも要りません。

しかも集成材なら、薄切りの板を接着剤で貼り合わせて

大径にしてあるので木を読む(見極める)必要はなく、

そのプレカットなら、扱いにとりたてて技能は不要です。
 

人工乾燥は、温度や湿度を機械的に調整する乾燥窯で

短期間で水分をとばしてしまいます。

低温・中温・高温乾燥があり、

蒸気式・燻煙式・除湿式などの方式、

電子レンジのような原理を利用したものもあるそうです。
           

寸法の狂いの少ない性能の画一的な製品を​

短期間で安定的に得られるという利点があります。


​(​click☝人工乾燥の問題点​~カンザキ建設)​

 

しかし、急激に乾燥させられたものほど

強度や耐久性が低下するリスクが高く、

そのため集成材にすることが多いのです。
 

集成材は、接着剤からの化学物質の蒸散が避けられません。

それに木より先に劣化するであろう接着剤で

スカスカの死んだ木を薄切りにして貼り合わせても・・・

と思ってしまいます。
 

それでは木のもつ本来の良さ、

調湿性や色艶や香りなど性能全般が失われてしまいます。
 

しかも人工乾燥は、

効率を重視する経済活動としては現代的な方法ですが、

乾燥過程で高温を保ために大量の石油を燃やします。
 

それではせっかく数十年かかって成長し

大量に二酸化炭素を溜め込んだ材木が、

かえって二酸化炭素を大量に発生させることになり、

本末転倒ということになってしまいます。
 

そのうえ外国産材だと、

​運搬に大きな環境負荷がかかります。

​(吉野の桧を選ぶ理由☜click)​
 

一生かけた家づくりを耐久性三十年の借家普請にするのか、

百年単位の高耐久で環境負荷の低い安らぐ棲み処を建てるか。
 

そんな観点で見たとき、私は、

国産無垢天然乾燥材しかないと考えたのです。
 

それに、ウチは材木を刻んでから竣工までに1年ほど。

しかも材木現しの真壁づくりですから、

住みながらも吸放湿を繰り返して数年かけて乾燥していき、

だんだん締まって強度を増していきます。
 

今塗っている土壁も、荒壁・中塗りで竣工して、

数年後に上塗りをするといいそうです。

それが本来の家づくり!と、​日伸建設​の親方は言います。

そしてそれができる工務店は、全国各地にあります。


それぞれのメリットもデメリットも、
素人なりに納得いくまでいろいろ調べ、そして選ぶのは、

​建て主であり住まい手になる自分なのです。


​(​日伸建設​の無垢材プレカット在来工法の上棟・合板屋根仕舞い・・・伝統構法と同じ大工さんが個々の施主の要望にも応じます。)​

天乾人乾:天声人語・・・家づくりは、天の声を聞き、自分の言葉で。

<専門的には、こちらをどうぞ>

・​「木材の乾燥」~ 吉野中央木材(株)

​・木材利用相談Q&A「Q44」~ (一財)日本木材総合情報センター

 

ps. 

カンザキ建設のWEB住まい塾:建築を科学的に考える(13)

『高温乾燥は地球温暖化に拍車をかける大問題』




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